第208話 【冒険の始まり・1】
城に着いた俺は、そのまま王妃様の部屋に通された。
「レイ君。来たわね。ささ、中に入って頂戴」
部屋に入るなり、王妃様からせかされるように部屋の中へと通された。
そして、ソファーに向かい合うように座った俺に王妃様は、今回の呼び出した理由を話してくれた。
「レイ君。前にイアラ様と話した時に言ってた言葉、覚えてるかしら?」
「イアラ様の言葉ですか? それって、迷宮が作られるというやつですか?」
「ええ、事前にその情報を知ってたから復興とは別に探索隊を作って、新たに出来る迷宮を調べていたのよ。そしたら、既にもう迷宮があちこちにでき始めていたわ……」
「早いですね……」
こちらでの予想では一ヵ月くらい猶予があるのかなと思っていたが、一週間もせずに迷宮が作られた。
それはつまり、それだけ今この世界には魔力が溜まっているという事だろう。
「……という事は、早速俺にはその迷宮攻略に向かってほしいという要請ですね」
「ええ、この事はまだ知ってる数も少ないし、復興作業続きだったのにこんな事を頼むのは私としても心苦しいけど、頼めるかしら?」
「はい、大丈夫ですよ。一応、冒険者でもありますから」
そう言うと、王妃様は感謝の言葉を言い、今後の予定について話し合いを行った。
その際、俺はこの迷宮攻略をする時が来たら、聞こうと思っていた事を王妃様に聞いた。
「あの、今回の迷宮攻略なんですけど、パーティーを作って行っても良いですか?」
「それって、シズクちゃん達を連れて行きたいって事かしら?」
「はい、今回の邪信教との戦いでシズク達は何も出来なくて、悔しがってたんですよね。迷宮だったら、俺がサポートも出来ますしレベリングやスキルのレベル上げも出来ると思いまして」
「成程ね……分かったわ。学園の再開はまだ先だと思うから、レイ君が連れて行きたい友達を連れて行っていいわよ」
「ありがとうございます!」
王妃様からの許可を貰った後、話し合いは終わったので家に帰宅した。
帰宅した俺は、シズクに迷宮攻略を一緒にしないか? と誘った。
「レイ君と久しぶりに冒険ができるの!? 絶対に行くよ!」
と、シズクは嬉しそうにそう言い、ジンさんから「シズクの事を頼むぞ」と笑顔を浮かべて言われた。
それから翌日、俺はディーの所へと行き、シズクと同じように誘った。
「レイ達と迷宮攻略か……楽しそうだね。でも、父様が許可出してくれるかな?」
「父様って過保護だしね~……」
ディールとマールは、俺の誘いに受けたそうだが親の許可が出るか心配と言った。
そんな二人にこの部屋に来る前に、グランさんの所で聞いて来た事を二人に伝えた。
「ああ、それなら大丈夫。グランさんには、王妃様から連絡が行ってディー達が良いならって言ってたよ」
そう言うと、二人は「それじゃ、一緒に行かせてもらうよ」とディー達も迷宮攻略へ参加が決定した。
ディー達の参加が決定した日、夕方までディー達と色々と話をして帰りが遅くなり家に帰宅すると、何故かそこにシフォンが居た。
「レイ君。何で私の所には来なかったの?」
玄関を開け、シフォンがそこに居て、悲しそうな表情を作りそう言われた。
「あっ、いや、ほらシフォンって王女様だし、連れて行っていいのかなって?」
「王女様の前に友達……」
シフォンはより悲しい表情を作り、俺にそう言って来た。
そんな俺とシフォンのやり取りを家の中から見ていたシズクから、口パクで〝誘ってあげて〟と言われて、俺はシフォンを迷宮攻略の仲間に誘った。
すると一瞬にして、笑顔となり「絶対に連れて言ってね」と念押しをされ、シフォンはスキップしながら家の近くに待たせていた兵士と共に帰って行った。




