第45話 【好評でした。】
ラニアと一緒に米を炊き上げた俺は、その前に準備していた茶色の木の実を取ってみると既に発酵は終わっていたが今日は米料理に全力で行きたいので今回は出番は無しと言う事でアイテムバックの中に入れた。
「ふむ、米の味は…おお、いい出来だな!ラニアも一口食べてみな」
「はい、レイ様、それでは……おお、これはあの固い粒からこんなにも柔らかく噛めば噛むほど甘くなる物が出来るなんて感動です!」
ラニアは、米を口に入れて長い間噛んでいると、吠える様にそう叫んだ。ラニアの反応を見て、横で見ていたユニアも食べたそうにしていたので俺はスプーンに一口サイズを取りユニアの口元へやった。
「ユニアも、食べてみな」
「…はい、ありがとうございます。レイ様……美味しいです。」
ユニアもまた、ラニアと一緒で一口米を口に入れると長い間噛み、ラニアみたく大声ではないがユニアにも味は好評だったので、こちらの世界でも人気が出そうだ。
「さてと、これを主食におかずを何品か作るか…そうだな、まずはハンバーグを作るか、ラニア今から俺が作る料理ちゃんと見て覚えてくれよ。この料理、母さん達も好きだからこれから先ラニアにも作って貰う事が増えるからな」
「はい、レイ様」
俺は、ラニアに見せる様にしてハンバーグを人数分(ラニア達の分も合わせて今回は少し大きめに作ったハンバーグを7個)を作ることにした。ハンバーグが出来た後、他にも何かおかずが欲しいなと思い考えたがアイテムバックの中に有った卵を使って目玉焼きを作った。本当は醤油派の俺なんだが、流石に醤油はまだ手に入ってないので塩を振ってみんなが待って居るリビングへと料理をラニアとユニアと共に運んだ。
「おお、良い匂いがしてるなと思ったがやっぱりハンバーグも作ってくれたのか、レイ」
「うん、みんな好きだからね。って、レック兄さんどうしたの?」
レック兄さんは、床に仰向けの状態で寝ており腹から盛大に「ぐぅ~、ぐぅ~」と鳴らしていた。
「ああ、レック兄さんはレイが厨房で料理を作った匂いを嗅いでお腹を空かせてそんな変な形で倒れてるんだよ」
「そうなの?おーい、レック兄さん料理出来たけど食べないの~」
「食う!!」
俺が、レック兄さんの前にハンバーグを乗せている皿を見える様に差し出すと、バッとレック兄さんは起き上がってハンバーグが乗った皿を取ろうとしたが直ぐに俺が引っ込めレック兄さんは空振りこけそうになった。
「食べるなら、ちゃんと椅子に座ってね。もう、母さん達は座ってるんだから」
「おう!」
そう言うと、レック兄さんは速攻で椅子に座った。俺は、テーブルの上に人数分のハンバーグが乗って居る皿と目玉焼き、白米を配った。
「レイ、こっちの卵料理は分かるけど、この白い豆みたいな食べ物は何だい?」
「それは、米って言って、説明が面倒だから一口食べてみて」
「?ああ、分かった」
父さんにそう言うと、父さんは白米を箸で掴み一口食べた。父さんは食べるとラニア達と同じ感想を言ってその後母さん達も白米を一口ずつ食べると皆には好評だった。
そして、いつもの様に俺が音頭を取るとレック兄さんはハンバーグを一口で半分食べ、白米も一気に皿の半分を食べていた。
(そんなに、お腹減ってるんなら言ってくれればクッキーとか準備してたのにな…)
俺は、そんな事を思いながらも俺はこの世界で作った白米を食べ始めた。
ご飯の後、俺はいつもの様に女神様達にお供え物をしに行くと手紙がまた届き「私にも白米とハンバーグのセット」と書かれている紙が3枚あり、後でラニアに米を何処で買って来たか詳しく聞きに行く事にした。
「そういえば、王都にも学園のじゃなくて普通のダンジョンってあるの?」
「あるぞ、王都の中に1つと王都から少し離れた所に1つあるな、まだ探索中の森の中にもあるという噂もあるから今の所3つかな」
「そんなに、あるんだ。その中で、一番簡単なダンジョンって何処なの?」
「う~む、簡単と言ったら王都の中にあるやつじゃないかな?冒険者も結構通ってるから危なくなったら助けては貰えるし初心者には良いダンジョンだぞ」
「なるほど…なら、今度そこに行こうかな」
「おっ、俺と行くかレイ?」
「いや、父さんと行ったら意味ないじゃん父さんAランクの冒険者でしょ。流石に1人ではダンジョンにはいかないけど、父さんとはいかないよ。」
そう言うと、父さんはあからさまに落ち込んだ。まあ、実際俺のレベル的にも簡単なダンジョンだったら意味ないが学校に行くまでの間料理だけってのも暇だしな、それに王都ではエルダ達も少し外に出してやらないとグランさんの家に居た時も外に出たいとエルダ伝えでラルとライが言ってたからな、俺はそんなことを考えながら落ち込んで部屋の隅でいじけている父さんを無視して兄さん達と一緒に風呂に入りに行った。
風呂場は、グランさんの家のよりかは狭かったが大人が6人位は入れるくらいの大きさだった。




