第24話 【転生者の…】
ダンジョンに来て1時間が経った。2階でのウルフ戦の後、俺達は二手に別れ魔石と他素材も集めていた。
「グギャ!」
「さてと、魔石も納品用の倍近く集まったし、あいつらの所に行くか」
俺は、今し方倒したゴブリンの集団から魔石を見つけアイテムバックの中に入れ従魔魔法でエルダ達の場所を示し、その方向へと向かった。向かう途中にも魔物が出て来ていたので狩りながら向かっていると、誰かがウルフと戦闘をしていた。
(こんな浅い階層に俺以外にも人が居たんだな、俺と一緒で初心者かな?探知魔法は全て魔物に向けていたから気が付かなかった。邪魔にならないように遠回りしていくか)
俺は、そう思い邪魔にならないように遠回りして行こうと思い移動しようとした時、ウルフと戦闘をしていた人がダンジョンの壁に飛ばされていた。その時俺は気付いたあのウルフたちと戦っているのは1人だけ、それも女の子だと
(う~む、ここは助けるべきなのか、いやでもギルドでダンジョンでは他の冒険者の妨害をしたら罰点が付くと言われたしな…)
そう考えていると、ウルフが女の子の頭へと風魔法:エアーカッターを放った。女の子はそれを見て、もう無理だと感じたのか震えて、今にも泣きそうになっていた。
「ワオー、ギャッ!」
「えっ?」
俺は、女の子へ魔法を放とうしていたウルフの頭を蹴り飛ばしていた。そして、残りのウルフ達を火魔法の技【フレイムウィップ】で首に巻き付け地面へと叩きつけた。
「すまん、助けに入って良いのか考えていたら遅れた。怪我はしてないか?」
「あっ、はい大丈夫です。少し足を挫いた程度です。助けていただき、ありがとうございます。」
「いいよ。それにしても、1人でダンジョンに入ってたのか?見た所、俺とあんまし変わらないと思うんだが」
遠くからじゃ良く分からなかったが、女の子の容姿は俺の銀髪とは正反対の綺麗な金髪で蒼色の目をしていて、魔法使いと思われるローブを着ていた。身長は140位だった。
「ダンジョンに入る時は、パーティーの人と入って来たのですが3階の階段を下りた時「魔法もろくに使えない魔法使いとかいらない」と言われ置いて行かれて、それで私一人じゃその先に行けなかったので帰ろうとしたら運悪くウルフの群れに囲まれていたのです」
「なるほどな、それなら後でギルドの受付でちゃんと報告しておかないとそのパーティーの奴等から嘘の報告されるかもしれないからな、俺もギルドには依頼報告に行くから付いて行くよ」
「はい、ありがとうございます。それより、貴方は1人でダンジョンに来たのですか?」
「んっ?ああ、今はここに居ないが俺は従魔と一緒に来たんだよ。まあ、俺1人でもここら辺の階層なら行けるから二手に分かれて1人で行動してたんだよ。」
「すごいですね。私なんて、魔法もろくに使えないのに…」
(う~む、めっちゃ落ち込んでるな…ちょっとだけステータスを見せて貰おう)
✤
名前:シズク・ヤマト
年齢:8
性別:女
種族:エルフ族【平民】
属性:火・水・土
加護:封魔の呪い 転生者の家系
レベル:6
筋力:15
体力:43
魔力:2
敏捷:21
【魔法系統】火魔法≪1≫ 水魔法≪1≫ 土魔法≪1≫
【術系統】短剣術≪2≫
【向上系統】
【便利系統】忍術≪―≫
✤
「ふぁ?」
えっ、ちょっと待て色々と可笑しくないか?…よし、まず1つ目彼女が魔法を上手く使えないのは多分加護にある封魔の呪いと言う物からだと思う。彼女自身この呪いに気づいてないと言う事は相当なレベルの呪いだろう女神様に頼めばどうにかしてくれるかもしれない、次に2つ目転生者の末裔ってどういう事だ?ちょっと、確認してみよう。
【転生者の子孫】
説明:転生者の子孫(3代先)に付けられる加護、魔力と体力の能力値が上がりやすい
…と言う事は、この子の曾爺ちゃんが転生者だったと言う事か、流石に曾爺ちゃんだから死んでるかな…って待て、この子の種族がエルフって事は曾爺ちゃんである転生者もエルフ、長寿の種族…まあ、これは後で聞こう。
「どうしたのですか?急に、驚いたり考えたりまた驚いたりしていましたよ?」
「ああ、いや何でもないよ。その足、捻ってるようだね俺が治すよ」
俺は、話題転換の為に足の怪我を直すと言って変えた。俺が、怪我を治していると後ろからエルダ達が帰って来た。
「ご主人、こっちに来ようとしてたのに急に止まったから見に来たけど、何してるの?」
「みて、分かるだろ治療だ」
「本当に?セクハラじゃなくて?」
「何処から、覚えて来たそんな言葉ッ!」
「うう、従魔魔法使うの反則だよご主人~」
俺は、変な事を言いだしたエルダに対し従魔魔法でのお仕置きをした。それを、見ていた彼女は不思議そうな目をしていた。
「えっと、この子達が貴方の従魔さん?」
「ああ、そうだよ。ウルフの上に居るスライムがライでその乗せているウルフがラル、そしてそこでのた打ち回っているのがエルダートレントのエルダだ、皆俺の言う事は効くから安心して良いぞ」
「よろしくね。あっ、そう言えば私自己紹介がまだだった。私の名前はシズクです」
「よろしく、シズク俺の名前は レイディアだ皆からはレイと呼ばれてるからレイと呼んでくれ」
「はい、よろしくですレイ君」
そこで、俺はこの世界に来て初めて転生者(子孫)と出会った。その後、シズクの足は完治させた俺達はダンジョンの入口を目指し歩き、道中の魔物はエルダが全て倒していた。流石はBランクの魔物だと実感した。そして、入口に着いた俺達はその足でギルドへと向かった。
何かが足りないなと模索していた気付いた。
ヒロインが、まだ出ていなかったことに…




