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嫌われ鬼娘と彼女に恋した─僕と己─  作者: ラーテル弓倉
34/40

ねこの家で2 こねこ

◯ ◯ ◯

私があの家に住む時に、いの一番にお父さんから敷地内に生きてるものを入れるなと言われた。

『なんで?』

と聞いてもとにかく入れるなとしか言わなかった。


その時はお父さんが動物嫌いとか人と関わりたくないだけだと思っていた。だからバレなきゃ良いと思って仔猫を中に入れたことがある。


小学校に上る前に神社で拾った仔で、親猫や他の兄弟達はカラスにやられてて生き残った一匹を放っておけなくって連れて帰った。

お父さんは留守にしてる時間だったから大丈夫だと思って私の部屋まで抱っこして、そこで子猫を放して自由にさせてた。

それから二分もしないうちに苦しがって、沢山もがいて、どうしようもできないうちに血を吐いて死んでしまった。


そうやって死ぬのはその子だけじゃなかった。


物取りなのか、復讐しに来たのかは知らないけど、お父さんがいない時に勝手に敷地内に入り込んだ人間がよく庭で死んでたし、仲の良くなりかけた子が勝手に入って死んだこともあった。


どう言うわけかうまく呼吸が出来なくなるみたいで意識がおかしくなったり、体が麻痺して目が霞んでだり、五分もいたら自力では外に出られなくなるわ。

血を吐く人もいるけど、大体三十分~一時間くらいでみんな死んでしまうわ。外に出れても体が弱ってしまってて、他の病気とかにかかるともう助からない。


だから直ぐに殺してやれって。せめてもの(なさけ)で極力直ぐに死ねる様に。確実に仕留めろって。そう言われてきた。



だから地震の前の日に、お父さんがお母さんを殺した時の話だけをして、アドルフに君を『餌』と言う形で失いたくないと伝えたんだけどー、さっきネコにした説明をしてたら違ったのかもしれない。


そもそもがアドルフが『鬼』がどういう者かわかってなかったから、あそこまで仲良くなれたんでしょうね。他の生き物がすぐ死ぬ様なところに住んでいられる…その時は良くてもいつかは気味悪く思われていずれ嫌われるのだから、自分からは言えなかった。


◯ ◯ ◯



そこまで言うと、キラは目を伏せた様に下を向いて緑茶に口をつけた。こんなに長くキラが話したのを初めて見た気がする。

ちゃんとキラもアドルフのことが好きだったんだ。それにホッとした反面、だったら殺さなくても…とも思った。


おそらく、キラを心配して入ったアドルフはどのくらいたってから殺されたのだろう?



それにしてもたったの五分、中にいただけで自力で出られなくなる様な場所にキラ達は住んでいるのだ。

昔張られたって言う、鬼達の魂が逃げないための結界のせいだろうか?


肉体に入っていない魂だけでは往き来できない結界と言ってたので、鬼達の魂が入ってきた人たちに乗り移るために呪い殺してるのかな?それなら同族以外がエサあつかいされるのも納得出来るし、そうやって外に出て、鬼達が処刑されたことに対して、関係者でも復讐しに行ってるのかな。



それを阻止するためにキラのお父さんは中に入った人を復讐に使わせないために死体を使えないようにしてるのか?


キラのお父さんの目的が『復讐の阻止』で合ってるのなら尚更然は本当のことをアタシには教えてくれないだろう。


「私もずっと聞きたいことがあるんだけど…」

「うん、何?」


()()のことを詳しく教えてくれる?」


「然のこと?」

「そう。出会ったときから、貴女がどう思っているかも含めて。」

少しだけキラから冷たい物が漂って来た気がしてアタシは緊張した。アタシが然と未だに話したりしていることをキラは良しとしていないんだろうな。


キラにとっては次はアタシが話す番か。

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