第六話 高難易度?少女を守りきれ!
超久しぶりの投稿です!読者の皆様、待たせてしまい申し訳ありませんでした。
第六話、スタートです!
いつもは平和なレルミアの街。しかし、今の街はそのイメージから大きく離れていた。
「王女様を探せ! なるべく急ぐんだ!」
「はい!」
この街の名物依頼とも言える王女を見つけ出すという緊急依頼。この依頼の期日はとても短く、期日が過ぎると王女は王宮に帰ってくる。
そのため、王宮側もこれといった対策をせず、紅魔達……依頼を受ける人間に任せっきりだった。
では、何故こんなに慌てて捜索しているのか?その理由は簡単だ。王女が期日を過ぎても帰ってこなかったためである。
「くそ、まだ見つからないのか?!」
「も、申し訳ありません、隊長! この街にいる冒険者を総員出動させましたが、手がかりも掴めてなく……」
因みに期日が過ぎてから数日が経過している。最初は街中だけ捜索していたが、日が経つにつれて捜索範囲が拡大していき、今は街の外までに広がっている。
「こんなことになるなんて……」
「思ってませんでした……」
ちょうど緊急依頼が出た時期に来た紅魔、ユウナ、ローラの三人も捜索に協力していた。
捜索範囲が広いため、三人で手分けして探すことになった。
「ユウナさんはどうでした……?」
「だめ。まったく情報なし。そっちは?」
「こちらも同じようなものです……」
二人はお互いが得た……と言いにくい情報を伝え合う。
同じような情報を聞いた二人は顔を見合わせてため息をつき、疲労の影響かその場にしゃがみ込んだ。
「はぁ~……。疲れた……」
「そうですね……。コウマさんの方はどうなったのでしょうか?」
「さぁね……」
二人は曇った空を見上げる。その空模様はまるで、この先の未来を表しているかのようだった……。
……主に紅魔との関係だが。
一方、紅魔は一人街中を駆け回っていた。彼は主に、人目の付かなそうな路地や小道、裏道などを見て回った。
大通りは沢山の冒険者が捜索していたためで、紅魔が最初から立てた作戦ではないが、こちらの方が遥かに都合がよかった。
「大通りと裏路地を同時に見れるのはちょうどいいけど……。流石にきついぞ、これ……」
時刻は既に夕方。朝からずっと探していた紅魔に、体力の限界が訪れる。
今日はもう諦めて帰ろう、そう思った時だった。紅魔の視界の端に、何かを囲む様な感じの男数名がみえた。
「なにをやっているんだ? あれ……」
なるべく気付かれず、話し声が聞こえる位置に紅魔は移動する。
この光景どっかで見た事あるような……
「そう、まるで……」
「オラ、嬢ちゃん。ぶつかっといてそれはないだろう?」
「だから、何回も謝っているではないですか!」
「……やっぱり」
紅魔の予想は的中。ドラマやアニメによくある、少しぶつかっただけで絡んでくる奴等のようだった。
こういうのはできるだけ関わりたくない。しかし、見捨てる訳にもいかない……
そしてなにより、顔を覚えられるのか面倒だった。この手の奴等は必ず仕返しに来る。有名な、今回は兄貴(親分)を連れてきたぜ! とかなんとか言って。
「何かいいもの……。ん?これは……」
紅魔は側に何かを見つけ、拾ってみる。それがなんなのか理解した瞬間、紅魔は襲われている子を助け出すアイデアが浮かんだ。
「謝って済んだら憲兵なんて要らねぇよ!」
「そのフード取れやぁ!」
「きゃっ?!」
男性の一人が少女のフードを乱暴に取る。そこから現れたのは、長い薄い桃色の髪の毛。顔も可愛い、絵に書いた美少女がいた。
「お? 嬢ちゃん、可愛いじゃねぇか?」
「なぁ、みんなで遊ぼうぜ?」
「いいねぇ!」
「あ、遊びって……?」
「決まってるだろ? 大人の遊びだよ!」
「……!」
その言葉を機に、紅魔は走り出した。勢いに任せ、男一人に飛び膝蹴りをお見舞いする。紅魔の体格は普通の人より良いので、直撃した男性は地面を転がりながら壁に激突。そのまま動かなくなった。
「な……?! 俺の仲間にいきなりなにしやがる!」
「通りすがったら、少女を襲っている変態を見かけてね……。今にも手を出しそうだったから守っただけさ」
「なんだと?! 貴様、一体何もんだ!」
「たがら、さっきも言っただろう? 通りすがっただけの……旅人だと」
「ふざけんな! だったらまずそのお面をはずせぇ!」
紅魔がさっき見つけたもの。それはきっとお祭りなどに使われるお面だった。
そして、普段は人見知り体質気味なのに、紅魔は何故か落ち着いていた。 いつもみたいに敬語で話していない。
男性が二人がかりで襲ってくる。日頃、魔物を相手にし、レベルもそれなりの紅魔にとって、避けることは簡単だった。
「くそ! こいつ、全部避けやがって……!」
「なんでかすりもしねぇんだ?!」
「……これ以上君達に怪我を負わしたくない。実力の差も実感しただろう? 逃げる事をおすすめするよ」
「ちっ……!」
「お、覚えてろよ!」
紅魔の言葉に、男性達は素直に従った。気絶した男性を抱え、走り出す。
その背中が完全に見えなくなったのを確認してから、紅魔は被っていたお面を外した。
「あ、あの……。ありがとうございます……」
「いえいえ。たまたま見かけただけです」
紅魔は少女を不安にさせないように笑顔で返す。それを見た少女の表情が少し明るくなった。と紅魔は感じる。
「本当にありがとうございました……。では私はこれで……」
「どこかにいくのですか?」
「はい……。実は少し逃げ回っておりまして……」
「逃げ回る?」
「はい……。あ、決してお尋ね者ではありません!」
「大丈夫ですよ。そうおもってませんから」
……不安だ。何故か知らないけど、このまま一人で行かせると後悔するというか、まずい気がする。
紅魔は少し考えた。もし、次このような事が起こったら。今回は偶然自分が助けたから良かったものの、次も誰かが来る可能性はない。
なら、答えは一つ。
「あの……。よかったら僕も一緒に行動しましょうか?」
「え……?」
「またこの様な事があったら、僕が守りますから!」
「いいのですか?」
「構いませんよ」
本当はただ目を離したら危ない予感がしただけなのだが。あえて本音は言わない事にした。
ある意味、難易度が高い(?)紅魔の護衛が始まった……
いかがでしたか?あと2話、もしくは次の話で1章が完結(予定)!
次回もよろしくお願いします!