第43話 【到着】
マグラット領を出て5日、道中魔物には遭遇したが盗賊とは会わずに王都の近くまで来ていた。王都の近くになるにつれ道も整備された道になっていて、今いる場所も石畳が綺麗に敷かれている。
「見えて来たぞ、レイあそこが王都ナロウディだ。」
「おお!すっげ~、でかい城壁」
ここからでも、分かる位大きな城壁がズラーっと横に伸びて行っていた。マグラット領とは比べてもこちらの王都の壁は高く分厚そうだった。
そして、俺達は王都の正門に着き並んでいる人たちの後ろに並んだ。並んでいる時暇だったので、リック兄さんに学園の事について聞いてみた。(レック兄さんは、エルダに葉っぱのベットを作ってもらいそこで寝ている)
「学園はまず、初等部と高等部に分かれてるのはこの前教えたよね?初等部では、レイが入ろうとしてる僕と同じ魔法科では実践余りしなくてほとんどが教室で魔法がどういう原理で作られているのかとか魔力を上げるために1時間、瞑想の時間とかもあったりするんだよ。それで、初等部でそう言う事をして高等部に上がった僕達は学園内にある人工ダンジョンで他の科の人達と一緒にパーティーを組んで潜って実践で経験を得るんだよ。そして、人工ダンジョンには学園で使えるポイントがもらえてそれで購買で色々と購入することが出来るんだよ」
「へぇ~、えっ?でもさ、リック兄さんそれって学園損してない?だって、ダンジョンでポイント手に入れて購買で買えるシステムは良いと思うけど学園にどんなメリットがあるの?」
「それはね、ダンジョンに秘密があるんだよ。ダンジョンで僕達が魔法を放った時って魔力を放出するじゃない?それを学園側が集めて、学園で使っているシャワーやトイレ等の魔道具に魔力を溜めたり学園で栽培してる野菜等の水やり魔道具や鍛冶師が使う魔具なんかにも僕達が使った魔力が供給されているから、実際僕達はポイントで物を買ってるというより魔力で物を買っているシステムになっているんだよ」
「それって、結構凄いシステムだよね。だって、魔力を使わない剣士とかはタダで物を買ってる事になるよね?」
「う~ん、でもほとんどの剣士の人達も結局は身体強化とか使うでしょ?あんな少ない魔力も吸収してるからタダで買ってる人なんかは本当にダンジョンで魔力を使ってない人位だよ。でも、魔力位自分達に残していても金になる訳でもないから皆気にせずバンバン使ってるよ」
「へぇ、学園のそのシステム考えた人は凄い人なんだな~」
「そうだね。学園自体は創立100周年をもう直ぐで迎えるんだけど、今学園の学園長をやってる人が今の学園のシステムを全部考えたらしいよ」
100周年?なのに、まだその学園を最初に作った人が学園長をやってるのか?
「あっ、学園長は、長寿の種族のエルフ族だよ。」
「なるほど、一度学園長に会ってみたいな~」
「レイも入学したら会えるよ。学園長毎年、新年度が始まると全クラスに挨拶に来るから、レイも入学さえできれば会えるよ」
毎年、全クラスに挨拶って凄いな俺の前世の学校何て全クラスを人数と合わない体育館に無理やり詰め込んで長々と変な話をするような人だったが、ここの学園長は逆に自分で全クラスに行くとは益々会ってみたいと思った。
そして、結構リック兄さんと暇つぶしに話していたお蔭で次が俺達の番だと父さんが教えてくれたので話に入ってなくて眠っていたレック兄さんを起こして外に出て身分証としてギルドカードを出して、王都の中に入った。
王都の中は、外と比べ賑わいあっていた。出店がズラーっと立ち並んでいてアクセサリーから武器、果実や野菜なんかも売っていた。俺は、食材を売っている出店を見ていると1つ気になる食材を見つけた。
「あっ、父さんちょっと待って」
「んっ?何だ、レイ」
「買いたい物見つけたから、少し待ってて」
俺は、そう言って馬車から降り気になった食材を売っている出店の所へ行った。出店の店番をしていたのは、俺と同い年位の女の子だった。
「すみません、この茶色の木の実っていくらですか」
「えっと、その木の実買うんですか?えっと、えっと…」
女の子は、俺が聞いた木の実の値段を必死に思い出そうとしていると裏から1人の女性(女の子の母親らしき人が)出て来た。
「何やってんだい、お客さんが聞いたんだからちゃんと答えなさいな、全くこの子は、すみませんせんね。その木の実は1つ10銅貨ですよ」
「1つ10銅貨ですか、なら5つ下さい」
俺はそう言って、50銅貨を店番の女の子へと渡した。
「ありがとうございます。どうぞ」
「うん、ありがと、それと頑張ってね」
「は、はい、ありがとうございます!」
俺は、そう言って木の実をアイテムバックの中に入れて父さん達が待っている馬車の中に戻った。
「レイ、一体何を買ってきたの?」
「うん、ちょっと料理に使えそうなものを見つけたから買ってみたんだ。」
俺が、馬車に戻ってくると母さんが何を買ってきたのか聞いてきたので俺はさっきかった茶色の木の実を出して見せた。
「もしかしたら、今作ってるクッキーがさらに美味しくなるかもしれないから楽しみにしててね母さん」
「そうなの?それじゃ、楽しみに待ってるわね」
母さんは、微笑みながら俺の頭を撫でた。撫でられた俺は、買ってきた木の実の臭いをかいで多分アレと同じ奴だと考えながら早く試したい気持ちでウズウズとしだした。