第200話 【対邪信教・4】
「グルォォォ!」
「覇竜様!?」
突っ込んできた巨大な邪竜を覇竜様は両手で受け止めた。
だが勢いは消す事が出来ず、覇竜様は巨大な邪竜に押され、王都の壁に激突した。
その衝撃で辺りは揺れ、覇竜様が力を押された事に言葉を失い戦士達は混乱した。
「やってくれたなぁ、邪神のペット風情がぁ!」
しかし覇竜様は直ぐに起き上がると、巨大な邪竜の頭部を掴み地面に叩きつけた。
それからはもう俺達の出る幕は無く、巨獣同士の戦いを見守る事しか出来なかった。
能力的に言えば覇竜様のが断然上だが、邪竜はしぶとさだけはあるようで何度も覇竜様へ立ち向かっている。
「凄いな……」
「流石にあの戦闘には入る事は出来そうにないね」
覇竜様の戦いを魔物を倒しながら見ていると、他の所で戦っていたアルフさんが近くに来てそう言った。
「はい、体格差というよりあの激しい戦いにはついていけそうにないです。向こうのジンさん達のとは、また違ったオーラで近づく事すら無理ですね」
「そうだね。ジンさんとアークの戦いもそろそろ終わりそうな雰囲気ではあるけどね……」
アルフさんの言葉に、俺は視線をジンさんの方を見た。
そこでは未だに激しい攻防が続いており、覇竜様の方よりも地面が抉れ森の木々は焼けたりしている。
しかし、それだけの激しい戦闘をしているジンさんとアーク。
両者の保有している魔力は、かなり消耗しているようで息も荒れているように、ここからでも見える。
「ジンさんも覇竜様も頑張ってる事だし、僕達も頑張ろうか」
「そうですね。こっちは雑魚相手ですから、苦戦する事も無いですしね」
そう言って俺達は押し寄せてくる魔物達と邪信教相手に、魔法を撃ち続けて行った。
そうして巨大な邪竜が現れて、かなり経った頃辺りの雰囲気が一気に暗くなった。
「何か来る……」
巨大な魔力を感じ取った俺は、そう言葉を漏らすと少し先に〝赤黒い魔力〟が集まり一人の女性の姿へと変貌した。
直感的にその女性が破壊神だと理解した途端、その女性が腕を振った。
そして次の瞬間、空から巨大な岩が流星群の様に落ちて来た。
「レイ君! アレは下の人達じゃ無理だから、レイ君一緒に止めるよ」
「ッ! は、はい!」
困惑していた俺はアルフさんの声が耳に入り、アルフさんの指示に返事をした。
そして俺はアルフさんと共に上空へと浮かび、魔力で作った壁を何重にも展開した。
落ちてくる巨大な岩々は、俺とアルフさんが作った壁に勢いを止めずにぶつかった。
「グゥゥゥゥ!」
「れ、レイ君。頑張りどころだよ!」
「は、はい!」
耐えれなかったら、下に居る戦士達が落ち潰される。
それを理解している俺は、全力で壁に魔力を集中させた。
「つまらぬ」
女性のそんな声を聞こえると、俺とアルフさんが作った壁を〝声の波動〟だけで壊した。
「う、嘘だろ」
「ほ、本当にヤバいね……」
壁が破壊された俺とアルフさんは、ただ落ちてくる岩を見つめる事しか出来なかった。




