第31話 【アマンダさん】
シズクを背中に乗せダンジョンから出てきたら外は、既に日が落ちて辺りは暗くなっていて街の魔石で稼働している街灯が照らされていた。
「シズク、まだ歩けそうにないか?」
「えっと、もう大丈夫だと思う。ありがと、レイ君」
そう言って、シズクは背中から下りた。よろけたり倒れそうにはなってないみたいなので、ちゃんと体力が回復したのだろう。
その後、ダンジョンで獲った魔石やスライムジェル、ウルフの皮を換金する為にギルドへと向かった。ギルドに着いた俺達は、ギルドの中に入ると朝来た時と比べ冒険者の方達が居た。出張らっていた冒険者の方達がダンジョンや街の外から帰って来ておりギルドの中で情報交換や雑談等をしていた。俺達は、受付に並んでいる冒険者の方達の最後尾に並び自分達の番を待った。
「あら?シズクちゃん」
俺達が、並んでいると後ろからそう声が掛けられた。俺とシズクは後ろを振り向くとそこには、前回ギルドで豚野郎と言い合いしてた時の帰り俺の事を「美形でいいわね…」と言っていた。おっさんが立って居た。
「あっ、アマンダさん、こんばんはです」
「ええ、こんばんはシズクちゃん、シズクちゃんこの前は変なパーティーと一緒になったんでしょ?大変だったわね。本当は私が絞めてやりたかったんだけど、もうギルド側で対処されてて何もできなかったわ」
「ありがとうございます。アマンダさん、でも大丈夫ですよ。あの時レイ君が助けてくれましたから」
「そうなの!ありがとうね。レイ君、シズクちゃんを助けてくれて」
「いえ、目の前で魔物に襲われてたから助けただけですから、それよりさっきから気になってたんですけど、シズクとどういう関係で?」
俺は、さっきから疑問に思っていたことをシズクと目の前のシズクが「アマンダさん」と呼んでいる。
「えっと、アマンダさんは私が泊まってる宿屋の店主さんです」
「えっ?!宿屋の店主!」
「あら、やっぱり驚くのね。まあ、この見た目だしね~。これでも宿屋の店主よお店の名前は【ジュエリー・アマンダ】って言うのよ。レイ君も、家出とかする時は来てね。」
「でも、今のその装備みると冒険者じゃないんですか?」
「冒険者は、暇なときちょっとダンジョンに行ったりする感じよ。これでも、結構冒険者歴は長いから何か困ったことが有れば聞いてね。それじゃ、私は宿に帰るわね。シズクちゃんも余り夜は外に出ちゃだめよ」
「はい、アマンダさんまた後で」
そう言って、アマンダさんはギルドから出て行った。その後、俺達の番になりパーティー契約はそのまま続ける事にして、今日手に入れたウルフの皮20枚・魔石30個・ジェル10本分を換金して20銅貨をシズクと半分にして10銅貨が今日の収入になった。
「それじゃ、シズクまた明日はちょっと用事が出来たから次開いてる日にまたダンジョンに行こうか」
「うん、分かったよ。でも、どうやって連絡とるの?」
「そうだな…俺の所にシズクが来るのはちょっと無理があると思うから俺がシズクが泊まってる宿に出向くよ。場所は、後でグランさんに聞けばいいしね」
「分かった。それじゃ、また今度ねレイ君」
「ああ、じゃあなシズク」
そう言って、俺達はギルドで別れた。俺は、帰る途中エルダ達への土産になにか買って行こうかと思いギルドの近くで売っていた肉串を3本買って家に帰る事にした。
帰ってきた俺は、従魔小屋に行くとそこではまた変な事が起こっていた。エルダは人化を解いて魔物化して、ラルとライを蔓でグルグル巻きにして持ち上げていた。
「…エルダ今度はなにしてるんだ?」
「これは【触手に堕ちた者達ごっこ】です」
「…エルダ、もう変な事を止めろ。ラルとライに変な知識が入るから」
「でも、ラルちゃんもライちゃんも楽しそうですよ?」
そう言って、エルダはラル達を下ろすとラルは尻尾をブンブンと振っていてライはぽよーんぽよーんと跳ねていた。
「いや、まあ楽しいかもしれんがもう止めてくれ、頼むから…それより、ほら土産の肉串だ」
「わあ~、でも、私草食だからそこまで肉って食べないんですよね。どっちかって言うと魔石とかのが…」
「そうなのか?なら、ほら余ってた魔石あるぞ」
「ありがとうです。ご主人様~」
そう言って、エルダは魔物化したまま魔石を蔓で取って口へと放り込んだ。エルダの分の肉串はラルとライに分けてやると2匹とも喜んで食べていた。
その後、俺は従魔小屋を出て行き家の中へと入った。