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第188話 【一つに・1】


 目を閉じて、集中をした俺は周囲から感じる魔力の変化に気付き目を開けると神界へと意識が移動していた。

 神界へ来る事に対して、修行中も何度か心の状態をイアラ様に見て貰っていたので大分慣れてしまった。


「レイ君。前に見た時よりも大分、鍛えたみたいね」


 神界へと移動すると、目の前にイアラ様が居てそう最初に言われた。

 前回来たのが、確か一週間程前だったかな?


「はい、この一ヵ月間は毎日訓練をしていましたから」


「そうね。この場所から偶にレイ君を見てたけど、毎日凄く頑張っていたわね」


 本当に凄いわ。とイアラ様は付け加えて、そう言った。

 それから俺は、イアラ様が用意してくれた椅子に座り〝前世の姿〟をしてる俺の到着を待つ事になった。


「レイ君。緊張してる?」


 待ち始めて数分が経った頃、突然イアラ様からそう言われた。


「正直、よく分からない状態ですね。二つの魂が融合、まあ元に戻るんですけど、そんな経験した事無いのでどうなるのかイマイチ分かってません」


 正直に今の自分の気持ちをそう俺は、イアラ様へと話した。

 イアラ様はその言葉を聞くと「そうよね」と言って、下を向いてしまった。


「普通、魂が別れたり元に戻ったり何て、人間の子が知る事は無いもんね……」


「はい。なのでこれと言って緊張してるだったり、怖いっていう気持ちは今の所無いですね。まあ、一つだけ不安な所と言えばどちらの魂が表に出るかって所くらいですかね?」


「表に出る魂って、どちらの人格がその体の持ち主になるかって事かしら?」


「はい。今は俺が使ってますけど、向こうも結局は〝俺自身〟ですからどっちが人格となるのか分かりませんから」


 その俺の質問に対して、イアラ様は「それは大丈夫よ」と真剣な表情で言い、続けて説明をしてくれた。


「魂を分裂させて、どちらも一人の人格として動いてるけど、主人格はレイ君の方なのは変わりないわ」


「そうなんですか?」


 一番の不安要素であった主人格がどちらになるか問題は、イアラ様のその回答で俺の中で無くなった。

 それからイアラ様とこの一ヵ月間の訓練について、少し話をしていると部屋の扉が開いて2人の人物が現れた。

 一人は、創始の神セラ様でもう一人は神界で訓練をしていたもう片方の前世の姿をした俺。


「最後の追い込みをしておったら少し遅れてしまったの、すまんな」


「良いわよ。セラが時間通りに来る事なんて早々無かったもの、その位計算してレイ君を呼んでいるわ。それで、そっちの訓練は上手く行ったの?」


「うむ、大成功じゃよ。見てみた方が早いぞ」


 セラ様はそう言うと、前世の姿をした俺をイアラ様に見せるかのように背中を押した。

 イアラ様は押し出された彼に目を向けて、ジックリと観察するかのように見つめた。


「……こっちのレイ君も凄く頑張ったのね」


「まあ、消える運命ですけど俺の為ですからね。最期位いい仕事をしてから、取り込まれたいですし」


 前世の姿をした俺は、そう笑みを浮かべながらイアラ様に言い、視線を俺の方に向けた。


「こうして面と向かって会うのは初めてだな」


「そうだな。自分の姿で自分に話しかけられて、若干違和感を感じてるけどな」


「そうなのか? まあ、俺は自分の見知った姿じゃないから違和感を感じないがな。何処となく自分に似てる部分のある……こう何て言えばいいのかな? 親戚の子供と話してる感覚みたいだな」


 世界が違う時点で血縁者ではないが、雰囲気の感じ方でそう言っているのだろう。

 俺自身、既にこちらの世界の体に慣れているので自分に似た親戚のお兄さんという雰囲気も若干感じている。

 まあ、大部分は自分と話しているという違和感が勝っている状況ではある。


「二人共、挨拶は済ませたようだし早速、融合について話をするわね」


「「はい」」


 元は同じ人間なだけあり、イアラ様の言葉に俺達は声を揃え同じタイミングで返事をした。

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