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嫌われ鬼娘と彼女に恋した─僕と己─  作者: ラーテル弓倉
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年明け1 がんたい

石見くん改め、スミオとはあの朝、共に登校してからと言うもの、行きはスミオ、帰りは然と一緒なのが定番になってきた。


キラとは手紙を渡したとき以来、話していない。

そんなこんなで正月も過ぎ、年明けの初登校もスミオと一緒だった。


たかが数日の休みなのだが、アドルフは身長が三、四寸も延びていた。*一寸は約3センチ

そのせいか、顔も少し大人っぽくなっている。

これも然が中に入っているせいかしら…と、思いながら席に付くと、先に来ていたキラが大きな風呂敷づつみを持って教室に入って来た。

彼女の顔を見て、「あ、眼帯を着けだしたんだ」とか思ってたら、私の机に風呂敷を置いた。

「頼まれていたものだからお父様にお渡しください。」

それだけ言うと立ち去ってしまった。

一瞬ポカーンとしてしまったが中身を見ると本だった。


日本語だけでなく中国語のや英語かと思ったけど少し違うような本が十冊くらいある。表紙を見るとどれも医学に関する物のようだけど(すべ)て分厚くて重い!


震災で診察所が燃えたので今ま持っていた資料が焼けてしまったにしてもお父さんは外国語までは読めなかったはず…

まさかと思いチラッと然を見ると「悪いな、頼む」と言いたげな、ばつの悪い顔をしていた。

私は然からのキラのお父さん宛の手紙の内容を知らないが、大方、これらの本を頼んだのだろう。

とは言え鬼のキラならともかく、この量の本は非力な子猫ちゃんの私では持てない。

重いのでどうしようかと考えてたけど、放課後にスミオがうちの家までヒーヒー言いながら持って帰ってくれた。初めてスミオと帰り、初めて然と帰らなかった。



後日、然から「まさか一遍(いっぺん)に来るとは…」と謝られたが、「事前に言っててよ」と言う気にはなれかった。

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