第二話 異世界で初バトル、初仲間
お待たせしました!
……の前に、明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!
異世界で会員登録を終えた紅魔は、自分に何かと教えてくれたユウナに報告する事にした。
「本当⁉ 能力検査で登録できたの⁉ 凄い!」
彼女は凄い良い笑顔で紅魔の登録を祝福。紅魔にとっても嬉しかった。
彼の想定内の反応と同じものであったが。
「この後はどうすれば……」
「うーんとね……まずは職業、自分の役職を決めないといけなんだ」
「役職?」
「そう! 例えば……狙撃手とか、剣士とか!」
そう言いながらユウナは紅魔に紙を渡す。そこには役職の一覧、使えるスキル、初期ステータスなどが分かりやすく書かれてあった。
「この上級職ってのは?」
「それはね、沢山経験値とか、スキルとかを得るとなれるんだ!」
「ふぅ~ん……」
折角異世界に来たからなってみるのもいいかな……と紅魔は考える。
そんな事を考えていると、ギルドに泥だらけのパーティが入ってくる。その人達の表情はとても輝いていた。
まるで、依頼に何かいい意味のアクシデントがあったかのように。
「お疲れさまです! 何かあったんですか?」
「ああ! 経験値を沢山落とすモンスターの群れに遭遇したからな。おかげでレベルが十以上もあがったぜ」
「それは良かったですね!」
なるほど、成功したらああなるのか。
紅魔はその光景をずっと見ていた。成功例は見てマネする、彼の変な癖の一つである。
「それで、ユウナさん。次には……」
紅魔はじっくり観察した後、もう一度ユウナに話を振る。
が、彼は彼女を見た時次の言葉がまったく出てこなかった。ユウナは成功したパーティを見る事なく、明後日の方向をずっと見ている。
「あ、あの~……ユウナさん? どうしてこっちを見ない……」
「お、『ボッチのユウナ』じゃねえか! あれから仲間は見つかったのか?」
先程のパーティの男性メンバーの発言に、ユウナの表情が曇る。
その男性に悪気はないようだが、ユウナは今にも泣きそうだった。
「まだ……だけど……」
「そうか? ……あ、もしかして勧誘中だったか?」
「無理よ。その子超弱い狙撃手だし。誰も組んでくれないでしょ」
「やーい! 一生独り身の残念子ちゃ~ん!」
「「ぎゃははははははははははははは!」」
パーティの女性の一人がからかうと、後に続き他の人がからかいだす。現代的に言うといじめに等しい。
そう感じた紅魔は、気付いた時にはユウナの前に立っていた。
(あれ? なんで俺こんな事してんだ?)
理由は分からない。だが、自分の中にある『なにか』が自分を動かしている。
「……悪いけど、ユウナはもう一人じゃない」
「は? お前正気か? このユウナは弱小なんだぞ。そんな奴と組んだって……」
「んなもん関係あるか。俺は誰がなんと言おうとこの女の子と組むぞ。……いいよな、ユウナ」
「は、はい!」
「そういう訳だから。じゃあな」
そう言うと紅魔はユウナの手を引き歩いて行った。その姿はまるでかっこいい男性そのもの。
(や、やばい……! 何てことを口走ったんだ俺……!)
内心は焦りまくっていたが。
ギルドを出て、なるべく人通りがない所へ行く。
「あ、あの!」
「は、はい! なんでしょうか、ユウナさん!」
「ユウナでいいです……。その……本当にパーティを組んでくれるんですか?」
「もちろんだ。ああいったからじゃない。本心からそう思っている。その……これからよろしくお願いします?」
「……! こちらこそよろしくお願いします!」
ユウナはとてもいい笑顔で紅魔にそう言った。その笑顔を見て、紅魔は自分の選択が間違ってなかったことを実感する。
(父さん、母さん。俺、この世界なら何とかやって行けそうです……!)
別の世界にいる両親に向かって、何かを決意しながら。
「さ! 早速クエスト受けに行こ! コウマ君!」
「え、ちょっ……まっ……」
無理やり連れていかれる紅魔は、若干の不安をこの時感じた……
「さ~! 張り切っていくよ!」
「そ、そうだな……」
二人は今森の中にいる。中と言っても入口から遠くは無い。
「ゴブリン五匹討伐……簡易クエストの一つね」
「そうなんだ」
「うん。二人なら楽勝だよ! ……本当に剣士でよかったの?」
「ああ。ユウナは後方向きの職種だし。前衛職がいたほうがいいって紙に書いてあったしさ」
クエストを受ける前、紅魔は職種を選択した。能力検査を通ったので上級職になれるかと思ったが、現実はそううまくいかないらしい。最初は基本職と言われ、前衛を選択。
次に武器を買った。お金を持ってなかったが、ユウナが何故か払ってくれた。勿論安物の剣。
奢りだから高い剣を買う程、紅魔はクズではない。
「っと……来たみたいだ。どうすればいい?」
「とりあえず攻撃して! 背後を取られたりしたら援護するから!」
「分かった!」
紅魔はユウナに言われた通りに攻撃してみる。運動は比較的できる方なので、剣を振るっても動きに不自然さはない。
来たのはニ匹。紅魔は剣を一撃、二撃、三撃と当てていく。
「いったいいつになったら倒れるんだ……⁉」
「私たちレベル低いから……ちょっと苦労するかも!」
「くっ……! それでもやってやる!」
そのまま何撃もゴブリンに当てていく。十数撃目で、一体のゴブリンが倒れる。
「はぁ……はぁ……。あれ? あともう一匹は?」
「あ、コウマ君! 危ない!」
紅魔の背後に回ったゴブリンを、ユウナが弓で射落とす。ニ匹のゴブリンは昇天するかのように消えた。
「あ、ありがとう。ナイスアシスト」
「えへへ……。あと三匹だよ! 頑張ろう!」
ニ匹倒すのに時間があまりかからなかったため、早く終わると思ってた。が、ゴブリンを探すのに時間がかかり、クエストの五匹倒すころにはすでに夕方。
二人は疲れたのかその場に座り込む。
「お、お疲れ~……。意外と大変だったね……」
「あ、ああ……」
「でも、今のでレベルが四まで上がったよ。やったね!」
紅魔も自分の会員カードを出す。登録した時に色々と教わったので、何が書いてあるのかはわかる。
自分のステータス欄を見ると、ユウナと同じ様にレベルが四まで上がっていた。
「さ、帰ろう! 報告しなきゃ!」
「そうだな……」
二人が立ち上がろうとした時、後方から地響きが聞こえる。
「「……は?」」
不思議に思って振り返ると、そこにはゴブリンがいた。体格が今までのと比べものにならないぐらいの。
「嘘……。キングゴブリン……? なんでこんな場所に……」
「キングゴブリン?」
「……今の私たちだと、相手にならないモンスター……」
「お、おい……まじかよ……⁉」
紅魔はただ固まるしかなかった。横で同じようにしているユウナのように……
いかがでしたか?
今後ともよろしくお願いします!