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嫌われ鬼娘と彼女に恋した─僕と己─  作者: ラーテル弓倉
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鬼娘8 紅血に酔う

キラ


キラ


キラ…



周りから助けを求める声が聞こえれば聞こえるほど彼女の事が心配になっていてもたってもいられなかった。ネコが呼び止めたのもしっかり聞こえたけど。早くキラの無事を確かめたくて彼女の家まで脇目も降らずに走った。




「はぁはぁはぁ…」


門扉は右側だけ倒れているが、左側だけはしっかりと建っている。地割れのせいかで柵は何ヵ所かずれていて半身(はんみ)でなら入れそうだ。


地割れは家にはかかっていない。所々壁にヒビか入っていて窓ガラスが何枚も割れている。気持ち、壁が少しだけ傾いている様に見える。


「所々壊れているけど倒れていない。これなら大丈夫…」



安堵しかけて少し緊張した身体(からだ)が力を抜こうとしたけど、洋館の扉からキラの血の匂いがしてきた気がした。




「キラー!大丈夫!?」


屋敷の中の彼女に届くかは分からないけど声を上げずにはいられなかった。ありったけの力を込めたけど返事はなかった。




しばらく待っていたけど、どんどんキラの血の匂いが増えているのが判ると、いてもたってもいられなくなった僕は敷地の中に入った。
















キラの左目は閉じていたが血が吹き出した後のようで目蓋こそ閉じていたがその目蓋もひどく傷ついていた。左目はもう使えないかもしれないと直感的に思った。




「どうしたの?」




「燭台が刺さっただけよ。」




その言葉に骨の髄からゾッとした。








「…昨日あれだけ言ったのに。」








「本当はいつ地震が起きるかわかっていたんだろ。どうして家の中に?」








質問に聞こえてないかの様にキラは答えなかった。




「櫛?」




そう聞かれるとは少しだけ眉をひそめた。




それなら僕が彼女を怪我させた様なものだ。キラに非はない、彼女に悪いことをした。






「怪我は大丈夫?早く医者に診せないと…」




「必要ない。今は私よりも優先させないといけない人が沢山いる。それに痛いけど鬼だから死ぬことはないわ。」




「そう、君が助かるんなら良かった。」








僕の言葉に彼女は目を伏せてしまった。




その瞼まぶたの間から涙がボロボロ出ているのがわかる。震える声で








「…ごめんなさい。せっかくお友達になれたのに。」


「キラのせいじゃないよ。」




彼女の気持ちは嬉しかった。


泣いてる顔が妙にきれいでいとおしい。






鮮血にまみれた裂けた腹から出た自分自身の内臓の匂いにまみれながら、これから彼女に殺されることに僕は酔っているのかもしれない。


それでも心臓は未練がましく最期の時まで『生きたい』と僕の本音を主張しているのだ。

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