第158話 【戦ってみたい】
ディー達と話しながら会場整備が終わるのを待って居ると司会の人の放送で「結界張り終わりましたので初等部の魔法科1年生の方は待機室へ移動してください」と放送された。最初に10分そこらで終わると思っていたのだが結界を張り直すのに約1時間掛かっていた。
「おっ、やっと始まるみたいだな結構時間掛かってたみたいだけどそれ程損傷が酷かったのかな?」
「まあ、例年第2部が終わった後は張り替えがあったけどここまで長引くのは初めてかな?」
「そうだね。まあ、今年は邪竜も倒す英雄級の強さの奴が居るからじゃないか?」
俺が結界の張り替えの時間に言うと、ディーとクリスからそう言われた。俺はクリスの言葉に「そんな、俺の魔法ちゃんとディーの試合以外は抑えてたぞ」と反論するとクリスからジト目で見られた。
「な、なんだよ…」
「なんでも、ただレイの常識が俺達の想像よりおかしいって事が分かったよ」
「うっ、そんな事言うなよ」
俺がクリスとやり取りをしていると魔法科1年の試合が始まった。流石に第3部まで残った生徒だけあって既に魔法の実力は既にそこらの冒険者より優れていた。詠唱は無く無詠唱でドンドン魔法の打ち合いや杖に魔法を付与し殴り合いもしてる生徒も居た。
「すっげ~、1年であのレベルの魔法とか使えるんだなディー達も1年の時からあんなかんじだったのか?」
「いや、僕は1年の頃はBクラスだったんだよ。マールはCだったかな? 年々魔力が上がって来てやっと初等部3年になってSクラスに上がれたんだよね。あの子達は多分元からSクラスの生徒だから天才の部類に入る人達だよ」
「俺も最初はAクラスからだったかな? その後、学年上がる頃に魔力検査したらSクラスに上がれる数値になってて初等部の2年にSクラスになったんだよ」
その後、シフォンやマールにも聞くとシフォンは元から頭が良く魔力も高かったので初等部1年の時からSクラスでマールはディーと同じAクラスからラティナちゃんもマールと初等部からずっと同じらしい。
「へえ、意外と皆Sクラスに昇格して来たんだなそうみると1年からSクラスの生徒は相当優秀な生徒なんだろうな」
「そうだね。あの子達は相当凄い子達だよ。だって、初等部のSクラスって高等部Sクラスより入るのに点数がいるらしいから」
「そうなのか、てことはその高得点出して入ったシフォンは凄いって事なのか?」
俺がそう言いながらシフォンの方を向くとシフォンは少し照れ笑いをしていた。そう言えば、この間のテストも俺がちょっと分からない所があってシフォンに聞くと凄く分かりやすく教えてくれた。
話をしていると1年の魔法科剣士科両方の試合が終わり、1年の優勝者二人が先に優勝席へと座っていた。次に2年生の魔法科の試合になり第1試合があの双子の兄妹の兄の方が出て来た。俺達は一旦話を止めてその試合を見ることにした。流石、第1部から注目を集めている生徒だけあって歓声が盛大に響いていた。
試合が始まると注目の生徒は腰に付けていた双剣に魔力を纏わせ敏捷強化を使い相手の真正面まで相手が反応できない速さで近付きそこから腹とわき腹に打撃を食らわせ生徒が吹っ飛ぶとそこへファイアーボールを数発撃ちこんだ。試合は一瞬で終わり勝者は注目の選手のランス・リンダストとなった。
「3部まで残った相手を一瞬でか、強いな彼奴」
「こらこら、レイ何そんな嬉々とした目で見てるんだよ。レイとあの生徒が戦う事なんてないだろ」
「うっ、そうだけどさ何か俺と同じ戦闘スタイルだからさ一戦交えてみたいって思うんだよ」
「確かに、ランス君の戦い方を見るとレイに似てるね。魔法の威力はレイのが上だけど魔法の使い方とか持ってる武器とかそのまんまだ」
「だろッ! だからあいつと一回でいいから戦って見たいなって」
そう言う俺に対しクリスから「今はまず大会の事に集中しろよ。次の試合で俺かシズクと当たるかもしれないんだから」と言われ。この戦い欲を頭の隅へと追いやった。その後も試合は進み結果初等部2年魔法科の優勝者はランス・リンダストとなり続いて剣士科が始まると妹のルシル・リンダストの試合になりそちらも凄い歓声の元凄まじい攻防の末ルシル・リンダストが勝利した。結果は双子の兄弟が魔法科剣士科の優勝者となった。




