第206話 【戦いの終わり・3】
戦の終わり、イアラ様のその言葉を聞いた俺達は一瞬の時が流れ、次の瞬間大いに喜んだ。
イアラ様の声は王都中、もしかしたら世界中に届かせたのか王都中から喜びの声が聞こえた。
「レイ君。終わったようだね」
アルフさんはイアラ様の声を聞き、そう俺に笑みを浮かべながら言った。
それに対して俺も「遂に終わりましたね」と返すと、空からイアラ様が降りて来た。
「イアラ様!」
「レイ君。それにジン君達もお疲れ様」
空から降りて来たイアラ様は、俺やジンさんに労いの言葉を掛けてくれた。
「セラ様はどうしたんですか?」
「神界へ帰ったわ、元々引きこもりで沢山動いて疲れちゃったみたいなのよ。だから、最後の後始末は私がする事になったのよ」
「そ、そうなんですか……その邪神は消えたのですか?」
周りの人が一番気になっている所を俺は代表し、イアラ様にそう尋ねた。
「消えたわ、セラの使ってた剣は神を殺す事が出来る剣。邪神はもうこの世界には居ないわ」
イアラ様のその言葉を聞いた戦士達は「うぉぉぉ!」と雄叫びを上げた。
それに釣られて、シャルターから出て来た市民達も一緒に喜び、大騒ぎとなった。
その後、このままじゃ話は出来ないという事で王妃様を交え、いつもの転生者メンバーとイアラ様だけ集まった部屋で話し合いをする事となった。
「イアラ様、こうして会うのはお久しぶりですね」
「ええ、そうね。貴女が王妃として職務を全うしてる姿は上から見てたわ、レイ君の事も気にしてくれてありがとね」
王妃様はイアラ様からそう言われると、嬉しそうな表情をしていた。
「それで集まって貰ったのはレイ君達に、これからの世界の安定に協力して欲しくて集まって貰ったの」
「世界の安定ですか?」
「ええ、最初に言っておくと邪信教は今回の戦いで大きなダメージを負ったのは、レイ君達も分かるでしょ?」
「そうですね。邪神にアークといった強者達は先の戦いで全て倒しましたが、残ってるのも多少いるのではないですか?」
イアラ様の言葉に、ジンさんがそう尋ねた。
それに対してイアラ様は「残っては居るわ」とジンさんの言葉を肯定とした。
「でも、残ってる邪信教は先の戦いで戦った相手達に比べたら弱い者達しか残ってないわ、邪信教が用意していた魔物は全て私が戦いの最中に始末しているから、邪信教は殆ど力を残していないわ」
「ふむ……それはつまり、残党の邪信教を儂達で始末してほしいという事ですか?」
「それもお願いの内に入っているわ、でもそれが本題じゃないわ……レイ君には以前、伝えたと思うけどこの世界は一度邪神に破壊された事があるの」
そこからイアラ様は、以前俺が聞かされた。
この世界の事について、ジンさん達に説明をした。
「そんな事があったのですね……」
「そうじゃったのですか……」
「これは初めて聞きましたね。成程、それで世界のバランスがおかしかったのですね」
王妃様とジンさんは驚き、アルフさんは何か納得した感じでそう発現した。
「ええ、それでレイ君達にやってもらいたい事は、これからこの世界には沢山の迷宮を作られると思うの、数で言うと今ある迷宮の倍以上ね。それを攻略して、世界を安定に保って欲しいの」
「……迷宮が出来る原理は、神様が作ると前に言ってましたけど大量に作るのは何でですか?」
「セラ達が戦った事で、この世界には大量の魔力が流れているのよ。それを放置してたら、迷宮の外で強力な魔物が作られて沢山の被害が出てしまうのよ。それを防ぐため、魔力を迷宮へと変換するんだけど、それを放置しててもまた大変な事になってしまうわ」
「成程、取り敢えず問題を先延ばしにするから、それを対応するという感じですね……分かりました。俺はやりますよ」
イアラ様の言葉を聞いた俺は、誰よりも早くそう発言した。
それに続く形でジンさんやアルフさんも「イアラ様の為に」と言い、王妃様は「ギルドの方へ要請しておきますわ」と全員が協力する事にした。




