第六十二話 魔法の蜜入りパンケーキ
大変お待たせしました!
ハラハラドキドキ、冒険とラブコメ(は?)がある「いせぼっち」第六十二話になります!
ついに結論を導き出した紅魔。
その方法は……あれ? 誰でも想像できるような物な気がするのは俺だけかな?
ど、どうぞお楽しみください!
「……よし、料理に混ぜて飲ませよう」
悩んだ末に、俺はある一つの結輪に至った。
料理に混ぜ込めば、多分ばれないんじゃないのかと。
「馬鹿言わないで、コウ。貴族の食事は入念に審査されているわ。もちろん、毒見の人もいる」
「そ、それに食材の成分と反応して効果が薄れるかも……」
「ぐぬぬ……」
そりゃそうか。なんでそんな重要なこと見落としてたんだ。
アニメでも小説でもそういう役割の人いたじゃないか!
そしてリィスの言い分も一理ある。万が一成分が変化して、効能が消えたら元も子もない。
「くそ……いい案だと思ったんだけどな……」
「だいたい、何に入れるつもりだったのよ」
「えっと……スープとか……」
「普通、スープに花の蜜なんて入れないと思うよ、お兄ちゃん」
「ですよね……」
自分より年下の女の子に諭される俺っていったい……。
スープに蜜入れる料理あったような気がするんだけど、こっちの世界ではないんだな……。
ああ、なんか俺の知っている料理で蜜使うやつないかなぁ。
「はぁ~……。ずっと甘い話をしていたから、甘いものが食べたくなってきたわ」
「リィスもおなか空いてきちゃったな~。キーラお姉ちゃんなんか作って~」
「そんなこと急に言われても……。買い出しの前だから、準備できるものが限られてくるんだけど……」
「えー……。甘い物だったらなんでもいいから~」
「そうね……。パンケーキなら今すぐ用意できるけど……」
俺は、今キーラさんが言った言葉に耳を疑った。
……いま、『パンケーキ』って言わなかったか?
俺の耳が病気とかそこらへんじゃなかったら、確かに『パンケーキ』って言ったよな。
「ふふふ……あはは……あっはっはっ!」
「ど、どうしたのお兄ちゃん? もしかしてまだどこか治ってないの?」
「いや、そうじゃないよリィス。ただ、解決策が見つかったんだ」
「解決……策……?」
「ああ。そしてそのためには……また、皆の協力が必要なんだ」
「……来たぞ、キーラ。急なようとは何なのだ?」
「えっとね、今度新しい新作料理を出すから、その感想が欲しくって……」
「新作料理の感想だと? それなら、私なんかより市民の皆に協力してもらった方がよくないのか?」
「それでもいいんだけど、貴族のお墨付きがあった方が何かと人が集まるでしょ?」
「私はよくわからないが……。キーラがそう言うのであれば間違いないのだろう。協力させてもらうぞ」
……よし、シャルさんの方は突破した。
なら、後は必然的に……。
「いいんですか? 私たちも召し上がって……」
「もちろん! ぶっちゃけ、こういうこと頼める人って中々いなくて……」
「そういうことでしたら、私たちも協力しないわけにはいきませんね」
「ええ。キーラさんには何かとお世話になっていますし」
「あはは……。ありがとう、皆」
これで何とか課題をクリアできそうだ……。
ちなみに、キーラさんの言っていることは全て嘘である。
シャルさんやユウナ達に食べてもらうのは確かに新作だが、それは彼女たち専用の物。
「今、持ってくるからちょっと待っててねー」
しっかし、シャルさんを呼ぶのに苦労したなぁ……。
というか、ついさっき気づいたけどリサさんはどこに行ったんだろうか?
確か最後に見た時はシャルさんの所に戻って行ってたような……。そこから一度も見てない気がする。
シオンさん達に聞いてもここ最近見かけてないって言ってたし、何かあったのだろうか?
彼女がいれば、もう少し楽になったのだが……。まぁ、結果として作戦は進んでいるから問題はない。
……いや、あるか。これが終わったら探しに行こう。
「お待たせ~。と言っても、珍しい物じゃないよ? ただのパンケーキだし」
「パンケーキ? それ、前からキーラ亭にあった気がするが……」
「そうなんだけど、味付けが少し違うのよ。この間、ある道で偶然いい蜜を見つけてね。味見したら今まで食べたことがないほどおいしくって」
「それで店で取り入れることにした……ということですか?」
「まぁ、そんな感じ。さぁ、温かいうちに召し上がれ!」
キーラさんによって、四人の前に形が綺麗に整ったパンケーキが出される。
金色に輝く蜜が、重なったパンケーキから垂れて……ってやばい。凄くおいしそう。
見てるこっちもおなかが鳴りそうだ。だが、今はその欲求を抑え込んで我慢する。
今ここで何かやらかしたら全てが台無しになる。それだけは絶対に避けないと……。
「キーラ、この蜜はなんだ?」
「さぁ……? 特別に取り引きしてくれる代わりに、製造方法、品種名などの情報は全く教えられてないのよねぇ。まぁ、それでも儲けものだと私は思うけど」
「そうか……」
ここも事前に打ち合わせしてある部分だ。
ユウナ達はともかく、シャルさんは知っている可能性がある。シオンさんが知らなかった時点でその可能性は低いわけだが、万が一のことも考えて打てる手は全て打っておく。
「では、いただくとしよう」
「「「いただきまーす」」」
多少の疑い、疑問点が晴れたのか、四人は【追憶の花】の蜜がかかったパンケーキを食べ始める。
「……! これは……!」
「凄く……おいしい……!」
「キーラ様の言う通り、確かにこれは味わったことありません……!」
「口の中に入った瞬間、とろけるように消えて……。後味もいい……。最高の一品ですわ……!」
よしよし、皆に好評だな。
……というか、皆食レポするのうますぎないか?
