第47話 【邪竜戦・1】
「ギルド長、それで頼みたいことが1つあるんですが良いですか?」
「良いぞ、今日は面白い物が見れたしの何でも聞くぞ」
「そうですか、なら良かったです。ギルド長、家のレイと本気で戦ってくれませんか?」
「なに?」
「えっ、はっ、何言ってんの父さん?!」
いきなり、父さんはそんな事を言いだした。いや、何で俺がギルド長が戦わないと行けないか意味が分からないし、ギルド長もまさかそんな事言われるとは思わなかったのか目が点になっていた。
「何故、そんな事を?」
「ここ最近、レイの事を見て来て分かったんですけどこの子僕達に色々と隠してるみたいなんですよね。まず最初に戦闘能力です。この子のステータス前に一度見せて貰ったんですが、多少年齢の割に強いかなって程度だったんですけど、その多少強い子供がゴブリンパーティーやオークを瞬殺できますか?」
「…いや、出来ないだろうな、というかレイ君はそれをやったのか?」
(うっ、確かにやったな、王都に来る途中に襲われそうになったからやったところを父さんが見てたしな、確かあの時考え事をしてる風だったけど、まさかそんな事を考えてただなんて…)
「それともう1つ、この子リゼが思いつかないような魔法を使うんですよ。まあ、そのおかげで無属性のレックでも魔法が使える様になりましたけど」
「ほほう…中々、面白い事をしているようだなレイ君、それにそこに居る従魔達も中々強いのが居るようじゃのう…」
「ハハハ…」
笑ってる場合じゃないぞこれ、ギルド長もやる気になってきてるしどうにかして逃げないと…
そんな事を考えていると、扉からノック音が聞こえ「ギルド長、すみません緊急事態が発生しました」と言って受付で相手をしてくれた受付嬢の人が入って来た。
「どうしたんじゃ、一体?」
「はい、先程ユニオン名【紅のオーク】が王都に帰還し報告してくれたことなのですが、こちらに邪竜が魔物を大勢引き連れて向かっていると」
「なに?!邪竜じゃと」
「邪竜…」
邪竜と聞いたギルド長と父さんは驚愕していた。実際には俺も驚いてはいたが、驚くより怒りがあった。
(折角、父さん達と再会できて、これから学園にも通って友達作ってと色んな事を考えているのに、またお前ら邪竜に邪魔されるのかッ!)
「まず、住民を避難させるんじゃ幸い今日は冒険者が朝から来ておるからの皆動いてくれるだろう。そして、各ユニオンリーダーに伝達するのじゃ」
「はい、分かりました。」
ギルド長の指示を受け取った受付嬢は部屋を出て行った。
「と言う訳で、レイ君との試合は無理になったの」
「そうですね。それに悠長にここで話をしていたら準備ができませんね。俺は一度家に帰りリゼ達に知らせに行ってきます」
「そうしてくれ、儂もこれから冒険者の皆に説明をしてくるかのう…レイ君はどうする?」
(クソッ、何で俺に邪竜は付きまとってくるんだよ。俺より、強い奴なんていくらでもいるだろうがッ!)
「んっ?どうしたんじゃ、レイ君?」
「あっ、いえ、なんでもないですよギルド長、俺も父さんに付いて行きます」
「そうか、また騒動が終わった後に先ほどの約束を果たそうな」
そう言って、俺達は別れた。
俺は、走っている父さんの後ろを走りながら付いて行きながら先程が考えていたことを実行することにした。
「ねえ、父さん」
「なんだ、レイ?」
「父さんってさ、俺の実力が知りたいんだよね?だったら、今回いい見せ場だよね?」
「…何の事を言ってるんだ?」
「父さん、母さんたちを呼んだら俺を置いて邪竜の所に行こうとか考えて無いよね?」
そう聞くと、父さんは走るのを止め俺の方を振り向いた。そして、行き成り俺に向かい殺気を飛ばし腰に差していた剣で俺に斬りかかった。
俺は、ここ数日間の間にも双剣の使い方に慣れスキルとして【双剣術】も獲得していたので俺は父さんの剣を受け止め弾き返した。
「…危なくなったら、避難するんだぞ」
「分かってるよ。父さん」
その後、俺達は急いで家に帰り母さん達にギルドで聞いた事を話すと直ぐに準備を終わらせて王都の正門へと向かって走って行った。
正門を出ると、そこには夥しい程の魔物が冒険者と戦っていた。魔物の種類は、ゴブリンやウルフと言った下位種から始まりワイトやリッチと言った。中位級の魔物も居た。
「GARYYYYYYYY!!!」
「ッ!」
そして、空の上には俺が昔見た事がある邪竜と余り大差ない奴が居た。俺は、そいつを見た瞬間先程までの怒りが頂点に達した。
「父さん、俺の実力見たかったよね?いいよ、もう隠さないから見ててね」
「…」
俺は、そう言うと無属性魔法で編み出した。足下に無属性の魔力で空を歩けるように調節した技【空歩】で俺は空を駆け上がって行き邪竜の目の前で止まった。
「…お前らのせいで、俺の異世界生活が台無しになってんの分かってんのか?赤ん坊の頃は相手すらできなかったが―――」
「GARYYYY!!」
「チッ!」
邪竜は目の前にいる俺に向かって、口を開け火の玉を放ってきた。
「そうか、話も聞かないか…【集え 光の粒子よ 我が魔力を糧に 強大な技と成れ シャインキャノン】!!」
俺は、邪竜向かって俺がこの世界に来て編み出した上位級の光属性魔法を放った。
技名がダサいのはいつもの事です。