第99話 【クリスとのクエスト・2】
クリスが俺達の席に着いて少し話をしていると1人の男性が近づいてきた。
「よっ、レイ久しぶり」
「お久しぶりです。ディッズさん」
近づいてきた男性は、父さんの友人のディッズさん今日はユニオンの人達と来ているみたいで後ろに魔法使いの人や剣士の人が居た。ディッズさんのユニオンメンバーとは会うのは初めてだったので後ろの人達に軽く挨拶をした。
「なあ、レイもしかしてだがその女の子は…」
「ああ、ディッズさんは鑑定持ちでしたね。そうですよこの子は俺の新しい従魔のクレナです。本来は、レッドワイバーンですが今は人化させてます」
「やっぱか、よくもまあ人化出来る従魔がそうポンポン見つかるな俺の知り合いの魔物使い何て10年位従魔を使って生活してるが人化出来る従魔を手に入れた事ないって言ってたぜ」
「う~ん、俺の場合いつの間にか自分の所に居たんですよね。エルダの時もあいつから近寄って来たしこいつも帰る場所がないから俺の所に来たようなものですし」
「へぇ~、レイは人間だけじゃなくて魔物からも好かれているんだな、よっ色男」
ディッズさんは、そう揶揄う様に俺に言ってきた。クリスとクレナは俺がディッズさんと話しているのを黙って聞いていてディッズさんのユニオンメンバーの人は「子供を揶揄うなんて止めなさい」と言っていた。
俺は、揶揄っているディッズさんに小声で次の言葉を言った。
「…クッキー上げない」
「…レイ、悪かった。許してくれ。だから、クッキーだけは…」
言った瞬間ディッズさんは、素早く笑っていた顔を元に戻しバッと頭下げて謝った。
「う~ん、馬鹿にされたし10日間は我慢して貰うよ。その後は、俺が気が向いたら渡しに来るよ」
「ちょっレイ君悪かったって、クッキーないと俺…」
ディッズさんがそう言った時、丁度良くラフィさんからの呼び出しがあったのでディッズさんを放置してクリスとクレナを連れて受付の所へ移動した。
「はい、ギルトカードにクレナちゃんの従魔登録完了しました」
「ありがとうございます。あと、これからクリスとクエストに行くのでそれの手続きをして貰っていいですか?」
俺は、ラフィさんからギルドカードを受け取ってからそう言った。
「はい、分かりました。今回向かうクエストはどのクエストですか?」
「これです」
クリスは、クエストボートから取ってきた紙を出した。
「【草原に現れた5体のオーク討伐】ですね」
ラフィさんは紙に書かれた文字を読み手続きを開始した。手続きは直ぐに終わり俺達はギルドを出て草原へと向かった。出てくる時、ディッズさんがまた寄って来たので俺は二人と走って門の所まで逃げた。
「う~ん、草原と言っても王都周辺の草原は広いから探すのが手間だな…」
「そうだね。探すのに時間が掛かるのがダンジョン以外のクエストの難点だよね。せめて、場所がはっきりとわかっていればいいんだけどさ」
「まあ、それが出来たらこうやって冒険者なんか使わなくても良いんだけどな‥‥そうだ!クレナ竜化して俺達を乗っけてオークを探そう」
俺がそう言うと、クレナはコクリと頷きワンピースを脱ぎだしたので慌てて俺はクリスと共に後ろを向いた。向いてから直ぐにクレナは竜化を完了したので俺は地面に落ちているワンピースを拾ってアイテムバッグの中に入れ。クリスをクレナの背中に【空歩】を使い乗せて俺も背中に座ったらクレナに出発の指示を出しオークを上空から探すという空を飛ぶ事が出来る従魔を持っていないと人には難しい探した方を始めた。(人でも、空歩などを上手く使えば上空から探せるが魔力話消費して肝心の魔物戦魔力キレや体力キレで戦えないという風になってしまう)
