第29話 【家族との会話】
少し落ち着いた俺達は、リビングへと移動した。
「でも、本当にレイが生きてくれていて良かった。あの時は、黒竜に飲み込まれたレイを見て絶望だったわ、レイは黒竜に飲み込まれた後どうなったの?」
「あの時、黒竜に飲み込まれてもうダメかと感じて目を瞑って居たら、黒竜の胃の中で温かい光に包まれていて、それのお蔭で飲み込まれた後も胃の中で生きて来れたんだと思います」
俺は、全部を話さず黒竜に飲み込まれた後の事を話した。それを聞いた父、母、兄達、そしてグランさんは驚いていた。
「ふむ、その温かい光は女神様の加護のお蔭だろうね。そういえば、レイ君は女神像を作っていたけどアレは本物の女神様を見たのかい?」
ここで、グランさんが俺にそう質問をして来た。
たしかに、俺は結構完成度が高い(自分の中では、まだまだ)の女神像を作ってたりしてるからそう質問されてもおかしくはないだろう。
「たしかに、女神様には会ったけど、でも、一度だけでハッキリとは見え…」
「ッ!凄いよ。レイ君!」
「うわっ!」
いきなり、グランさんが起ち上がり俺の肩を掴んできた。そのまま、俺を高く持ち上げた。
「ちょ、何するんですかグランさん!」
「すごいよ、レイ君女神様に会っただなんて聖教会の神父の方でも早々会える方じゃないのに!」
「わ、分かったから降ろしてよグランさん!」
俺をブンブンと上下に揺らしていたグランさんに俺はそう叫んだ、俺が叫んだのと同時に横に座っていた父がグランさんの頭を「ゴンッ」と殴った。
「いった!!」
「いい加減にしろ、グラン!レイが嫌がってるだろ」
そう言って、父はグランさんの手から俺を奪い取り地面へと下ろしてくれた。そして、また俺はソファに座った。
(ふう、もう少し遅かったらここに虹が出来てたな)
「そういえば、レイ3年間も山で何してたんだ?」
「ああ、えっと…ただ、サバイバルしたいと思って…」
「…流石、俺の息子だな」
父はそう言って、俺の頭を撫でた。ゴツゴツとした手に撫でられた俺は嫌な感じはせず寧ろ少し嬉しく感じた。
その後、色々と俺が何をしてたのとか、どんな生活をしてたのか話して行った。
「そうだわ、レイ明日何か用事でもあるかしら?」
「明日は、ちょっと友達と予定が…」
「あら、そうなの?もう、この街で友達も出来たのね。早いわね~、あっその子は女の子なの?それとも、男の子?」
「えっ、女の子です。」
「まあ~、そうなのね~」
(うっ、これが前世で聞いてた。【友達と言ってるのに母の中では彼女認定】と言うやつなのか…)
「それじゃ、仕方ないわね。レイ、明後日は用事何も入れないでね」
「はい、分かりました。けど、なにするんですか?」
「何って、レイの本当の真名を教会で女神様に伝えないと、ずっとステータスに【レイ】だけになってしまうからよ」
「えっ?まだ、間に合うんですか?」
たしか、生まれて直ぐの子供教会に連れて行って女神様に真名を伝えるというのが伝統行事みたいなものなのだが、俺の場合それの前に黒竜に飲み込まれて生まれて直ぐの時に【レイ】と短縮された名前を言われてた結果ステータスにもレイとだけしか書かれてないと、この前グランさんに名前の意味を聞いた時に言ってたような…
「たしかに、生まれて直ぐの子を教会に連れて行って真名を伝えなきゃいけないけど、成人前【12歳未満】の子なら、まだ期間内だから大丈夫なのよ」
「そうなのですか、分かりました。その日は何も用事は入れないようします。」
(と言う事は、俺の今のステータスから【レイ】から【レイディア・マグラット】になるのか…そうだな、その時ステータスも全部一応確認しておこうかな、今見てもいいんだが楽しみは取っておこうかな)
その後、夕飯時までリビングで話をしているとディーとマール達も来て、俺の母と父が居た事にビックリしながらも挨拶をして、ディーは俺に近づいて来た。
「レイ、良かったな家族と再会できて」
「ああ、本当に良かったぜ」
「そうだ、レイ、レイの魔法をリゼさんに見せてみたらどうだ?」
ディーがそう言うと、俺の家族はまた驚いていた。その中で、一番驚いていたのは一番上の兄レック兄さんだった。
「な、レイも、魔法が使えるのか…?」
「えっと、まあ、まだ練習中だけど使えるよ?どうしたの、レック兄さん…」
「く、く、くそぉぉぉ!!」
レック兄さんは、泣きながら走って部屋を飛び出し何処かへ行ってしまった。
「どうしたの、レック兄さんは…」
「ごめんね。レイ、レック兄さんは父さんの血を濃く受け継いだみたく魔法が全然使えないんだよ。それで、僕は母さんの血を濃く受け継いでいて3属性の魔法が使えるんだよね。で、僕が使えるのを知ったレック兄さんはその時も走って何処かへ行ったんだけど、まだ一番下のレイが残ってる…と言う風に考えて来たみたいだけど、レイも魔法が使えると分かって自分だけ使えないことにショックを受けたんだと思う。」
「なるほど…まあ、仕方ない事だよね。」
「だね。まあ、その内戻ってくるだろうし、それまでレイがどんな魔法を使えるか教えてくれないかい?これでも、学園では魔法研究クラブに入ってるから色んな魔法を知っておきたいんだよ」
「うん、いいよリック兄さん」
その後、俺はディーとリック兄さんと3人で魔法の話を始めて、俺が4属性(火・水・光・無)を使えることにリック兄さんとそれを聞いていた父と母が驚いていたが、兄さんも3属性、母さんに至っては5属性も使えるので先程までの驚きよりかは落ち着いていた。
そして、話が進む連れて俺の魔法を見てみたいとリック兄さんが言ったので、俺達は練習場へと向かった。
家族との対話ではレイは敬語?みたいな口調で喋ってますが、もう少し打ち解けたらまたいつもの口調に戻すと思います。