ますます食べたくなったんだけど……。俺も後でいただこうかな。
「キーラには商才があるのかもな。この商品は間違いなく売れると思うぞ」
「そう? シャルにそう言われると自信つくよ~!」
よほどおいしかったのか、そう待たずして四人は完食する。
……だが、俺が望むような結果は訪れなかった。
どっからどう見ても、あの四人に記憶が戻った兆候が見られない。
「……!」
俺はキーラさんに目配せし、予め立てておいた作戦を実行するように伝える。
それに気づいたキーラさんは、小さく首を動かし頷いた。
……本心を言うなら、こういうことはない方がよかったのだが。
もし効能が効かなかったとき、変に引き延ばして様子を見るのはばれる危険性があるのでまずい。
「今日は来てくれてありがとう! もうすぐ開店時間になるから、感想文は明日の朝出しに来てね!」
「む? もうそんな時間か……。もっと話をしたいが、仕事の邪魔をするわけにもいかないな」
「私たちもすることあるし、帰ろっか。今日はありがとう、キーラさん!」
「はい~。これからもキーラ亭のことをよろしくね~」
「……どうするのよ、コウ。まったく効き目なかったじゃない」
「お、おかしいな……。使い方は間違ってないはずなのに……」
「もっと何か別の条件があったりしないの? お兄ちゃん」
「いや、それはない」
ピアニーさんなどから、そんなことは一切聞いてない。
すると、何かもっと別の理由があったりするのだろうか。まさか直飲みしないといけないとか。
……いくら友人の頼みでも、『花の蜜を飲んでくれ!』って言われて飲む人間がいるだろうか?
俺だったら絶対に飲まない。何かと嫌な予感がするし。
過去にそれで失敗したことあるし……。
「とりあえず、花の蜜は取り込ませたんだし様子を見ない? あの蜜、効果の反応がないからって沢山使えばいいってものじゃないと私思うんだ」
「確かに一理あるけど……」
「そうよ、コウ。【追憶の花】を試す度に呼び出してたら不自然よ。実際、新作メニューなんてないわけだし」
「ばれた時が一番怖いよね……」
三人の意見に、何も言い返せない。
いや、俺も何となくそう思っていたから何も言えないだけなんだけど。
昔の俺だったら、こんな時どんな事思ってたんだろうな……。
「……よし、結果が出るまで待とう。だけど何かあった時駆け付けられるよう、監視を頼めるかい、リィス?」
「まっかせて! そういうのは大得意だから!」
「なら、この通信機を持っていきなさい。何か少しでも変なことがあったらすぐに連絡するのよ」
「はーい!」
これで、異変が起こった時対処できる体制は整った。
何か起こって手遅れってことになったら目も当てられないかな。
……だが、現実はいつもいつも、俺が想像している斜め上の最悪なことが起こる。
この時、俺はまさかあんなことになるとは知らずに……。
いかがでしたか?
今回のお話も楽しんでいただけたでししょうか?
いやー……令和になってからもう一月経つわけですね。
時の流れは速いというかなんというか……。
それに比例するかのように私のやることはどんどんたまっていってるんですよね……。
ものすごく泣きたい。
(まぁ、自分の進みたい学科だから苦は感じていないんですけどね(笑))
これから梅雨の時期に差し掛かるわけなのですが、読者の皆様は梅雨は好きでしょうか?
私? 私はどちらかというと嫌な方ですね。
湿気のせいで湿度爆上がり、とても蒸し暑くなりますし。
……あぁ、電車止まんないかなぁ……。
(他の方々に迷惑が掛かるのでそんなことを思うのはもれなくやめなさい)
そして、いつも読んでくださっている読者の皆様。
本話もお読みいただきありがとうございます! ますます楽しくなっていく「いせぼっち」!
これからの展開にも期待していただけると嬉しいです!
これからもよろしくお願いします!
(読者がいるというだけで活力になります!)
また、ブックマーク、レビュー、感想等いつでもお待ちしております!
(より良い作品にしたいため、してくださるとうれしいです!)
では皆さん、次回第六十三話にてお会いしましょう!




