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第173話 【従魔達・2】


 元長だったウルフの所へ、身体強化を使い近づいた。

 そして、俺の姿に気づいて居ない元長ウルフに話しかけた。


「やあ、元長のウルフ。それで、今回の件について詳しく聞かせてくれないかな?」


「ッ! 貴方はッ!」


 背後から突然声が聞こえ、咄嗟に距離を取った元長ウルフは俺の姿を確認して驚いた声を出した。

 そんな元長ウルフに、エルダから聞いた事を尋ねた。


「確かに、ラルの事は頼んだ。って言ったけどさ、普通に旅の仲間として連れて行くって事は分かってたよな?」


「はい……しかし、あの子は私以上の身体能力とまだ内に秘められている潜在能力を持っていました」


「だからって、勝手に長にされたら旅に行かせられないだろ。どうすんだ?」


「はい、なので今ラルと他の者達で長の座を賭けて勝負をさせています。少なからず、突然現れたラルの事を気に食わないと思っている者達も居ましたので、その者達と戦わせています」


 元長が角で指した方を見ると、その一帯だけ開けられていた。

 その開けた場所では、ラルと体格は少しラルに劣るウルフが戦っていた。

 んっ? あれがラルなのか? 前に見た時に比べて、大きくなってないか?


「ラルの奴も進化してたのか?」


「ええ、あの子は恐らくですが先祖返りです。ウルフ族の中でも、稀な個体の子だと思います」


「成程な、確かに出会った時から少し他の奴とは、オーラが違うと思っていたがそうだったとはな……」


 ラルのステータスをこの場から確認した。

 種族欄が変わっていて、ウルフ【シルバーウルフ】となっていた。

 その名の通り、毛並みが別れる時は色が灰色だったのに今の姿の色は銀色に変わっていた。


「それで、ラルに勝てそうな奴は居るのか?」


「……いませんね。このままだと、ラルが勝ちます」


「勝ったら、どうするんだよ」


「……どうしましょうか、あの今戦っているウルフで最後の者ですし」


 出会った時は、何処か頼りがいのあるウルフと思っていた元長ウルフ。

 その返答が返った来た俺は、溜息をつきその場からラルの元に移動した。


「ラル、迎えに来るのが遅くなった」


「わうッ!?」


 試合場に突然現れた俺に、ラルも含めて対戦相手のウルフや観客のウルフ達も驚いていた。

 匂いで分かってそうだったが、試合に集中していたんだろう。

 

「ほら、お前達もラルは俺の従魔だ。一時、ここに預かってもらっていたがここの集団とは関わりが無いんだ。元長が、ラルを長にすると言ってたみたいだがそんな事は俺が許さない」


 そうキッパリ言うと、ラルが「わう~」と頭を俺の顔にすりすりとしてきた。

 進化した事で体格が以前に比べす倍程大きくなり、身長が低い俺の肩に前足を乗せて尻尾をブンブンと振って嬉しそうにじゃれついて来た。


「おい、元長ウルフ。そう言う訳で、まだ長としてこいつら引っ張れよ。大方、隠居して残りの余生を楽に生きようと思ってたんだろ」


「……折角、エルダさん達が作った森の奥で隠居しようと考えていましたのに仕方ありませんね。皆の者、ラルは長にする事をレイに拒まれた。よって私が長として又引っ張る良いな!」


 そう叫ぶと、ウルフ達は「わう~」と鳴いた。

 そんな長ウルフは、俺に引っ付いてじゃれているラルに目線をやると、その視線にラルは気づいて長ウルフと視線を合わせた。


「貴女は、私も含めてこの中で一番強い。一度、貴女を捨てた私だが、もし貴女が私の事を親と思ってくれるのであれば、また会いに来ておくれ私達はいつでも貴女の事を待っているわ」


 長ウルフはそう言うと、仲間を引き連れて森の奥へと帰って行った。

 そんな長ウルフ達に向けて、ラルは別れの言葉の様に彼らに向けて「わぅ~」と鳴いた。


「さて、ラルの問題は解決したな次はライの方だな」


「流石、ご主人様一瞬にして問題を解決しましたね」


「まあな、長ウルフが隠居しようって考えが目に見えてたから、強行突破していいだろって考えたんだよ。それに長ウルフもラルに無理矢理、長にしようとはしてなかったからな」


「確かに、あっさりとご主人様の意見を受け入れましたね」


 それから俺は、ラルの引き取りが終わったのでライの引き取りへと向かう為、エルダに案内してもらった。

 エルダにスライム族の居場所を確認すると、スライム族は以前までと同じ湿地帯に居ると聞いた。


「ウルフ族はああだったが、スライム族の長が自分の利己的な思いでライに長の座を譲るってのもおかしいし、あっちは難しいかもな……」


 湿地帯へと向かいながら、俺はそう呟いた。

 ウルフ族の長とは違い、スライム族の長は自分が隠居したいからという理由でライに長の座を譲るという筈は無いだろう。

 どう判断付けるかは、行ってみて話を聞いてからだな。

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