探し始めて数分後、王都から約10キロくらい離れた位置の所に5体のオークを発見した。今回は、クリスの魔法練習というのもありオーク達から少し離れた位置にクレナを下ろさせた。
「さて、それじゃクリスの得意とする魔法は何だっけ?」
「俺が得意なのは一応風魔法かな?」
「風か、俺は風魔法は使えないんだよな…クリス、風魔法の技で今どの位使えているんだ?」
「えっと、ウィンドカッターやウィンドボール位かな?」
「カッター、ボールか初級と中級の間って事か…よし、俺が今から風魔法を火魔法で表わすからクリスは火を風だと思って認識してくれ」
「分かった」
俺がそう言うと、クリスは俺の方を観察するように見て来た。
「それじゃ、今から使う技は、風魔法や光魔法と言った認識されにくい属性での使用した方が避けにくいからな俺が火魔法で使うって事はあまりない技だ」
「確かに大技を繰り出す相手が見えたら避けるしな」
「そうだ。まあ、ここらの魔物だったらそんなの気にしないで使えるんだがな、それじゃ今から説明するぞ、まずは魔力をこうクルクルと回すようにして放出するんだが今ここはオークの近くだから余り大きなものを作るとバレてしまうから指先から出すから良く見ててくれ」
俺はそう言って、人差し指から火魔法をクルクルと回すようにして放出した。クリスはそれを見て「おお…」と驚いた。
「まあ、この魔法はこれを大きくすればそれでも結構魔法としては良いのだがここで一工夫をしてみよう。さっき、クリスが使っていると言った魔法ウィンドカッターをこれに混ぜてみよう」
俺はそう言って、クルクルと回っている火にウィンドカッターに似せたファイアカッターを付け加えた。それは、クルクルと回っている魔法に刃のような形をした物が出来一緒にクルクルと回り始めた。(先端の方は魔力を縮めて行ってるので小さくなっているので簡単に例えるとドリルみたいな形に風魔法を変えた。)
「風魔法での戦闘もこの位大きさあればある程度攻撃力はある…丁度あそこに魔物がいるから1体これでヤッテみよう」
俺はそう言って、オーク一匹を俺達の方へとおびき寄せた。そして、先程作り上げた魔法と同じくらいの大きさでオークに打つと威力を弱めていたせいで穴が開くという所まではいかなかったがオークは苦しんでいた。
「な、クリスもこれなら直ぐに出来ると思うからまずはやってみよう」
「う、うん分かった。えっと、まず風魔法をクルクルと回して…」
クリスは、先程説明したやり方を言いながら魔法を作り上げて行った。そして、回っている風にウィンドカッターを付け加えることに成功したクリスはそのままオークに向かって放った。魔法は、オークの頭に直撃し頭を貫通した魔法でオークは死んだ。
「なっ、その大きさでも十分攻撃力あるだろ。逆にこれは攻撃力があるから対人間でやる場合急所は出来るだけはずし回復魔法でも直せたりくっ付けたりできる。腕や足を魔物でも狙う様に意識的に訓練しておかないといけないぞ」
「分かった。ありがとう、レイ君」
「よし、それじゃ残りオークをこれで片付けて王都に早く帰ろうか」
その後、残り4体のオークを俺達の新しい魔法の実験台となってもらい苦しみながら死んでいった。死んだオーク達の死骸は討伐証明部位以外は、焼いてクレナにもう一度背中に乗せて貰い王都に帰った。
王都に帰って来た俺達は、直ぐにギルドに向かい討伐成功の報告をして成功報酬の金を2人で山分けした。
「今日は、ありがとうレイ君」
「おう、今度は普通にダンジョンにでも行こうなディーやシズク、シフォンも誘ってみんなでダンジョン探索とかな」
俺がそう言うと、クリスが「いいね。皆とはもっと仲良くなりたいし王女様も魔法使えるようになって嬉しそうだから実戦をやったらもっと喜ぶよ」と言って俺達は別れた。