第160話 【初等部3年魔法科決勝】
マールの試合の後、残り5組の試合が終わり勝ち上がった生徒の試合が始まった。1試合目勝ち上がって来ただけあって両者共に魔法の打ち合いが激しく同じ属性同士を相殺したりと色々と激しかったが魔力量の差で第2試合を勝ち上がって来た生徒は破れてしまった。
「凄かったな、今の試合」
「そうだね。どちらも魔法の威力は同じレベルだったけど、魔力量の差で勝敗が決まったね」
確かに俺の鑑定によれば魔力量は両者共に同じくらいであったが勝った方が少し上な程度だった。その少しの差で勝敗が決まる戦いが今目の前で起こり良い物が見れたと先程の生徒達に感謝した。というのも、俺は魔力を消費しても直ぐに回復するから魔力枯渇に陥った事が無いから魔力量で勝敗が決まるって事が分からないしまず異世界に来て負けてないから自分の中で〝余裕感〟と言うのが消えないでいた。
そんな事を考えていると「続いてはマール・マグラット選手対―――」とマールが出て来たので俺は考えるのを止めて試合を見ることにした。
「あれ? 今度はマール両手杖だけだな」
「そうみたいだね。対戦相手も両手杖でどちらも魔法使いタイプの様だね」
そう言えばマール自分の試合が終わると直ぐにここに戻って来て次の対戦相手になりそうな相手の事をジックリ観察していたな…
「レイ、マールちゃんがやってる事が情報収集での戦い方ってヤツだよ」
「成程な、相手の事を調べ上げ相手の得意武器やら得意な魔法を知る事なんだな…」
俺はクリスから言われた言葉に理解し、今後の試合は注意深く相手の行動をよく見ることにしようと考えた。
「わ~、マールちゃん今回は純粋に魔法勝負持って行ったみたいだよ」
「だな、魔力量的にマールも普通の人よりかはあるし俺が教えた魔法を色んな用途に変えたりしてるしな」
「マールちゃん、レイ君に教えて貰った魔法沢山練習して来たみたいだしね。勝ってほしいな…」
シズクと話しながらマールの試合を見ているとマールの光線に相手の魔法の威力が勝ち一度マールは後方に飛んだが、そこから相手に隙を与えず連発して光線を続けざまに放っている。
「う~ん、ジリ貧だなこれじゃどっちかの魔力が尽きるまで戦いが終わんないな」
「そうだね。でも、マールちゃんのが少し押してる感じだよ?」
「いや、そうなんだけど相手も負けじと威力を上げて来てるからな…」
そう言っていると何故かマールは行き成り杖を放り投げ魔法を撃つのを止めた。そこに対戦相手は隙だらけなマールに対し魔法を放った。しかし、マールは既に魔法を放った所には姿は無く何処に移動したと対戦相手が辺りを見渡しているとマールは同年代より体が小さいがその小さい体を利用し対戦相手に見えない位置から光線を相手へ直撃させた。
「…あれ? マールッと接近タイプじゃないよな?」
「そうだね。でも、あれ結構形になってる感じを見ると今迄接近の練習もしてたって事になるね」
「ディー、妹だろ何か知らないの?」
「う~ん、時々父さんにマールが稽古して貰ってる所は見た事あるけど、あっそう言えば魔法使えない時体術の稽古とかもしてたからかな?」
マール結構色々と努力家なんだな、俺の教えた魔法を色々と変化させるだけでなく魔法を覚える前の事もちゃんとしているとは凄いな…
マールの事に感心していると対戦相手に接近していたマールは何発も光線+体術で相手へダメージを食らわせ気絶させた。これによりマールは次の試合へ上がる事が決定した。
その後の試合も順調に進み、マールは何と決勝まで上り詰めた。
「もしかして、マール勝つんじゃないか?」
「それだったら、僕も嬉しいんだけど対戦相手はレイと同じ魔法剣士タイプの生徒みたいだしどうなるか分からないよ」
ディーの言ったように決勝戦の対戦相手は片手剣を持った今までの試合も俺みたいに魔力を剣に纏わせ勝ってきている生徒だ。
「今回ばっかしはキツイと思うな…って、マールが持ってる武器も片手剣じゃないか?」
「「「「「えっ?」」」」」
俺がマールの武器に指摘するとディー、クリス、シズク、シフォン、ラティナちゃんが同じタイミングでマールを見た。マールは今まで片手杖か両手杖持ってた筈なのに今回の試合は片手剣だけだった。
「あっ! そう言えば、前に一度父さんにマール剣の腕前ってどの位のものって聞いた時「王宮の兵士と戦えるくらいには最近なってるぞ」と言われた事が有る」
「…もしかしてだけどさ、マールって今まで俺達にもバレないように剣が使える事黙ってたのか? さっきの試合も剣持ってたけどあれは相手を惑わすため用に使ったし、しかし今回は杖は持ってないから剣で戦うようだけど…」
俺達がマールの行動に少し動揺してる間に司会の人の試合開始合図が響いた。対戦相手である魔法剣士タイプの生徒は今までと同じように魔力を剣に纏わせマールへ接近した。一方マールはその場で立ったまま何かの構えを取っている。
「あれ、父さんの構えと一緒だよ。王宮兵士の剣術の」
「へっ?」
ディーの言葉に俺が驚いているとマールに近づいた生徒の剣がマールへ当たる直前マールは自分の剣を相手の剣に当て相手の剣を吹っ飛ばした。
「あれは父さんの技と一緒だ」
マールはそのまま、相手の足を刈取り地面に倒し首元に剣を当てた。対戦相手はまさか剣が弾かれるとは思ってもいなかったようで逃げようと試みたがマールが光線を相手の頬の真横に撃ち対戦相手は気絶した。
「マール・マグラット選手の勝利です。これにより初等部3年魔法科の部の優勝者はマール選手になりました!」
そう司会の人が放送で流すと盛大な歓声が響き、俺達もその歓声に混じった。その後、剣士科も終わり高等部に入る前に結界の張り直しが始まった。
リメイク作品出しました。よければそちらもよろしくお願いします。
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〝あらすじ〟
17歳の夏、俺は強盗を捕まえようとして死んだ――そして、俺は神様と名乗った爺さんと死んだはずの俺は話をしていた。話を聞けばどうやら俺は強盗を捕まえた事で未来を改変し転生に必要な【善行ポイント】と言う物が人より多く貰え異世界に転生出来るらしい。多く貰った【善行ポイント】で転生時の能力も選び放題、莫大なポイント使いチート化した俺は異世界で生きていく。