第85話 【シフォンさんの魔法練習・3、大豆を増やしたい】
シフォンの魔法練習が始まって丁度7日目になった。シフォンは王宮に帰っても、勤めている魔法使いの人に頼み監督をして貰い魔法の練習を毎日欠かさずやっていたらしく今では魔力操作のレベルが4になっていた。
授業が終わり、クリス達に「じゃ~な」と言ってシフォンと練習場へ向かった。練習場に着いた俺と、シフォンは準備をしていつもの定位置についた。
「さて、そろそろ魔法を撃っても大丈夫と思うから今日は詠唱込みの魔法を撃ってみようか」
「もう、いいの?まだ、習い始めて7日目だよ?」
「まあ、そうなんだけどシフォンが自主練で頑張ったおかげで操作レベルが4に上がってるからもう魔法もちゃんと発動できるようになっていると思う。だけど、まだ心配だからシフォンは火属性の下位魔法の【ファイアーボール】を打つようにしてくれ俺は水魔法が得意だから先に魔法を展開して危険があったらすぐに鎮火するから」
「分かった。それじゃ、詠唱始めるね」
そう言って、シフォンは【ファイアーボール】の詠唱を開始した。俺は万が一の事を考え水魔法で鎮火する用意をした。
「…【ファイアーボール】!」
シフォンの詠唱は無事成功し、常人だと魔法を少し多く注いだ位のファイアーボールが出来数m先の地面に放った。終始魔力の乱れはなく完璧に魔法が発動できたことに俺とシフォンは二人して喜んだ。
「やったよ、レイ君!」
「うん、魔法が打てるようになって良かったな、だけどまだ少し魔力を少し多く入れてしまうようだからこれからも魔力操作に関しては毎日練習するようにね」
「うん、分かってるよ。…これで、レイ君との魔法練習も終わりか~」
「まあ、そうだね。でも、魔法に関して何か知りたかったら俺が知ってる範囲なら教えれるからいつでも聞いて来ていいよ。それに、教室にする時もずっと後ろの席に座ってないで俺達の所に来てくれてもいいんだよ」
「いいの?」
「ああ、あいつ等ならシフォンとも仲良くしてくれるよ。それに、シズクだってシフォンと仲良くしたいこの前言ってたしな」
俺がそう言うと、シフォンは嬉しかったのか少し顔が赤くなった。その後、魔法が打てるようになったので少しだけ魔法詠唱に関して教えることにした。詠唱に慣れたら短縮して早く打てるようにしたりもっとイメージしやすい言葉に変えたりなどの事を助言して最後の魔法練習は終わった。
帰り際、シフォンから「来週、祝日の日に使いの者が向かいますので準備しておいてください」と言われ了解と答え別れた。俺は、もう直ぐで正式に貴族(親兄弟より位が上の)になってしまうと少し気が落ちそうになったが、厳しい貴族世界には余り関わらず異世界生活をしていきたいなと心の中で呟きトボトボと家に向かった。家に帰って来た俺は、ふとこの間貰った大豆の事を考えていた。
「はぁ~、そう言えば、クフィさんからもらったこの大豆この量だと直ぐに使い切ってしまうな…そうだ、エルダに頼んでみようかな」
俺は、従魔小屋に居るエルダの所へ向かった。今日は、小屋の中でハンモックを作り眠っていた様だ。他の俺の父さん達の従魔達にもハンモックや木の葉のベットを作ってあった。
「エルダ、ちょっといいか?」
「ん~、なんですかご主人様~」
エルダはそう言って起き上がってくれたので他の皆を起こしちゃだめだなと思い外に連れ出した。
「それで、何ですかご主人様?」
「ああ、ちょっと頼みたいことが会ってだな…エルダって、植物を一気に成長させれたよなそれで俺が頼みたいのはコレを増やしてほしいんだよ」
「う~ん、すみませんご主人様、私が成長させれるのは木や草、葉だけなんですよね。植物と言っても大地の恵みが無い限り野菜等は成長しませんから、それに私に頼むよりご主人様が信仰してるイアラ様に頼んだ方がいいですよ?」
エルダはそう言うと、「ふぁ~」と欠伸をした。俺は、そう言えばイアラ様は作物豊穣と子の成長を司る女神だった…忘れてた。エルダに、「ありがと、もう戻って良いぞ」と言って俺は女神様達の像がある部屋に走って行った。




