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第183話 【里・2】

 それから里の案内が終わった後、ジンさんの家の近くまで戻って来た。


「今日は遅い時間じゃし、修行は明日からする予定じゃが。先に修行の場所を教えておくぞ」


 そう言われて連れてこられたのは、湖があり少し開けた場所だった。


「自然を感じながら修行が出来る場所で、里の者もよく使ってる場所なんじゃよ」


「良い場所ですね。水の近くで、風も冷たくて気持ちが良いです」


「そうじゃろう? 儂もお気に入りの場所なんじゃよ」


 自慢の場所が褒められて嬉しいのか、ジンさんは嬉しそうに笑いながらそう言った。

 その後、ジンさんの家に戻って来た俺は里に居る間、使わせてもらう部屋に案内してもらった。

 案内された部屋は、やはり和室だった。


「こんな良い部屋使わせてもらえるんですか?」


「うむ、客間として作った場所じゃが儂の客はそんなに来ないからの、レイ君が好きに使って構わんよ」


「ありがとうございます」


 お礼を言った後、俺はその部屋にラルとライの寝床を設置した。

 クレナは人化出来るので、俺と同じように布団を敷いて寝れるので特に準備はする事は無かった。


「さてと、後は夕飯まで自由にしてて良いと言われたけど……」


 知らない土地で何もする事が無いと、暇すぎて何をしたら良いのか分からないな……


「そうた。折角だし、もう一人の俺の修行で見に行ってみるか」


 そうふと思い俺は、イアラ様の像を用意して祈りを捧げた。

 そして次に目を開けると、場所は変わっていてイアラ様の部屋に移動していた。


「レイ君どうしたの急に祈りが届いたから、部屋に通したけど?」


「いえちょっと時間が出来たので、前に聞いたもう一人の俺に会っておこうかなと思いまして」


「あ~……でも、それ多分無理かもしれないわ」


「えっ?」


 もう一人の自分に何故会えないのか、イアラ様に尋ねると「見たら、分かるわ」と言われて、違う部屋へと連れていかれた。

 そしてやって来た部屋の中では、異常なほど高密度の魔力が発生していて俺は一瞬、立ち眩みしそうになった。


「大丈夫、レイ君?」


「は、はい。何とか、大丈夫です。それより、ここは?」


「ここは、もう一人のレイ君が修行している場所よ。ほらっ、あそこを見て」


 イアラ様に言われ、指を指された方を見るとこの異常な空間の中に一人の青年が居た。

 まあ、青年というか前世の俺の姿をしているから、なんかこう妙な気分ではある。


「あの子は今、レイ君の元に戻る際にレイ君への負荷が無いように自らの魂レベルを上げてる最中らしいのよ」


「そんな訓練を……」


 それからこちらの存在に気付く事無く、訓練に集中している俺を見て、話しかける事が出来ず元のイアラ様の部屋に戻って来た。

 あんな苦しい訓練をもう一人の俺は、俺の為に頑張ってるのか……


「イアラ様、帰りますね。突然来てすみませんでした」


「良いのよ。何か壁にぶつかったら、いつでも頼っていいからね。ジン君にもレイ君の事は頼んでいるけど、私も力になりたいもの」


「はい、その時はよろしくおねがいします」


 そう言って俺はイアラ様の部屋から、現実世界へと戻って来た。

 戻ってきた後、俺は早速少しでも自分の能力を上げる為に、夕食までの間外で体を動かす事にした。


「クレナ、ちょっと相手になってくれないか?」


「良いよ~」


 クレナに相手を頼み、俺は軽く模擬戦をする事にした。

 最初は軽く始め、少しずつスピードを上げて行った。

 一時間ほど、外で訓練をして夕食が出来たと使用人の人が呼びに来てくれた。

 汗をタオルで吹いた俺は、クレナ達と一緒に家の中に入り食堂に向かった。

 ジンさんから聞いていた通り、この里では多くの野菜が採れるらしく、夕食には豊富な野菜が並べられていた。


「王都で買ってた野菜より、ここの野菜美味しいです!」


 一口食べただけで、違いが分かるほど里の野菜は美味しかった。

 その味には、ラル達も気に入っていつも以上にパクパクと食べ進めていた。

 そんな俺達をジンさんは「沢山あるから、焦らず食うんじゃよ」と笑顔で言い、嬉しそうにしていた。


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