第五話 新天地……騒動は付き物⁉
一カ月ぶりの投稿お許し下さい!
第五話、開始です!
高い建物、立派な宮殿、高級な服を着る人々……
紅魔達三人は新しい街……彼らにとっての新天地に来ていた。紅魔が異世界生活を始めてからこの世界の時間で一カ月が経過。
レベル(ステータス)も最初の頃よりだいぶ上がっている。それは、ユウナとローラも同じだった。
そこで、ユウナが二人にある提案をする。
「レベルもだいぶ上がった事だし、そろそろ新しい街に行かない?」
「新しい街……か?」
「うん! お金もあるし、装備品も色々買いたいから……どうかな?」
「いいと思います!」
「うん。僕も賛成かな」
「……余計なのが一人いなければもっとよかったのに」
今の小声の独り言は聞かなかった事にしよう。
紅魔はそう硬く誓った。今後、こういう独り言を聞いたら、絶対に。
目に映るものが新しく、新鮮だったため、つい先日の出来事を紅魔は回想していた。
ふと隣を見ると、紅魔の顔を覗き込むようにして見ている二人に気付く。
「あ、あの~……。なにか……?」
「ううん。なんかずーっと止まっていたから……。大丈夫?」
「なにかありました?」
「いや……。ちょっといろいろね」
「そう……」
因みに紅魔はユウナとローラには慣れ、話し方も一般人のそれと変わらなくなった。二人以外の人物には、あんまり話しかけないが。
三人は、新しい街――『レルミア』のギルドで登録を済まし、ユウナの当初の目的であった買い物に赴くことにした。
「どんな装備があるのか楽しみだね!」
とても意気揚々とした雰囲気で武具店に入る三人。だが、その気分はあっさりと打ち砕かれることになる。
「た、高い……」
「私の持ってるお金じゃ全然足りない……」
「レルミア製の商品は良く、その分値段も張ると聞きましたが……。まさかここまでとは……」
「そんなにいいの? この街の武具は」
「ご存知ないのですか、コウマさん。その品質の良さに、わざわざ遠方から買いに来る方もいるほどなんですよ」
「そうなんだ……」
ローラの解説で色々と納得する紅魔であったが、装備品が買えない事に変わりはない。
三人は武具店を後にすると、真っ直ぐギルドに向かった。お金が足りないなら、依頼をこなして貯めるしかない。当たり前の考えからの行動だった。
「……多額報酬の依頼があるといいわね」
「それを願うしかないですね……」
「あははは……」
三人は暗い気持ちでレルミアのギルド内に入った。依頼を受けようと掲示板に向かう。
が、ギルド内は騒然としていて、受付の係員が館内を慌ただしく駆けまわっている。とても依頼を受けられる様子ではない。
「あ、あの……何があったんですか?」
「あ、先程登録してくださったコウマさん! ええと……これはですね……」
「王女の脱走です」
紅魔が話しかけた係員が返答に困っていると、代わりに先輩格の係員が答えた。こんなところでもしっかりと上下関係があるのは、何処でも変わらないんだと紅魔は実感。
紅魔はのんびりとしていたが、ユウナとローラは慌てていた。
「お、王女様の脱走って! 一大事じゃないですか⁉」
「なんでコウマ君はそんなに冷静でいられるの⁉」
「そ、そんな事言われても……」
紅魔の住んでた所ではほとんどない(多分無い)経験。あまり実感がわかないのも無理が無い。
(どうリアクションすればいいんだろう……)
何か参考にと、紅魔はギルド内を見渡す。皆、ユウナ達と同じような反応をしている。ただ、慌てているというよりかは、ソワソワしているみたいな感じだ。
「なんで皆楽しそうなんだ?」
「それはですね……。実は王女様の脱走は今回が初めてではないんです」
「へ、へぇ~……」
毎回脱走するお姫様はどうかと思うが……。今は気にしない事にした。紅魔は内心凄くツッコミを入れたいと思っているのだが。
「そこで王様が緊急クエストという事で王女様捜索を……」
「緊急⁉」
「クエスト⁉」
『緊急クエスト』。その単語を聞いただけで二人の態度、目の色が変わる。その変化に、紅魔が一番驚いた。勿論、紅魔は何が何だがさっぱりわかってない。
「それっていったい……」
「報酬がいつもの依頼より多い依頼の事だよ、コウマ君! いつもはめったにないんだけど……」
「これはチャンスです! 一気に稼ぐ事が出来ます! どうですか、コウマさん」
「う――ん。二人がいいなら……」
「やった! 決まりですね!」
「うん! すみません、この依頼受けます!」
「は、はい!」
(簡単に受けちゃったけど……。大丈夫なんだろうか……)
少し不安に思いながら紅魔は緊急クエストの張り紙を取り、詳細を見る。
それには、『期日は発生から三日後。宮殿に連れ帰った者には多額の報酬を出す』と書かれてあった。脱走の為、期日は無制限だと思っていたが、そうではないらしい。
「このクエスト、期日があるんですが……」
「あ~……なんでも三日たつと帰ってくるらしいので……」
三日経過すると帰るって、それは脱走と言えるのだろうか……
紅魔の想像していた脱走とは、まったく違う。その事に彼は驚きを隠せなかった。
「手分けして探しましょう! その方が効率が……って、ギルドにいた人がもういませんわ⁉」
「えぇ⁉ 急いで探さないと! 行くよ、コウマ君!」
「え、あ、ちょっ……」
二人の勢いに押されるがまま、紅魔はギルドの外に出る。しかし、こういうのもありかなと内心思う紅魔であった……
一方、レルミアの何処か……
「……今日は絶対に帰らないんだから!」
辺りを警戒しながら逃げている女性が一人……
いかがでしたか?次回からなるべく早く投稿します!これからもよろしくお願いします!