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嫌われ鬼娘と彼女に恋した─僕と己─  作者: ラーテル弓倉
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鬼と猫娘8 むかしばなし

○ ○ ○


(オレ)は鬼として生まれたが、十五に成っても角が生えなかった。

それは鬼の世界では少し行きにくくて、人間の住むところに行き、人間に紛れ、人間らしく生きていた。

初めの頃は「鬼」と名乗っていたがあまり信じて貰えてなかったので自ら名乗るのはやめた。


とは言え己が鬼であることにはかわりないので、風や水の動き、天候や地動がいつ起こるかだと、何が毒になり薬になるかはわかる。なので場所や年月を見て祈祷師や陰陽師等を名乗ることが多かった。


それに持ってきて体が頑丈なこともあり、災いしか起こさない様な化け物の討伐にはよくかりだされていたよ。



ある年、大きな天災が有り、「同族だけの条件」で鬼の孤児だけは引き取る事になった。

やがて一人で住んでいた長屋が手狭になり、土地を貰って家を建てた。


何人もの子が大人になり、俺の元を離れて行ったが、その後も同族の孤児が出たときは引き取る様にしていたので俺の元に子供が途絶えたこたはなかった。


最後に来たのは貴羅の父親、(ろく)だった。

その時のあの子はまだ角が生えてなかった。(おれ)の元に来た頃は無表情で、そうゆうところは少し前の貴羅によく似ていたな。


(ろく)が固いなりに段々と表情が出始めた頃に、みんな捕らえられた。

この件には権力が動いていた様で、俺たちが鬼だからを理由に言われた。


(おれ)(ろく)は角がないので鬼と思われなかった様だ。そのお陰で(ろく)は助かったが、俺は鬼を養護したとして他の子達と一緒に処刑された。


それが今、貴羅の家のある場所だで己の目的は己達を殺させた奴を滅ぼすことだ。

○ ○ ○





なんでも然達を捉えるのに鬼の能力を抑える結界か何かを貼られたそうで逃げられなかったそうだ。その結界は魂(肉体のない)状態では出入りができなかったので処刑の時から今日まで然は鬼屋敷から出たことが無いことになる。



ちなみに鬼以外の者が土地に入ったらすぐに殺されていたのは鬼たちに体を乗っ取らせないためで、特に頭を潰したり、首が取れる様にしていたのは死体を使われないようにしていたからそう。




キラと仲良かったから二、三度彼女がエ・サ・を仕留めたのを見たことがあった。始めてみたときは半年ほど夢に見て飛び起きた。そして仲好くしてきた私に対しても例外じゃないとハッキリと言われた。何度も何度も。


然の話が事実なら、決まり事を守るキラからしたら仕方の無いことだろう。とは言え、他に方法はあると思うし、それを見つけられない程のバカでは無いから余計にあの子に腹立たつんだけど。




「…そんなことがあったのね。あそこにはまだ誰かいるの?」


「己おれで最後だ。」


「それで、そこまでして滅ぼさないといけない相手ってどんな相手なの?」



今の私は然を憎からず思い始めている。だからこそ冷静に『然』がどう言う人物なのかを見極めなければならない。ヤツがアドルフの体を借りているのなら尚更だ。



「お兄ちゃん達いたー!早く行こうって、お母さん待ってるよー!!」


この肝心な質問は弟によって途切れてしまった。


この2、3日で弟はすっかり然に懐いてしまった。「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と然にまとわりついている。「実のお姉ちゃん」よりも「最近あったばかりのお兄ちゃん」なのだ。



今はしかたないけど、必ず、アドルフをアドルフとして返してもらうから。

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