第三話 生きてくための仲間探し?
三話目です!
紅魔の異世界生活は苦労そのもの⁉
お楽しみください!
普段は静かな森。だが、今日はいつもと違う様子だった。
「ぐおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」
「……っ!」
盛大なモンスターの雄叫びが森中に響く。そのモンスターはゴブリンの一種。
しかし、図体が他のゴブリンと比較できない程大きい。そのため、一般人や冒険者からは『キングゴブリン』と呼ばれている。
「どうして……。なんでこんな所にキングゴブリンが……」
突然現れたキングゴブリンに動きを止めるユウナ。目の前のモンスターに完全に怯えている。
だが、キングゴブリンはそんなユウナの事など知らない。獲物と判断し、持っているこん棒をユウナに振り落とす。
ユウナは気づいた様子が無い。
「おい! しっかりしろ!」
「どうして……。このままじゃ……」
「……!」
逃げる様子がないユウナを、紅魔は抱きかかえ走る。紅魔が通り過ぎ、ユウナがいた所にこん棒が当たる。
こん棒が当たった所には、大きな穴ができていた。
紅魔はキングゴブリンの視界から外れる所まで走る。その頃には、ユウナも正気を取り戻していた。
「あ、ありがとうコウマ君……」
「危なかったぞ、まったく……。それよりどうするんだ?」
「今の私達じゃどうにも……。逃げるしか……」
ユウナはそういうが、紅魔は逃げられる気がしなかった。今もキングゴブリンは紅魔達を探している。
(一度狙ったやつは逃がさない……か……)
これでは迂闊に動けない。動いたら見つかる。絶対に。
「何か弱点があれば……」
「普通のゴブリンは火とか見れば逃げ出すんだけど……」
「火? どうして……」
「昔になんかあったらしいんだけど……。今は関係ないよね……」
確かに関係ないけどな……。
紅魔は終わりを感じる。その時、頭に親の事が浮かんだ。
何故だか知らないが、父親の言葉が特に浮かぶ。
「いいか~。よく聞けよ、紅魔」
あれは確か……RPGのゲームをしている時だったかな……。
死に際でもないのに走馬燈のようなものが見える。平和な所にいた紅魔にとってはそれほど怖かった。
「この手のRPGゲームはモンスターのサイズが違っても弱点が同じことが多いんだ。だから、とても対処が簡単なんだぞ~。覚えておけよ~?」
こんな思い出、何の役に立つんだよ……。
紅魔は一人笑う。その様子を、ユウナは少し可哀そうな人を見る目で見ていた。
「ははは……。ってちょっと待てよ。この状況……」
目の前にはキングゴブリン。その小さい個体であるゴブリンの弱点みたいなものは判明している。
「もし、親父の言う事があってたら……」
「コ、コウマ君?」
「ユウナ……一か八かでやってみるぞ……」
大体の人が寝付き、ギルドが閉まる時間帯に二人の人間が訪れる。
「あ、すみません。もうそろそろ閉まるので……」
「い、いえ……。クエストの報告です……」
その二人は息切れをしていて、今にも倒れそうな勢いだった。
ギルドの係員は少し後さずりながら二人をカウンターに連れていく。若干引いているが、笑顔は崩さない。
「あ、あの……どのクエストを……」
「ゴブリン討伐です……。五匹達成しました……」
「い、今確認します! 受注者は……ユウナさん⁉ 達成したんですか⁉」
「はい……」
ギルドに入ってきたのは紅魔とユウナだった。
あの時、紅魔の指示で炎の矢を製作。キングゴブリンに向けて矢を放った。
紅魔の考え通り、キングゴブリンも火が苦手らしく、矢が当たると慌てて逃げて行った。
「これで報告完了です! お疲れさまでした!」
「ありがとうございます……。コウマ君、今日はもう遅いしまた明日……」
「あ、あぁ……。ってどこに泊まればいいんだ?」
「大丈夫。部屋は取ってあるから……。じゃあね~……」
「お、おう……」
こうして紅魔の異世界生活初日が終わった……。
翌日、早起きの紅魔は掲示板にある張り紙を貼った。勿論ギルドの許可は取ってある。
しっかり貼れている事を確認した紅魔は、ユウナが起きてくるのを待つ。
「今日は何をするのかな……」
「あ、あの~……。すみません。少しよろしいでしょうか」
「は、はい!」
呆けている時に声を掛けられ、飛び上がる程驚く紅魔。後ろを振り返ると、そこには綺麗で高貴そうな女性が立っていた。
金髪で、胸はユウナより大きい。しかし、背が少し低い。紅魔の世界で言うと『ロり居乳』の分類に入りそうな女性だった。
「何でしょうか?」
「先程、仲間募集の張り紙を見まして……」
「で、でもよく俺だって分かりましたね……」
「あの……その……貼ってる所を見まして……」
女性(今後から女の子)は恥ずかしそうに答える。その仕草があまりにも可愛く、紅魔は少しドキドキしている。
だが、周りの反応はいまいちだった。それどころか、遠さがっている。
「そ、そっか……」
「あ、あの……駄目でしょうか……」
「い、いや。そういう訳では……」
「……分かりました。なら実力を見せます!」
「ちょっと待ってください。どういう流れで……」
「魔術師ローラ、頑張ります!」
「だからちょっと……」
「さ! 早く行きましょう!」
この子人の話を全く聞く気ない! そして話を勝手に進めすぎ!
紅魔は少し待ってほしかったが、彼の願いは叶う事なく話が進んで行く。昨日のユウナと同じ様にクエストを決められ、連れていかれた。
紅魔とローラがギルドを出た頃に、ユウナが起きて来た。
「おはよ~……。コウマ君、今日は何する……ってあれ? コウマ君はどこ?」
「コウマさんなら、金髪の貴女ローラさんに……」
「……え?」
ユウナは口を開け理解できないという顔をする。
「あ……あのローラ『お嬢様』……と?」
いかがでしたか?
次回もよろしくお願いします!