第48話 【邪竜戦・2】
俺が放った魔法を邪竜は避けようとしたが、右翼に命中して地面へと落ちて行った。俺は、邪竜に向かってもう一度同じ魔法を放とうと魔力を溜めようとしていると下の方から魔法が放たれてきた。
魔法が来た方を向くと、そこにはゴブリンやワイト等の魔法が使える奴らが俺に向かって魔法を放ってきているのが見えた。流石に狙いやすい上空にずっと居るのは得策ではないなと考え魔法を放って来ていた魔物が居る所へと降りた。
「邪魔をするなよ。こっちは、数年間溜めて来た怒りを発散してるんだからさ~」
「ギャッギャッ!!【ギ ギャ ギャア】!」
俺が下に降りると、魔物達が一斉に俺に向かって魔法を放ってきた。俺は、周りを確認して人間が居ないか確認して誰1人ここには人間が居ない事が分かった俺は、光魔法でフリスビーの大きい版(半径100㎝位)を両手に1個ずつ作り出し魔物へと向かって投げた。
この、投げた魔法は魔物に当たると魔物を次々と真っ二つにしていき周りに数百は居た魔物達は消え去った。
「これで、邪魔はされな―――」
「【GARYYYYYYYYY】!!!」
俺は魔物を一掃したのを確認して邪竜の方へと向くと邪竜はこちらへ口を開け極大のブレスを放つ準備をしていて、俺へとブレスを放ってきた。
俺は、ブレスが当たる瞬間約5年間俺を邪竜の胃の中で守り続けていた光の壁が出現し俺を包み込んだが衝撃までは和らげることは出来ず後方へと吹き飛ばされていった。
「危なかった。【保険】に入ってなかったら、今ので俺死んでたな…まあ、これがあるから無茶して戦ってるんだがなッ!」
俺は、【身体能力強化】を使い邪竜の元へと向かって走った。
邪竜は、俺を吹っ飛ばして死んだと思ったのかまた王都の方へと向かって飛び立とうとしていたので俺は邪竜の背に【敏捷】を最大まで強化して移動した。
「何処に行こうと…してるんだよッ!!」
俺は、邪竜の尻尾を掴み背負い投げをするようにして邪竜を地面に叩きつけた。
「GARYYYYYY!!」
「煩いな、痛くて叫んでんなら最初から攻めてくんなよ…」
俺は、邪竜に向かってそう言うと、無属性魔法の魔力を長い鞭のようにし邪竜に巻き付けた。そして、俺は邪竜の動きを完全に止めた事を確認し、また【空歩】を使い空に上がった。
「こらから、お前に俺の世界の最強の技をくらわしてやるよ!」
俺は、そう言うと両手を前方に突き出し無属性魔法を凝縮させていった。
「いくぞッ!【か~め~】」
「おっと、それは使っちゃだめだよッ!」
俺が、あの技を使おうと魔法の準備をしていると急に後ろから声がすると俺の両腕を掴み止めて来た。
「なんだよ。お前は、折角邪竜に向かって魔法を放とうとしていたのに」
「いや、それ使っちゃダメでしょ。まあ、名前を変えてなら使ってもOKだと思うけどさ、そのままの名前は確かにこの世界じゃ意味を知ってるのは極僅かだけどさ…」
そう言って、俺を止めた金髪のエルフは俺を叱る様にそう言ってきた。
「【この世界】ってどういう意味だ?」
「えっ、いやいやさっきの技止めた時点で気づいてよ。僕は、君と同じ転生者だよ。まあ、君の先輩って分けさ」
「…こんな、早くに会うとはな、まあ、長話になりそうだしまずは、あの邪竜を片付けないと先輩は見ておくだけにしてくれよ。俺邪竜族に恨み有るからさ」
「うん、いいよ。僕も、本当は出てくるつもりなかったんだけど流石にあの技名を聞いたらね。それじゃ、僕は向こうの魔物に苦戦してる冒険者の人達を助けてくるから、君も頑張ってね」
「ああ、じゃあまた後でな」
金髪エルフは、そう言うと無属性魔法に似た魔力を使って一瞬にして俺の視界から消えた。
(魔力の感じからすると、空間系か)
「さてと、邪魔は入ったがトドメを刺させてもらうぞ邪竜」
「GARYYYY!!!!!」
邪竜は、俺の無属性の鞭を力で破り切ると俺の方へと向かって飛んできた。既に、俺が最初に付けた傷は癒え始めていたところを見ると、早めに決着を付けないと回復されてしまう。
「だけど、俺は今なら無敵だッ!どんなに強い攻撃も意味はない!いくぞっ、邪竜!」
俺は、【身体能力強化】を使い筋力を上げ、光魔法で大きな手を作り出した。そして、俺は邪竜の腹を一発殴り、一瞬苦しんだ邪竜の隙をつき後ろに回り込み首を掴み遥か上空へと向かって【空歩】を使い上昇した俺は、上空から一直線に地面へと向かって降りて行った。
「でも、これだけじゃ、死なないのは分かってる。【ライトランス10槍】!」
俺は、邪竜を叩きつける場所に光魔法のランスを10本、1本が10m位する物を作り出した。そして、俺は、それに邪竜を俺の全筋力を使い突き刺した。
「GA・・・GARY・・・」
邪竜は、地面にぶつかったダメージ+光魔法の攻撃を受け、倒れた。
「ふう…結構疲れた。…って父さん達の事忘れたッ!」
俺は、今さっき倒したばかりの邪竜をアイテムバックに入れて父さん達が戦っている場所へと急いで戻った。
父さん達の所は、流石Aランクの冒険者だけの事はあって周りには魔物の死体がゴロゴロと倒れていた。
「レイ!」
「あっ、父さん見て―――」
「このッ馬鹿息子がッ!」
父さんは、そう言うと俺の頭に拳骨をした。単純に俺に叱る為に放たれた拳骨を、あの光の壁は現れてくれず、この世界に来て一番のダメージ今初めて受けることになった。
「ちょ、父さんなんで殴るんだよ!」
「当り前だろうが!折角再会できた息子が、邪竜に向かって戦いを挑んだんだぞ叱らない親が居ないはずがないだろうがッ!」
そう言うと、父さんはもう一度拳を握り俺にむかって殴ろうとした。俺は、今度もまた受ける痛みに目を瞑ると、痛みが来ず俺の事を誰かが抱き締めている感じがした。
「頼むから、無茶はしないでくれ。折角会えたのに、今度こそ一生会えなくなると思ったんだぞ…」
「…ごめんなさい、父さん」
俺は、泣きながら俺の事を抱き締めている父さんに向かってそう言った。その後、俺達は残った魔物達をほとんど倒して行き、途中でさっき俺の技を止めた。転生者の金髪エルフが一緒になって、30分ほどで数千体位居た魔物を倒しきれた。
…無双では、無いのかな?まあ、レイ君の圧勝でしたが




