第65話 【2人目の転生者】
学園長を先生が追いやってから、数分が経った。その間俺は、ソファに先生と対面するように座り学園長が戻る間少し雑談をしていた。
学園長が入って行った部屋のドアが開き、中から「少し気品がある服を着たエルフ族の女性」が出て来た。その女性は、先程セーラー服を着ていた人と同一人物かと思うほど先程まであったお茶目なオーラ―が消えていた。
「お待たせ、ネルビス」
「本当ですよ。今度からは、めんどくさいことしないでください。」
「ええ、分かったわ…それで、挨拶がまだだったわね。私は、この学園の学園長のクフィリア・フーネルスよ。よろしくね」
「よろしくお願いします。俺の名前は、レイディア・マグラットです。」
俺は、学園長から挨拶をされ素早くソファから立ち上がり学園長の方を向き直してそう言った。学園長は、俺に対し「礼儀が出来てる子ね。流石ドラゴンスレイヤーのご子息ね」と言って、前の世界では学校の校長が座っているような革製の少しお高そうな椅子に座った。
「それで、…あれ、なんだっけネルビス~、連れて来た理由?」
学園長は、出て来てからずっと凛々しい顔立ちをしていたのに椅子に座った瞬間また先程のお茶目モードに変わった。
「もう、気品モードは終わりですか…まあ、いいでしょう。今日見た光景はレイディア君見なかったことにしておいてくださいね。これでも、一応学園長なんですが少し…いえ、かなり馬鹿なので」
「あっ、はい分かりました先生」
先生は、溜息を吐きながらそう言った。
「ま~た、私の事馬鹿って言った~」
「はい、言いましたよ。学園長、それでは本題に入りますね。昼私が学園長に渡した資料は拝見しましたか?」
「ええ、見たわよ。凄いわね試験用魔力測定器をぶっ壊すわ、ペーパーテストではオール満点、数学に関しては解き方がこの世界の物じゃない、本当に色々と凄いわね。転生者のレイディア君」
「…学園長、言うのが早いです。」
「あ~やっぱり、バレてました?同じく、転生者の学園長様」
学園長は、俺に向かってにこやかにそう言った瞬間俺も言い返すと学園長は驚いた顔をした。
「そんなあっさり返されるとは思わなかったわ…あっ、それとここでは私の事は、クフィと呼んで学園長何て堅苦しいの好きじゃないのよ。それにしても、私が転生者だって良く分かったわね。これでも、他の転生者の人達とは余り関わって来てないつもりだけど誰から教えて貰ったの?」
「いえ、何となくですね。ここの学園の制服が日本の制服をそのまま持ってきたような作りだったり、学食での食券を買ってから並ぶ方式だったり、色々と判断材料が沢山ありましたからもしかして、思ってかまをかけるつもりで言ったんですが思いの他学園長、いえクフィさんが反応してくれたので」
「…だから、言ったじゃないですかクフィ、話し合いなら私がすると言ったのにそんなアッサリ正体がバレて馬鹿ですね。」
「ちょ、ちょっとネルビス、そんな私をバカバカ言わないでよ」
「本当の事ですからね。はぁ~、全くこれで良く学園長を出来ますね…あっ、レイディア君何で私が驚かないか疑問に思ってると思いますが私も転生者、ではないですよ。ただ、クフィとは幼馴染であの子の事を知っていたので驚かなかっただけですよ。まあ、朝の時測定器を壊した時はクフィとも話してなかったのでレイディア君が転生者だと分からず普通の子が測定器を壊したと思い素で驚いたんですがね。」
「あれ?でも、午後の魔法使った時も結構驚いていませんでしたか?」
確か、あの時数分間固まっていたような…
「アレは、まさか転生者ではありますが、まだ8歳なのにあんな魔法を容易く扱えていることに驚いたんです。」
「私も、ここから見てたけど凄かったわね。あんな魔法みた事ないけど、もしかしてレイディア君が作った魔法?」
「そうですよ、まあアレはただ演出の為に即席で作った魔法何で魔力なんかもポッコリ減りましたけどね」
「魔法を即席で作れるんですか?!」
「ええ、まあこれでもクフィさんならわかると思いますが俺は、転生前はオタクという存在でしたから妄想力には長けてますので、魔法作成は面白いのでよくやってますよ」
「なるほどね~、私は転生前は普通のOLだったから、アニメとかはあんまり見なかったのよね。でも、これでも国立大卒業してたから知識は大量にあったから学園を創立したのよ」
「へえ、意外とクフィさんって頭いいんですね。そんな、キャラですが」
「そうなんですよ。クフィ、頭は良いんですが普段が天然と言うか、ちょっと抜けてるんですよね…」
「いいじゃないのよ、私は好きな様に生きてるんだから!」
クフィさんは、そう言って「そもそも、本当はこんなかたっ苦しい部屋に籠るんじゃなくて旅行に行ったりしたいのに仕事仕事仕事って、ホント学園作ったの失敗だと思ってるわ」と愚痴り出した。それを聞いた先生は、般若の如くクフィさんを叱った。




