第159話 【戦闘タイプ】
初等部2年の試合が全試合終わり結界へのダメージも無かったみたいでそのまま初等部3年の試合が始まった。初戦はSクラスの生徒対Aクラスの生徒でSクラスの生徒は純粋な魔法使いタイプで対するAクラスも純粋な魔法使いタイプでありこの試合は魔法の実力勝負となった結果、Sクラスの生徒が勝ち上がった。流石に同じタイプ同士だとSクラスの方が有利であった。同時に魔法を3つ展開し相手に防御しかさせていなかった。
「同じタイプ同士はやっぱりSクラスが勝ったか」
「そうだね。魔法使いタイプ同士だとどうしても打ち合いになってしまうからより魔力と魔法威力が優れている方が勝つからね。剣士科だと隙をついた攻撃で勝敗が分かる無くなるけど魔法使いの場合それが無いからね。どれだけ隙をついたとしても相手の魔法を防げなかったら意味がないから」
俺とディーがそう話をしているとクリスから「でも、俺やレイ、シズクのように動き回るタイプの魔法使いは剣士科の様に分からないけどね」と言った。
「僕も本当はレイ達の様に剣を使ったりしたいんだけど今の所魔法の勉強だけで一苦労だから武器の鍛錬は今の所無理なんだよね」
「あれ? でも、さっきの試合では氷で槍を使ってたじゃないか」
「あれは、作戦の一つだよあの槍でレイの手と足を凍らせるつもりだったけどレイの火の威力が強すぎて逆にこっちが融かされてたんだよ。それに唯一父さんから習ってる槍だったら少しは戦えると思ってさ、まだまだ鍛錬が足りなかったよ」
ディーはそう言いながら続けざまに「槍スキルもまだ1レベルだから暇な時間は少しでも触っておこうかな」と言っていた。俺はそんなディーに対し「それじゃ、今度のダンジョン探索全員魔法を撃つの禁止にしてみるか?」と提案するとシフォンから「私とマールちゃん何もできなくなっちゃう」と言われ俺の提案は即座に却下された。
「レイ、僕の為にありがとう。でも、自分の事は自分でどうにかしてみるよ。あっ、でも魔法の事はレイに聞くからその時はよろしくね」
「ああ、分かった。頑張れよディー」
話が一区切りが付くと第2試合が終わり第3試合にマールが出て来た。マールの武器は杖と腰に一本だけ片手剣を用意している。マール達が会場の真ん中に立つと司会の人の合図で試合が始まった。マールは光線を一気に対戦相手へと放つが対戦相手は俺みたいな動き回るタイプで直線的に進む光線は避けられ武器である短剣に魔力を纏わせた対戦相手はマールへと急接近した。しかし、そこでなぜか真っすぐ打ったはずの光線が対戦相手の背中へ当たった。
「…曲がった」
「曲がった、って言うより戻って来たよな今のどうなってんだ?」
「いや、俺が教えたのは光線を一直線に放つ事だけだったんだが…マール結構あの魔法の事勉強して色んな使い方出来るようになってたんだな」
と俺がマールに感心していると対戦相手は少し距離を取ると大きめのファイアーボールをマールへと放った。ここからだと分かるが対戦相手はファイアーボールの後ろに自分の姿を隠しマールへと接近していた。しかし、マールはそれを分かっていたのか光線を何本も一気に飛ばしファイアーボールを粉々していった。結果対戦相手は光線に何発も当たり結構なダメージを負った。
「これは、マールの勝ちかな?」
「いや、ディー見てみろあの対戦相手何か魔法を使ったみたいだぞ」
そう俺が言うとディー達が停戦相手の方を見た。俺は肉眼で見れ鑑定も使って何を使ったか見ると「ダメージを負った分の攻撃魔法か」俺がそう言うと対戦相手は赤いオーラを纏わせマールへと急接近した。今までとは比べ物にもならない程の速さで、流石にマールはその速さに付いて行けず接近を許してしまった。そこで対戦相手はファイアーボールとはまた別の魔法をマールへと放とうとした瞬間マールは片手剣を対戦相手へ投げた。
「投げるの?」
「いや、まあマール確かに武器使った事ないけどその使い方の為だけに持ってきたのかな?」
と俺とディーが驚いていると対戦相手は片手剣を短剣で弾き魔法を放った。しかし、一瞬の隙の間に先に魔法を完成していたマールは第2部試合でも見せた十数本の光線を放ち、対戦相手はそれを接近していたせいでさっきより大ダメージを受け気絶した。
「あの魔法、接近するタイプには有効ってわけかマールも考えたな~」
「まあ、これだけ接近タイプの人が居れば考えてもおかしくないかな?」
とディーに言われ、俺、クリス、シズクは「確かに」と思ってしまった。接近タイプにも種類があるがオーソドックスに魔法と剣両立した戦い方をする魔法剣士タイプの俺、接近タイプを考慮した剣での戦いも出来るが中距離からの攻撃を主にするタイプのクリス、ジンさんに新たに教わった技を使い素早い動きで相手を攪乱し自分の姿をも隠しながら魔法を使うタイプのシズク、これだけいれば対処の魔法も考えてないといけないと思うわけだ。