第七話 護衛作戦、逃走中!(そして一人増えます)
久々の投稿になります!二章スタートです!
エルミア街の王女が行方不明になってから随分時が経った。現在もまだ見つかってない。
騎士、兵士、冒険者などが必死で探している。
「逃げ回っているって……家出?」
「えぇ……そうなんです……」
紅魔は他の者達と違い、探していなかった。
……実際はただ忘れているだけ。緊急クエストの事も、ついでに仲間の事も……
「それで……ええと……」
「あ、ルシエラとお呼びください!」
「そう……。ル、ルシエラは何故家出を?」
「その……家にずっと閉じ込められていて……。それが嫌で……」
要するに外の景色を見て見たいっていう子どもの好奇心みたいなものか……
紅魔は少し感心していた。自分にも感じたことはある。ずいぶん前、小さい頃の話だが。
二人は現在、話しながら歩いている。どこかで止まって身を隠しているより、動きながら相手の行動をみるという、ルシエラの案による。
「行く当てはあるの……?」
「いえ……特には……。とりあえず出ただけなので……」
「そうか……」
困った事になったな……
紅魔はルシエラが行くところがあると思っていた。これではどこに向かえばいいのかさっぱり分からない。
ルシエラの追手に見つかるのは時間の問題。
特に街の中とかでは逃げる、移動するのは制限がある。
「どうしようか……」
「コウマさん? 何か問題でも……」
「……いや、なんでもないよ。なんでもない」
紅魔は安心させるように言ったが、内心では少し焦っていた。いい策が思いつかない。
それにより二人の動きが止まる。止まる事で人目についてしまう。
「……! 王女様がいたぞ!」
「なんだって⁉」
止まっている間に兵士の一人に見つかってしまった。ぞろぞろと人が集まってくる。
だが、紅魔はそんな事を気にしている余裕がなかった。
「……え⁉ お、王女様⁉」
紅魔は驚きを隠せなかった。何も知らなかったが故に、だが。
そのまま紅魔は連行された。勿論、彼はわけがわかっていない。気づいた時には、彼は王宮に入っていた。
一方、ユイナとローラはギルド職員から話を聞き、王宮に向かっていた。彼女らも紅魔と同じように何が何だかわかってない。
「どういう事ですの⁉ なんでコウマさんが王宮に……!」
「分かんないよ! とりあえず行かないと……!」
話を聞いたと言っても、紅魔が王宮に行ったとした聞いておらず、詳しい詳細は分からない。
とりあえず向かう、それしかできない。
「もしかしたら何かまずいことを……」
「そんな事、コウマ君は絶対にしない! だって……」
「分かってますわ、そんな事」
言い合いしながらも走る。とにかく走る。ただただ走る。
目指すは王宮。目的は紅魔に会う事。
その頃、紅魔は王宮の広間……いわゆる王の広間の中央に立っていた。
王の広間なのに、紅魔以外誰もいない。従者も、兵士も、王様もいない。紅魔はどうしていいかわからず、立ち尽くしていた。
「えと……どうすればいいんだろう……」
「待たせたのう……」
その時、広間の奥からいかにも王様という感じの人が来る。その服装、しゃべり方などで王様を見たことが無い紅魔でも理解はできた。
……理解は出来ても頭が起こっている事の理解に追いついていなかったが。
「え、あ、あの……大丈夫です……」
「ほっほっほっ……そんなに緊張しなくてもよい」
「は、はい……」
少し調子狂うなぁ……。
紅魔は王様がいない(もともと日本にいない)国にいたので、勝手がわからない。会話が続かないため相手に気を使わせてるのではと、心配になり始めてきていた。
「あ、あの……。私はどういった用件で……」
「あぁ、その事なんじゃが……。よく娘を見つけてくれたのう。感謝しとるぞ」
「あ、ありがとうございます……」
「本来は恩賞を与えるべきなんじゃが……」
そこまで言って、王様の表情が曇った事に紅魔は気づく。何か気に障ったかと焦る。
(ま、まさか……ここで死ぬ……⁉)
頭の中に死のイメージが一瞬よぎる。足がすくむ。紅魔の体中から冷や汗が止まらない。
だが、事は紅魔の予想とは違う方向に進んだ。
「その……なんというのかの……我が娘が君の事を凄く気にいってのう……」
「は、はい……」
「だから……そのぅ……」
何だろう。言葉の歯切れ?が悪いような……。
紅魔は少しだけ嫌な予感がした。正確には何かが増えるという、嫌な予感が。
「お父様! そこからは私が話します!」
その時、王の広間に一人の少女が入って来た。扉を大きな音を立てて開けながら。
貴族のように華麗な足取りで紅魔と王様の間に入ってくる。
「……初めましてコウマさん。私の名前はルシエラ・エルミアスと言います。この街……国で王女をしております。以後お見知りおきを……」
「は、はぁ……ってルシエラ⁉」
「はい」
「……あ、ルシエラ様でした……!」
紅魔は土下座を敢行した。貴族、王様に慣れて無いとはいえ、流石に『様』をつけて呼ぶくらいわかる。
今ので機嫌を損ねて死刑になんてなったら笑えない。恐る恐る顔を上げる。
「コウマ殿はもしかして貴族には慣れてないのかの?」
「は、はい……」
「なら、今回は不問にしよう。で、話しの続きなのじゃが……」
「私を連れてってください! 決して邪魔にはなりません!」
どうしよう、不安要素しかない。まだ嫌な予感が止まらない。
冷や汗の量が先程より倍増している。というか止まらない。
「……と娘が言って止まらなくてのう。そこでだ、コウマ殿」
「は、はい」
「娘を旅に連れてってはくれんかね。一度言ったら止まらなくてのう……」
「は、はぁ……」
「もちろん、それなりの報酬は出す。なんなら、結婚しても構わん!」
「お、王様! それは流石に……!」
「そうですわお父様! そういうのはもっと段階を踏んでから……」
もうだめだ、ついて行けない。理解が追いつかない。
紅魔は思考を停止させた。再び思考を開始した頃には、ルシエラがついてくること、その護衛をすることが決まっていた。
「……続くのか、この子の護衛……」
紅魔にまた一人仲間が増える。それは、紅魔の心配ごとを一つ増やしていた……
いかがでしたか?こちらの事情で両立が大変ですが、頑張って投稿します!
次回もよろしくお願いします!