獣人の街 ビラル
無事に獣人大陸に着いたみたいだ。
ここは森の中だが、すぐそばに街道らしき道が見える。
街道を辿ればビラルの街に着くだろう。
というよりもう外壁が見えている。おそらくあれがビラルの街だろう。
こんな近くに送ってくれるなんて、エルビスは気が利くな。
アゲハは今は刀モードになって貰っている。
しばらく歩いてただ今、門の前にいる。遠目から見ていた外壁も近くから見ると物凄くでかい。進〇の巨人みたいだ。高さは30メートルくらいで、直径1キロはありそうだ。門の前には門番が立っている。
「おい。そこの奴止まれ。身分証を見せろ。あと何しに来た。」
随分高圧的だな。まぁ、仕事上仕方ないのかもしれない。
「身分証は持ってない。ダンジョンに潜りに来た。」
これでは入れないだろうか。
「……この水晶に手を置いてくれ。」
門番が取り出したのは何の変哲もない水晶だった。
この水晶に何かあるのだろうか。
不安はあるが、とりあえず触れてみる。
すると水晶が光って数秒すると光が消えた。
「うむ。犯罪は犯してないようだな。」
犯罪?この水晶でそんなことがわかるのか。
犯罪なんて犯してないから当然だな。
だが、数百年経ったこの世界の技術は凄い。あくまでこの世界の数百年前に比べてだ日本の技術には及ばない。向こうの世界には帰りたくないが、技術だけは欲しい。我儘だろうか。
「今回は入っていいが、次からは身分証を持ってこいよ。身分証はギルドで作れるからな。」
意外に親切だな門番。とりあえず中に入ってみて街を見てからギルドに行こう。
ダンジョンに入るのは装備を整えて、レベル上げをしてからでいいだろう。
リリィには悪いが、少し待ってもらうことになりそうだ。
そうと決まれば早速中に入る。
中に入って見ると人が沢山いた。人と言っても、獣人族だ。色んな獣人がいる。猫や犬、クマなども見える。人間もいるにはいるが、殆どが獣人だ。周りを見渡すと、通路が5本扇状になっている。真ん中の通路がとても広く、遠くに噴水が見えた。
とりあえずそっちに言ってみよう。
大通りを歩いているとその脇には露店が多くでている。野菜や肉。アクセサリーなども売っている。だが、露店に用事はないのでそのまま直進。
すると、噴水広場に出て右を見たら他の建物よりも一際でかい建物があった。その横に看板があり、剣と盾の意匠が施されていた。
おそらく、ここが冒険者ギルドだろう。
中に入ってみる。冒険者は荒くれ者が多いイメージだが……。中にはそういう奴もいるだろうが、見た感じそんなイメージは湧いてこない。
冒険者ギルドはテーブルと椅子のセットが数個でカウンターが6つある。どうやら酒場と一緒になってるみたいで、昼間っから飲んでいる人もいる。
それは置いておくとして冒険者登録するために受付に並ぼう。
時間帯なのかどこの受付もそんなに並んでいないので1番近い所に並ぶ。そして俺の番になった。
「こんにちは。本日はどの様なご用でしょうか?」
「冒険者登録がしたいんだが。」
この受付嬢は狐の獣人だろう。狐耳がピコピコと動いている。
「はい。畏まりました。でしたら、こちらの紙に必要事項をお書きください。」
と、言われて紙を渡された。そこには名前や使えるスキル、職業などを書く欄があった。
「これって全部書かないといけないのか?」
「いえ。ですが名前の所は偽名でも構いませんので書いてください。」
って偽名でもいいのかよ緩すぎじゃないですかね。まぁ、ギルド側がいいならいいのだろう。
名前だけ書いて受付嬢に渡す。
「……ハヤカゼ シュンさんですね。こちらでよろしいでしょうか?職業などん書かないとパーティを組むのが厳しくなってしまいますが……。」
パーティは組む気がないから別にいいかなぁ。
「ああ。それで構わない。」
「畏まりました。それではこちらがギルドカードになります。初回は無料ですが、紛失された場合は6銀貨で再発行できます。紛失が多いと最悪ギルド除名処分になりますのでお気をつけください。」
6銀貨か……。意外とお高い。
通貨は
白金貨
↑
金貨
↑
銀貨
↑
大銅貨
↑
銅貨
の順になっている。
銅貨10枚で大銅貨1枚
大銅貨10枚で銀貨1枚となっている。これより上も然り。
1家の年収が大体金貨1枚だから銀貨6枚は中々にお高いのではないか。まぁ、高ランク依頼を受ければ余裕で貯められる額だが。
「冒険者の説明はいりますか?」
説明か……。一応受けておこう。
「ああ。頼む。」
「はい。ではランクの説明を致します。まずランクは例外なくどなたでもFからのスタートです。そこから依頼を受けてランクを上げます。依頼はそのランクの1つ前後まで受けれます。ランクを上げるには、1つ下のランクの依頼を40回。同じランクの依頼を20回。1つ上のランクの依頼を10回。このいずれかをクリアするとランクが上がります。ランクはF~Sまであります。ですが、Sランク冒険者は世界でも3人しかいません。……これがランクの説明です。」
お疲れさまです。なるほど、だけど今はランク上げる必要がないからしばらくは放置かな。
「それと、冒険者同士のいざこざはギルドは介入しませんので。」
まぁ、そりゃそうだわな。ヘタに割り込んで不利益被ったらやだもんな。
「以上で説明を終わります。何か質問はございますか?」
「いや、ない。ありがとう。」
さて、登録も終わったし……宿でも探そうかな。
そう思いギルドを出た。