第2話 【説明】
「えっと、貴女は誰ですか?」
俺は、率直な疑問を目の前にいる女性に聞いた。女性は、「ふぅ」と言って何処から現れたのか、いきなり社長椅子が女性の後ろに現れ、それに女性は座った。
「私は、貴方が生きてた地球とは別の世界の神様よ。まぁ、貴方からの認識としては異世界と思ってくれていいわよ」
「異世界ですか…異世界ッ!?」
俺は、その単語を聞き椅子から転げ落ち、女性の方をバッと見た。
「ええ、そうよ。取りあえず落ち着いて、余り騒がしいと何も与えずに異世界に放り込むわよ」
「はい、すみません、取り乱しました。」
「は、早いわね…」
俺は、女神様から注意され即、椅子に座り直した。そのことに女神様は少し驚いた様子だったが直ぐに普段の顔へと戻した。
「それで、何で私が貴方を呼んだかって言うと…」
「はいッ」
俺は、女神さまから次に出る言葉に緊張感を持ち気合を入れ直した。もしかしたら、その世界を救ってくれとラノベみたいに言われたり、戦争をどうにかしてくれだとか言われるかもしれないから
「…別に理由は無いのよね」
「はぇ?」
女神様のその言葉を聞いて俺は、目の前にいる方が神様だと言う事を忘れ、変な声を出してしまった。だって、異世界に転生できるというのに理由もなしに連れて来られたと言われたら、誰だって変な声位は出ると思う。俺は、そんな言い訳を心の中で思いながら女神さまに聞いた。
「えっと、それじゃ何で俺は異世界に転生できるんですか?」
「えっ?だって、貴方が死ぬ時に「異世界に連れて行ってください…」とか言って死んだからでしょ?だから、貴方の魂をこっちの方に地球の神が持ってきたのよ」
「あっ、そうなんですか、ありがとうございます。しかし、異世界に行きたいと思って死んだら誰でもここに来れるんですか?」
「う~ん、大体来れるんじゃない?でも来れたのは多分貴方を合わせて10人も居ないんじゃないかな?」
「そんなに、少ないんですか?」
普通、もっと多い筈じゃないのかな?日本には俺と同好の士が沢山居るはずだし、海外でもアニメとか見て「異世界」というのにあこがれを持ってる人は多いと思うんだけどな?
「まぁ、死ぬ直前「異世界」に全力で行きたいと思わないといけないのよ。大体の人は「愛する人」だとか「家族」とかの事を思って「異世界」に全力で思いを寄せる人なんて早々いないのよ。その中でも、全力で「異世界」に行きたいと思ってる人だけがここに来れるのよ」
「なるほど、それで言えば俺は良かったのかな?彼女は居なかったし、両親は早くに亡くなってたから…でも、童貞は卒業したかったな…」
それだけが、死んでからの心残りでもある。ごめんな、息子よ最後まで使ってあげれなかった。次の世界ではちゃんと使えるよう努力するよ。
「ああ、でも〝童貞〟って事でステータスに割り振るポイントは増えてるからいいんじゃない?」
「えっと、ポイントって何ですか?」
「ポイントってのは、今から貴方の転生後のステータスを決めるための物よ。善行でポイントためたり、死ぬ歳が早ければポイント貰えるし、〝童貞〟〝処女〟だったらポイント貰えたり、それでそのポイントはステータス設定の時に大きく関わるわ」
「なるほど…それじゃ早速ステータス設定に行きましょう」
「気が早いわね。まぁ、でも少し待ちなさい」
女神さまはそう言うと、また何もない所から一冊の本を出した。
「まず、ステータスの説明をするわ、まぁステータスって言ったら大体貴方の知識で言うとゲームのステータスとほとんど同じよ。スキルもあるし魔法だってあるわ」
「ふむふむ、なるほど、それでHPとかの概念は?」
「そこまで、分かるのね。そう、これから行く世界ではHP=生命エネルギーが無くなれば死ぬわ、蘇生薬なんてのも有るにはあるけど今じゃほとんど入手不可能だから無いと思っていいわよ。」
「えっと、その蘇生薬の場所を聞くのはだめですよね?」
「ポイントを払えば、教えてもいいけど、これにかけるなら自分の能力を上げる事を私は勧めるわ、それで説明に戻るけど、スキルには種類が有って、【魔法系】【術系】【向上系】【便利系】とあるわ」
【魔法系】は、まぁ属性の概念が有って、【火】【水】【風】【土】【光】【闇】の6種類で後1つ無属性というのがある。
【術系】は、剣術や棍術と言った武器の型を即座に出してくれるスキルで、他にも体術、柔術と言った武器を使わない物もある。
【向上系】は、魔法に似ているがこれは一個の名称で出て来て【夜目】と言った夜でも目が見えやすくする魔法や【悪食】と言った食べることに関してまでもスキルは持つことが出来る。ここに、【毒耐性】や【混乱耐性】と言った耐性系も含まれている。
【便利系】は、【向上系】に似ていてスキルの名前がそのまま出ており、【アイテムボックス】や【鑑定】等がここに入る。
これで、スキルの説明は終わった。と女神さまが言った。次に説明されたのがステータスの事だった、ステータスは4つに分かれており。筋力・体力・魔力・敏捷と言った感じだ。
筋力・体力はほとんど同じで、赤ん坊で3~5、5歳くらいの子供で10~15、10歳くらいで20~30と言った感じに年齢が上がれば上がるほど、筋力・体力は鍛錬をし続ければ能力値もそれに応じ上がって行くが、堕落した生活や運動をしなくなると能力値が減って行く
敏捷についても、運動をおろそかにすれば落ちることがあると言われたが逆に運動をすれば落ちることは無く上がっていくと言う事だ。
魔力に関しては、上がり方が人それぞれで魔法に適してる体だったら数値が大きく変動して、余り適してなかったら少ない数値でしか変わらないと言われた。
「と、まぁこんな感じかしら、聞き逃したところはない?」
「大丈夫ですよ。全部理解しました。」
「そう、良かったわまたあの長い文章読むのはきついからね。それじゃ、次に行くわよ。っと、その前に、はいこれ」
「えっと、何ですか、これ?」
渡されたのは、透明な板だった。女神さまは、これを左胸に近づけなさいと言ったので、俺は指示通り板を胸の近くにやった。すると、板はスーっと俺の体の中へと入って行った。
「えっ、これって」
「いま渡したのは、貴方にステータスを見れる様にする物だったのよ。それで、今から【ステータスオープン】って念じたり、言葉で言えばステータスが出てくるわ、一回試してみて」
「はい、ステータスオープン」
そう言うと、ステータスは出てきたが、全部:0、スキル無しとなっていた。