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嫌われ鬼娘と彼女に恋した─僕と己─  作者: ラーテル弓倉
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序章 死んでも忘れない

どこにでも嫌われてる人はいる。日本に来る前の僕はその一人だった。混血児であることと母の血を引いていた僕は、いじめっ子たちにとっての格好の攻撃対象だった。


日本に来た今では独逸(ドイツ)でのことがウソの様に平和で、むしろ 少し避けられてる様にすら感じられる。

()()では僕ではなくキラと言う女の子が嫌われていた。漢字で書くとだと「貴羅」だったかな?とても画数が多く、僕には正確に覚えられないと思う。


日本人らしくいつも着物を着ていたが、赤みを帯びた黒髪は手入れをしていない様で常にボサボサだった。

いつも学校と家の間にある洋館に住んでいて広い庭は隅々まで手入れがされて目を見張る物がある。


「また明日ね。」

「ええ。」

彼女はいつも猫の子と登下校を一緒にしていて、その日も僕は彼女が門扉を開けるのを横目で見ながら帰っていた。門扉は両開きだが、いつも右側だけを開閉している。左側は固定してるのか開いた所を見たことはない。そっちには看板がかかっていてそれには…


「鬼娘!」

「いーかげん学校来るなよ!」

「なんか言えよっ!」

同じ教室の男子三人が門の外で彼女に向かって石を投げながら暴言を吐いている。彼女の頭や顔に当たっているがそのまま無視して家へ向かって歩いて行く。


「ちょっとやめなさいよ!」

猫の()が制止しようとするが無視して一人が門扉を開けて中に入ろうとしていた。

「おい、逃げんなよ!」

彼はいつも執拗に彼女を攻撃していたヤツで何かは知らないが獣の妖怪だった。

残りの男子二人と猫の()の表情が険しくなった。

「おい やめとけって!」

「どうなっても知らないからねっ!!」

「危ないだろ!」


危ない?


獣の彼は仲間の方を向いたまま片足を敷地の中に入れた。

「大丈夫だって。こんだけ離れてるんだぜ、お前らビビりすぎw」

そのままそいつが正面を向くと すぐ目の前に彼女がいたのだ。キラは右手でそいつの頭の左側を、左手で右肩を押さえている。

「ゲ!!キラ、いつの間ぁ…」

おそらく「いつの間に」と言いたかったのだろう。けれど相手に最後まで言わせる前にキラは右手を強く左に押したようで首が嫌な音をたてて折れ、ちぎれて、そのまま頭が落ちて転がった。


それを見た人たちは愕然と立ち尽くしている。

血の匂いに僕は少し興奮した。


彼女は獣の彼の片足だけを掴んで運び、そのまま中へ入ってしまったので門扉から屋敷の入口までを血で太く線が出来た。


『コノ土地ニ入ッタモノハ何時如何(イツイカ)ナル時モ同族以外(エサ)トミナス』


思っていた以上にあの看板に書かれていた通りだった。 怖いと思いながらも彼女のことを僕は死んでも忘れないだろうだろう。

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