第204話 【戦いの終わり・1】
邪神とセラさんが戦い初めてから、かなりの時間が経過した。
疲れて寝ていたジンさんや他の戦士達、巨大な邪竜と戦っていた覇竜様も体力が戻り王都の門付近で一緒に神同士の戦いを見ている。
「両者既にかなり魔力を消耗しているが、まだ戦いが終わりそうにないのう……」
「神という次元の凄さを目の当たりにできて、この戦いに参加した甲斐がある」
最初に神同士の戦いを見たジンさんと覇竜様は、そんな言葉を言いそれからはただジッと戦いを見物している。
目が追い付かず見る事が出来なかった戦士達も慣れて来たのか、時間がたった今では観戦する戦士が増えている。
「レイ君。そのお菓子まだあるかな?」
「大丈夫ですよ。多めに作ってあるので」
そんな戦いを観戦してる中、俺は軽食と飲み物をアルフさん達に振る舞っていた。
「それにしても長いですね戦い……」
「どちらも強い神で決定打に欠けているんだろうね」
「そうですね……」
そんな感じで観戦をしていると、ふと同じように観戦をしていた神様達の中から数人が俺達の所へと降りて来た。
その数人の神様は、俺に加護を与えてくれているセーラ様達だった。
「あれ、どうしたんですかセーラ様?」
「どうしたのって、レイ君達がお菓子食べながら観戦を始めて呼んでくれるかな? って思って待ってたけど、中々呼んでくれなかったから自分達から来たのよ。私達の分もあるかしら?」
「あっ、そうだったですか!? ありますよ沢山用意しているので」
そう言って俺はセーラ様達の分の軽食と椅子を用意して、一緒にセラさんの戦いを観戦する事にした。
「あの、セーラ様はセラさん達の能力を知ってますよね? この戦いどちらが勝つと思いますか?」
「う~ん、そうね……それに関しては私達も分からないのよね。どっちも強いし」
「そうよね。セラもアルも創始としての神の位を持ってるから、どちらが勝ってもおかしくないわね」
「ええ、でも勝つ可能性が高いのはセラかしらね? あれでも長い間、創始の神として君臨してるものアルは殆どなり立てみたいなものだしね」
どちらが勝つのかという質問に対して、セーラ様達はそれぞれの意見をそう言い美味しそうにお菓子を食べた。
「神様達でも分からない感じですか……って、そう言えばイアラ様まだ戻って来てないんですか?」
戦いが始まった頃、用事があるからと言ってこの世界に来てるが姿が見えなかったイアラ様の事を思い出した俺はそうセーラ様達に聞いた。
「ああ、イアラなら邪信教が用意していた魔物達を消滅しまわってるわ」
「えっ! そんな事をしてたんですか!? 俺達手伝わなくていいんですか?」
「良いわよ。こっちに残ってる神も結構居るけど、イアラの方にも沢山神が一緒に付いてるもの本命はあくまでアルなのよ。レイ君達もアルに対抗する戦力として考えてるから、こっちに残って貰ってるのよ」
セーラ様はそう言うと、リュアン様も「イアラは大丈夫よ」と心配する俺に対して笑みを浮かべながらそう言った。
「レイ君。イアラ様は心配しなくても大丈夫だよ。レイ君には見せた事は無いと思うけど、イアラ様って結構強いんだよ」
「えっ、アルフさんはイアラ様の力見た事があるんですか?」
「勿論。多分だけど、創始クラスの神の次に強いのは、イアラ様だと思うよ」
アルフさんがそう言うと、聞いていたセーラ様が「そうね。イアラはその位強いわ」と言いリュアン様達も同じような事を言った。
「し、知らなかった……」
まさかそんな強い神様だったとは、俺は今更知ったその事実に驚いていると強力な魔力と魔力のぶつかるのを感じ取り、俺達は会話を止めて上空を見上げた。




