陸の仕事6 予言
その時の記憶は?と言われたら真っ暗の中、モヤモヤとした弱い白い光が見えていた。
目が覚めると近くに鬼の形相の那由他アネキがいて、ここは卯ノ花の病院のベッドだった。
「示尾に頼んで様子を見て来てもらったの。」
娘を奈子さんに頼んだあと、夜になっても俺が帰ってこなかったので奈子さんが那由他を頼り、そして同族である示尾に様子を見に行ってもらったらしい。
「奥さんが死んで悲しいのは解るけど、貴羅ちゃんを置いて行こうとするなんでどうゆうこと!!?つやちゃんが喜ぶと思うの?だいたいあんたは…」
「るせーな。」
「るせーなって、アンタ…」
人の気も知らねークセに。俺は思いっ切り那由他の鼻を殴った。
「〜っ!」
鼻をおさえてうずくまった那由他を蹴りながら狼狽した。
「こうなるなら別々に住んでた意味無いだろうが!!なんでもかんでも首突っ込みやがって!!」
なんか「やめて!」とかギャーギャー言われてたが聞こえないことにした。そのまま一分もしないうちに俺は抑えつけられた。
「やめろ、これ以上はダメ。」
俺を抑えつけたのは示尾だった。
「お前見つけて七日だ。」
この間にフラフラしながら那由他が逃げようとする。
「待てよ!何逃げてんだよ!」
言い足りなかったし、あの程度蹴ったくらいじゃ気がすまなかった。
「これ以上する?お前殺すよ?」
マジのやつだ。示尾の言葉に俺は冷静になろうと努めた。
一応、俺が大人しくなった頃に隣の部屋から子供たちがキャッキャ言ってる声が聞こえてきた。開いていた襖から娘と祢呼ちゃんが十四、五歳の男の子にじゃれながら歩いているのが見えた。「誰だ?」とおもっているとその子と目があった。
「初めてな?息子、不言だ。」
この時に紹介されたけど、その時には名前を覚えれ
なかったと思う。ただ、示尾にこんなに大きい息子がいたのに少し驚いた。
「おじさん、私たち二人ともに弟ができるって!」
祢呼ちゃんが嬉しそうに話す。
「あいつ、見えるんだよ。前や後の事。」
ほーう、俺の義兄子は大層な能力をお持ちで。そりゃ祢呼ちゃんが出来るなら解るけど娘にはあり得ないことだ。鬼のくせに適当なことを言いやがるな。
ニコニコしながら祢呼ちゃんがこっちを見ていた。
「ねぇ、おじさんも見てもらう?」
「うん、あぁ。」
生返事をしたら、不言が俺のそばに来た。
「この目、嫌だな。」ってのが不言への第一印象だった。
「他の人のものだけど、もう一度だけ奥さんと過ごせますよ。」
こいつはそう予言した。
「ただし、貴方がちゃんと貴羅ちゃんの父親として過ごして来た場合のみです。短い間ですけどね。」
実際に不言の言うとおりになった。
あぁ、やかましい。
当時の不言の言葉を思い出しながら、俺は茂を片手で抱きかかえたまま、トンビを開いた。
『
貴羅が頭を撃たれました。
陸に知られると面倒なので
今晩、貴羅が帰ってこれないのを
祢呼の家に泊まるとでもして
うまくごまかしてください。
今から卯ノ花と処置します。
那由他 』
ふざけるな。
この状態を教えずに、面倒だと?
トンビを那由他に送り返すと俺は茂ごと体を土に溶かして走るよりも早く地面を進んだ。
示尾の家の者に茂を任せると、俺は那由他の家へ向かった。




