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嫌われ鬼娘と彼女に恋した─僕と己─  作者: ラーテル 弓倉


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陸の仕事5 看板

それから津耶は卯ノ花の家の離れに入った。

必ず俺は隠り世から卯の花の家の庭に行き、そこから現し世に戻り、彼女の元を訪れるようにした。

(ちなみに、卯ノ花へ家賃として相場の3倍渡し、同じ額を彼女にも渡していた。)


あくまでも彼女は津耶になってからは「人間(にんげん)」なのだ。

化けたり特殊な能力が使えるわけでは無い。極力、俺達の関係が分からないように努めたつもりだった。


全国、津々浦々、鬼とそれに近い一族は数多(あまた)といて、人を喰った歴史もある。が、それは鬼だけではなく、他の物の怪でも言える事だ。

ただあの土地のため、ここの鬼は嫌われるようになっている。

それが原因で何度か刺されたり殴られてきた。

それでも無事だったのは俺が鬼だったからだろう。


まだ(オヤジ)(アニキ)(ヨル)が中にいたし、出れたとしてもあれだけの殺生石のかけらを庭に巻きまくっているのであのまま離れるわけにはいかなかった。

これらのことがなかったら津耶に会えなかったとは言え、正直、損な役回りだと思っている。


俺が自身の名前を嫌っていたのを知ってたからか、津耶は俺のことを「(りょう)」と呼んでいた。


津耶の一番古い名前の一文字と「(りょう)」と同じ「ら」と読む漢字を取って「貴羅(きら)」を娘の名にした。





娘が就学前に彼女は死んだ。


あの日、津耶は貴羅を連れて外出していた。そこへ鎌を持った男に追いかけられた。以前に何度か俺を何度か刺したり、殴った奴だった。

津耶は貴羅を連れて敷地の中に飛び込んできた。俺は右手で躊躇い無く、その頭から潰した。




「何か用か?」

拍子抜けしたのか追いかけて来た男から殺気が消えた。代わりにすごい剣幕で叫ばれた。

「な、なっなんで殺せるんだよ?」

「同族ではないからだ。」


淡々と答える俺と目が合い続けるのに耐えられなくなったのか、男の目が泳ぎだした。男の目に看板が入っると目線が止まった様だった。



『コノ土地ニ入ッタモノハ


何時如何イツイカナル時モ


同族以外餌エサトミナス』



そしてまた俺と目を合わせたかと思ったら腰が半分抜けたような状態で「うわぁー」とか「があー」とか言いながら逃げていった。



俺は片手で娘を抱えると津耶の片足を持って敷地内に引きずったて入れたら。敷地の入り口から屋敷の入り口までの地面が赤くなった。

扉を閉めると津耶から手を離して『鬼 屋』から娘と一緒に隠り世へ入った。


隠り世から卯の花の家の、津耶の住んでた部屋の場所で現し世に戻った。戸を開けると奈子さんと鉢合わせた。

「ひっ!!」

返り血を浴びた俺を見て声を上げた。

「津耶はもう戻りません。貴羅をお願いします。」


奈子さんが腰を抜かしたことは何となく覚えているが、娘の前で名前を出したのはこの時が最初で最後だったと思う。この時の娘の顔は覚えていない。そもそも見てなかったと思う。


娘をおろしたらすぐに隠り世に移った。屋敷へ向う足がとても重かった。


屋敷の玄関に放置した津耶を抱きかかえると自分の部屋のベットに寝かした。最後に顔を見たかった。それは叶わないことなので津耶の着物を(はだ)けさせた。

顔が見れなかった分、何か彼女のことを覚えておきたかったけど、性的な物を求めていた訳ではなかったのと、彼女の体を愚弄している様な気がして着物をもとに戻した。彼女の顔が見れていたらこんなことをしていない。



「私が死んだら絶対に良が魂を食べてね。」



他の(ヤツ)に喰われたくないの意味ではなくて、津耶にとっては長すぎた命に終止符を打ちたいの意味なのだ。

彼女をベットの端に寄せて、隣で眠った。


何時間たったか覚えてないが目が覚めた時は外は暗かった。









俺は階段の手摺(てすり)を使って首を吊った。

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