第70話 【学園入学・1】
あの後、爺さんと店のサンドイッチを食べ意外にも結構味が良く気に入ったので追加の注文をして2人でシズクのこと以外の事で盛り上がり結局、夕方まで爺さんと2人で話し込んでしまった。俺は、帰るなり遊びの約束をしていたディーとマールとシズクから怒られた。
次の日、俺は今シズク達と一緒に学園に合格発表を見に学園へと来た。
「えっと、確か学園の門の所に…おっ、紙が貼ってあるな」
俺はそう言って、シズクと一緒に張り紙の前に行った。張り紙の前には学生と俺達と同じ受験した者達で人が大勢集まっていた。俺達は、その間をすり抜けて行き張り紙の前へと着いた。
「え~っと、…おっ、Sクラスだって、シズクは?」
「えっと…私もSクラスだよ。一緒だね」
「おめでとう。レイ、シズクちゃん」
「ああ、それじゃこの後、皆別々だな自分のクラスに行かないといけなかったろ」
「ああ、でも別れるのはマールだけだよ。マールは学年が違うけど僕も、レイ達と同じSだよ」
ディーはそう言って、進級クラスの張り紙の方を指を指した。俺は、その先を見ると、ディーの名前が載っていてSクラスに進級と書いてあった。
「おお、それじゃ3人一緒なのかそれは良かった。」
「ぶ~、私もそっちに行きたい~、でも学年違うからあきらめるしかない~、私だけ皆とお別れ~」
「あっ、マールちゃんお昼は皆で学食で食べるから会えるよ」
マールが俺達とは別の事に関していじけだし、それをシズクが宥めてあげていた。そうこうしてると、鐘がなり俺達は急いで教室の場所まで走り出した。
そして、ギリギリの所で間に合った俺達は後ろの空いてる席に座った。教室には、俺達と同じSクラスの人達が13人居た。受験の時は結構な人が受けていたがやはり、Sクラスに入るのは難しいのかな?
「ふぅ、なんとか間に合った。意外と教室が近くて良かったぜ…」
「何が、近くだ。レイの身体強化で僕とシズクちゃんを引っ張って来たから近く感じたろうがこっちは曲がり角でもう少しで壁に激突するところだったぞ」
「まっ、まあいいじゃねえかよ。ちゃんと時間内に着けたんだし…」
「うう、まだ目が回るよ~」
俺は、教室に来て先生が来るまでの間シズクとディーに対し謝り続けた。そして、俺達が教室に入って5分くらいして教室のドアが開いた。
入って来たのは、俺とシズクが試験をした時の先生、ネルビス先生だった。
「皆さん、こんにちは私がこのSクラスの担任のネルビスです。1年間ですが、よろしくお願いします。まず、新年度に新しく入って来た2人はこの後私に付いて来て下さい。その後は、入学式がありますので他の皆さまはその間教室から移動せず待って居てください」
そう言ってネルビス先生は、俺とシズクの方を見た。
「はい、それではレイディア君、シズクちゃん私に付いて来て下さい」
「はい、んじゃ行ってくるわディー」
俺はディーにそう言って、シズクと共に先生の後を付いて行った。Sクラスの教室は来る時は急いでいて分らなかったが、食堂・売店へ一番近い教室みたいだった。(初等部とは、棟が別々で俺達は高等部の4階の階段に一番近い教室)そして、売店に着いた俺達は裏手にある部屋の中に入った。その部屋の中には、資料本や雑貨・アイテム、剣鎧等幅広い物達が棚に陳列されていた。そして、先生は奥から女性を連れて来た。
「おや、ネルビス先生この子達が今回Sクラスに入った子達かい?」
「ええ、そうですよ。紹介しますねこちらは、売店・食堂総指揮官を務めているルビスさんです。道具が足りなくなりましたら、この方に言えばすぐに用意してくれます。」
「あっ、よろしくお願いします。俺は、レイディアです」
「私は、シズクです。よろしくお願いします」
「ふむふむ、礼儀正しいの、ネルビス先生この子達の制服の件で来たんでしょう」
「そうです。準備は出来てますか?」
「ええ、出来てますよ。それじゃ、先にレイディア君の方から行こうかのシズクちゃんは先生とここで待って居てくれるかい」
そう言って、ルビスさんは奥の方へと歩き出したので俺は、後ろをついて行った。そして、奥の方へ着くとそこには衣類品が沢山ありディーやマール、他の生徒が着ていた制服がたくさん置いてあった。
「さあ、ここだよ。まずは、レイディア君の肩幅やその他諸々を測定するからまずそこにある円形版の上に乗ってくれるかい」
「あっはい、分かりました」
俺は、ルビスさんの言われた通りすぐそこにあった板の上に乗った。すると、一瞬下の板から魔力が出てブワッと俺を包み込んだ。
「ふむふむ…はい、もう大丈夫だから降りていいよ。それじゃ、制服を持ってくるからちょっと待っててね。」
「はい」
ルビスさんは、そう言って服が掛けられている棚の方へと歩いて行った。そして、2.3分位経って一着の制服を持ってきた。
「はい、どうぞレイディア君の制服だよ。」
「はい、有難うございます。あっ、代金は」
「あら?ネルビス先生から聞いて無いのかい?Sクラスの子は、学費から制服代や教科書代は全額学園側が保証し、アイテム・道具類を買う時も半額にされるようになってんだよ。まあ、その代わり学期末であるテストやダンジョンでの成績を保っていないと直ぐに降格されるんだよ」
「そうなんですか、それも学園長の方針何ですか?」
「ああ、そうさあの人が言うには、Sクラスを目指して行けば特典が貰えると周りに知らしめ目標を作らせ上を目指すと執念を燃やさせる為にね。と仰っていたよ」
「なるほど、流石創立者ですね学園の事を色々と考えているんですね。」
その後、制服に着替えるように言われたので、個室に入り制服に着替えた。その制服は、俺の体より少しだけ大きく作られていたが、ブカブカしてる訳でもなくただ成長をするのを考えての余裕のような感じだった。
「凄いですね。これ、一瞬で俺の身長から肩幅を全て出して俺に会う最善の制服を割り出したんですよね?」
「やはり、お主なら分かったかね。流石、学園長が気に入った子じゃのう。しかし、ここでそれ以上長話してると後で待って居る女の子が遅くなるからその話は学園長に聞くと良いぞ」
「そうですね。分かりました」
俺は、ルビスさんにそう言われ自分が来ていた服をアイテムバックの中に入れてルビスさんと一緒にシズク達の元へと戻った。
11人から、13人に変更しました。




