第205話 【戦いの終わり・2】
レイ達と神々が雑談を始めた頃、上空で戦っていたセラ達は下の様子を見て一度戦いを止めていた。
「アル。そろそろ終わりにするかの……飽きられておる様じゃし」
「ええ、そうね」
自分達の戦いに飽きられていると気付いたセラ達は、そう言うと互いに一定の距離を取り魔力を高めた。
「行くぞ、アル!」
「行くわよ。セラ」
互いに最強の技を使い、セラとアルはぶつかった。
それにより今までの戦闘で出ていた魔力の振動の何十倍もの振動が世界を揺らし、時空の裂け目が現れた。
それにより興味を失いかけていた戦士達や神々は、セラ達が居る上空を見上げて驚いた顔をしているのを見てセラ達は少し満足した気持ちになった。
「まだ力を上げるからの、覚悟するんじゃよアル」
セラはそう言うと、更に魔力を上げてアルを押し始めた。
そんなセラの攻撃に対して、アルも負けじと力を込めてセラ達の周りには更に時空の裂け目が現れて行った。
そして互いに一歩も譲らない状況が続き、一方の力が弱まり決着が着いた。
「よく、ここまで童と互角にやりあったの」
「ふふ、これでも創始の邪神だもの……ああ、負けちゃったかぁ……」
激しい戦いの末に勝ったのは、創始の神セラだった。
敗者のアルは、斬られた体を見てぼんやりと空を見上げた。
邪信教が現れ、かなりの時間が経ち既に陽が沈み、満月の綺麗な月が出ていた。
「さっきの剣。神を殺す剣よね?」
「うむ、そうじゃ切っ掛けは神同士のいざこざであったがアルのやった事は見逃す事は出来ないからの」
「そうね……それじゃ、最後にお願いしてもいいかしら?」
アルのその言葉にセラは「なんじゃ?」と聞き返した。
「イアラにさ、謝ってて欲しいの最後まで私の事を思ってくれてたのにこんな事をしちゃった事」
「ふむ……それなら、童にではなく本人に言うべきではないか?」
セラはそう言いながら、アルの後ろへと視線を送り、アルもまたゆっくりと顔を後ろへと向けた。
そしてそこには、悲しそうな表情をしているイアラが立って居た。
「イアラ……」
「久しぶりねアル」
「久しぶり、でももうお別れが近いかな……」
苦笑いを浮かべながらアルはそう言い、一度言葉を止めてイアラへと思いを述べた。
「ごめんね。イアラ、こんな事しちゃってさイアラの転生者にも大分迷惑を掛けたりして、本当にごめんね」
「……私もごめんなさい。アルの気持ちをちゃんと理解してあげれなくて」
「そんな事無いわ、イアラはいつだって私の味方で心の拠り所だったわ! ただ私が弱かった多だけよ……」
アルはそう力なくそう言うと、時間が来てアルの体は消え始めた。
「イアラ。ありがとう」
アルはそう言葉を言うと、満足したような顔をしてこの世界から消えた。
創始の邪神と邪信教との、長い長い戦いは終わりを迎えた。
「セラ、終わったわね」
「うむ、そうじゃな。童は戦いで疲れたし、後の事はイアラ達に任せるぞ」
「ええ、いいわよ。セラもお疲れ様、引きこもってたのに良い動きしてたわよ」
「引きこもりは余計じゃ」
セラはそう言い残すと、剣を異空間へと入れて神界へと帰って行った。
そして現状を理解していない戦士達に向けて、イアラは魔法を使い「戦いは終わったわ」と告げた。




