表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/211

第26話 【解呪】


 ギルドを出て、グランさんの家へと向かっていると一緒に歩いていたシズクが俺の服の袖を引っ張って、何か心配そうな顔をしていた。


「レイ君、何処に行くの?ここって、貴族様の家がある通りだよ」


「ああ、ごめん言ってなかったね。今から向かうのは、この街の領主のグランさんの家に向かってるんだよ」


「ええ!何で、そんな所に行くの?!」


「いいから、いいから別にシズクに何かをしようとしてる訳じゃないから安心して」


「でも…」


 俺の言葉に驚いたシズクはまだ納得がいかないのか少し不安な顔をした。それでも、俺に着いて来てくれて目的のグランさんの家に帰ってきた俺達はエルダ達を従魔小屋に戻し、シズクと一緒に練習場へと向かった。今の時間帯は練習場に誰も居なかったので丁度良かった。これから、することを他の人に見られたら結構マズいからな…


「わあ、凄い領主様の家の地下にこんな広い場所があったんだ~」


「ああ、んで今回来てもらったのはあっちにある女神像に祈ってもらうために来てンだよ」


 そう言って、俺はシズクをこの間作り上げた女神像の前に連れて行った。


「えっと、この綺麗な像は何ですか?」


「これは、俺が作った女神イアラ様の女神像だよ。今から、この像に祈り呪いを解こうとかと思ってる」


「えっ!?私の呪い消せるの!」


「すまん、まだ完全に消せるかは分からないが試してみないと分からないからな」


「うん、分かったよ」


 そう言って、シズクはイアラ様の女神像に祈りを始めた。俺は、シズクの後ろから光魔法の解呪を試してみたがやはり相当手強い呪いらしく俺の光魔法のレベルじゃ無理だった。


(やはり、女神様に頼んでみるか…)


 俺は、シズクの後ろに立ち俺も祈りを始めた。



(ここはッ!)


 気が付くと、俺は今迄に2度見たことがある場所に居た。


「久しぶりね。」


「イアラ様!お久しぶりです。祈りが通じてよかったです」


「ええ、貴方は今迄の転生者の中で一番私の事気にしてるようだったから、私もついつい呼んでしまったわ、それで今回は貴方から呼んだようだったけどどんな用事で呼んだの?」


 イアラ様は、そう言って俺の後ろに椅子を出してくれた。俺は「失礼します」と言って椅子に座り話を始めた。


「それで、今回は呪いの件で来たのですが、イアラ様【封魔の呪い】と言う物を知っていますか?」


「ええ、たしか魔法を使えなくする呪いでしょ。呪術魔法の中級の魔法だった筈よ、でも今のあの世界で中級クラスの呪術が使える子は居なかったはずだけど?」


「そうなのですか?今、新しく作った女神像の前で祈っている女の子、名はシズクの言うのですがあの子のステータスに【封魔の呪い】が掛けられてるのです。女神様の力でどうにか呪いを消すことは出来ないでしょうか…」


「…本当の様ね。いいわ、他ならぬ貴方の頼みだものね聞いてあげるわ、でもその代わりに1つ条件が有るわ」


「じょ、条件ですか…」


 やっぱり、神様に頼むと言う事はそれなりの対価が必要になるのは最初から分かっていた。直ぐに用意できるものだったら、良いのだけれども…


「今日から7日間、この間の私に送った。〝クッキー〟と言う物を1日10枚捧げなさい」


「…クッキーをですか?はい!分かりました。毎日10個クッキーを女神様に送ります。」


「約束よ。それじゃ、もう行きなさいそろそろ戻らないとその女の子が心配してるようだから―――」



 俺は、女神様の最後の言葉まで聞くことが出来ずこの空間から意識が消えて行った。

 そして、次に気が付くとシズクの顔が近くに有り俺は少し驚いた。シズクも俺がいきなり、起きた事に少しビックリしていたようだったが直ぐにいつもの顔に戻った。


「ビックリしたよレイ君、いきなり後ろでバタッって音が聞こえたら、レイ君が意識を失って倒れてたんだよ。」


「ああ、ごめんごめん、ちょっとお祈りに集中し過ぎてて気を失ったみたいなんだ、それより呪いが消えてるかステータスを見てみようか」


 俺は、そう言って信仰心スキルのステータスを見る魔法の呪文を使い映すために用意していた紙にシズクのステータスが現れた。

 そこには、封魔の呪いと言う物が消えていたが、魔力値はやはり2のままだった。


「本当だ、レイ君呪いが消えてるよ!!」


「ああ、良かったな、女神様に祈りが通じたみたいだな」


「うん!これで、やっと魔法が使えるんだね。ありがと、レイ君!」


「うわっと」


 シズクは、相当嬉しかったのか俺に抱き着いてきた。そして、俺はそこで気が付いたシズクの目から涙が流れていることに


「…良かったな、シズク」


「うん…って、ああごめんレイ君つい嬉しくって」


「いいよ。別に、それよりも呪いが消えた事だし一発魔法を使ってみるか」


「うん、でも私今迄魔法使った事ないから使い方なんて知らないよ…」


「大丈夫、俺が教えるから」


 そう言って、俺はシズクに簡単な水魔法の使い方を教えて行った。最初はまず魔力の流し方から始め、最初は初めての事だったので上手くいかなかったが根気強くやっていると魔力がちゃんと流れるようになり、水魔法の技と言うにはまだまだだが、水の玉を出現させることに成功した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