第198話 【対邪信教・2】
壁の上で休んでいる俺は、瞑想を終え王都の外で行われている戦闘へと目線をやった。
凄いな、何処も激しい攻防が続いてる……
王都の外では、邪信教と戦う為に集まった戦士達が邪信教と戦闘を続けている。
その中には知り合いも沢山居て、ジンさんは相手の中で一番の強敵であるアークと激しい攻防をしていた。
「あの魔法の中、ジンさんよく動けるな……というか、ジンさん楽しんでないか?」
強敵同士、何かに惹かれ合ってるのかジンさんとアークは互いに笑顔で戦いをしていた。
そんな中、他の所では苦戦を強いられている人達も居た。
こちらの戦士達は大体レベルも高く、戦闘面でも優位な人達が多いが数はそこまで居ない。
それに対して、邪信教の数はこちらの何倍にも匹敵する程の数が居る。
加えて、最大戦力であるジンさん達は敵の幹部クラスに足止めをされている。
「……よし、魔力も回復した。行くか」
そう言って俺は、壁の上から飛び王都の外へと出て空に浮かんでる邪竜達へと魔法を放った。
更に同じような魔法を地上に居る邪信教と邪信教が連れて来た魔物達へと放ち、一気に数を減らした。
そうして相手の数を減らしていると、俺の周りには邪信教が集まり始めた。
集まってきた中には幹部クラスの者はおらず、集まって来た相手から殺して敵勢力を削いでいった。
「レイ君。そっちの戦いはもう終わったの?」
「アルフさん! はい、無事にセージとの戦いは終わりました」
「そうか、勝ったんだね。よくやったよレイ君。遠くから見てたけど、アレは相当強かったでしょ?」
「正直勝てないと思いましたけど、何とか隙を作って勝つことが出来ました」
そう言うと、アルフさんは「お疲れ」と労いの言葉を掛けてくれた。
「アルフさんが相手してた幹部は倒したんですか?」
「うん、ちょっと面倒だったけどね。他の人も多分、倒し始めてるよ。まあ、でもジンさんの相手だけはまだ掛かりそうだけどね……」
その言葉に俺は、ジンさんが戦闘をしている方を見た。
そこでは大きなクレーターが出来、遠くの山は削れたりと相当激しい戦いが行われている形跡が沢山出来ていた。
「凄いですね。ジンさんも相手のアークという魔法使いも……」
「そうだね。ジンさんに関しては、昔からの話を聞いていたからそこまで驚きは無いけど、相手のアークという魔法使いに関しては驚いているよ。あんなにジンさんと互角にやりあってるんだからね」
アルフさんの意見は、生きる伝説と化しているジンさんと互角でやりあっているアークが相当凄い魔法使いという認識をしている様で俺もどちらかというとそちらの意見よりだ。
一ヵ月間訓練をして近くでジンさんを見て来た俺は、ジンさんが全盛期の力を取り戻す過程を見ていた。
日々、溢れ出るオーラが強大になって行くのに、ただただ驚く毎日を送っていた。
あのクレナでさえ、ジンさんの変わりように目を見開いて驚いていた。
「っと、ゆっくり話している時間はそんなに無いみたいだね。また来たみたいだよ」
アルフさんの言葉にジンさん達の戦闘から目を離すと、また沢山の邪竜と魔物達、邪信教が現れた。
戦いが始まっても続々と現れる敵勢力、いつまで続くか俺達も分からない。
「邪神が現れだしたら、それが本当の終わりだと思うけど、まだまだ相手には兵士が沢山居るみたいだね」
「そうですね。神同士が現れるまでは、耐える戦いが続きそうですね」
そう言って俺とアルフさんは魔力を練り現れた敵勢力へと魔法を放ち、再び戦いを再開した。
「グルォォォッ!」
再開して直ぐに後方、王都の方で竜の咆哮が聞こえ、そちらを振り向くと覇竜様が竜化をしていた。
その迫力はすさまじく仲間である俺達も足を止めて、覇竜様に見とれてしまった。
そして覇竜様はその姿となり、戦っていた幹部クラスの邪信教や邪竜達をブレスで全てを吹き飛ばしてしまった。