第157話 【リッド】
「リッド、いつからこっちに来てたんだ?」
「ああ、さっき着いた所さレイ達が学園大会に出場するって聞いたからな「見に行くしかねぇ」って思ってよ」
「そうなのか、ありがとう。でも、もう殆ど試合は終わってるぞ?」
「まだ、第3部が残ってるだろ? 何、もしかしてレイは負けたのか?」
「俺は勝ったよ。ディーは俺との対戦相手だから負けたけど」
俺がそう言うとリッドは「マジか、めっちゃ面白い試合だったんだろうなクッソ~途中で魔物に襲われなければ間に合ったのによ…」と愚痴っていた。
「リッド、母さん達には会いに行ったの?」
「んにゃ、直接こっちに来たよ。招待状はお前の母親から送られてきてたからな」
「それなら、挨拶してきなよ。母さん達体育館の方で見てるからさ」
「そうか、んじゃそっちに行くかまたな」
リッドは席から立ち俺達に手をヒラヒラと振りながら去って行った。
「レイの周りに居るとホント凄い事しか起きねぇな」
「凄い事って何だよ。普通に今の伯父さんだぜ?」
「いや、レイお前もしかして知らないのかあの人の事?」
クリスがそう言ってリッドの事を話し出した。何とリッドは鍛冶師の中では有名な人らしい、普通の鍛冶師は自分の作品の素材なんかは冒険者に頼んで持ってこさせるのだが、リッドは持ち前の力と魔法の腕で自ら素材採集から全部やってるらしい。鍛冶師としての腕は普通に一級品、1つの作品が金貨10枚位必要になり冒険者の腕はBランクと鍛冶師とは思えない数々の功績を冒険者ギルドでも作り上げリッドの事は【戦う鍛冶師】と言われているらしい。
「へぇ、リッドって凄い人だったんだな…」
「後、多分レイは知らないと思うがレイの両親も凄いからな?」
「流石にそれは知ってるよ。父さんは邪竜を倒して母さんは魔法使いとして凄いって」
「…レイ、何も知らなすぎだよ」
クリスと話をしていると横で聞いていたディーからそう言われた。ディーは続けて両親の凄い所を話しを始めた。父さんは邪竜討伐もしているがそれ以外にも魔物が一度王都に大襲撃した時、母さんの支援魔法もありながら魔物へ立ち向かい王都からの兵士が到着する頃には3分の1倒していたらしい。その時周りで見ていた冒険者や後から来た兵士からは「魔物が可哀そうに見えた」と言うほど父さんは魔物に対し凄まじい無双劇をしていた。
母さんは魔法使いとしてだけではなく解読者としても有名で色んな古代の書物を解き明かし忘れられていた魔法等を発掘した功績を持っている。又、自らが考えた魔力を抑えて尚且つ威力は素晴らしい魔法を何十個も作り上げギルドへ提出して魔法使いの憧れでもあるらしい
「そうなのか、全く知らなかったよ」
「まあ、レイの場合色々とあったし仕方ないのかもしれないが情報に疎いとこの世界は危ないぜ」
クリスから言われ、確かに情報に疎いとこの世界はやっていけないなと思う。取りあえず身近なところから情報収集をしていこう。俺がそう心で決めているとクリスから「情報欲しさに闇の方に行くのは止めとけよ」と注意された。
「そう言えば、レイって確かリッドさんから双剣作ってもらっていたよなアレってどうしてるんだ?」
「んっ? あるよちゃんとバッグの中に」
俺がそう言って双剣を出すとクリスが目を輝かせていた。なので俺はクリスに双剣を渡して見せてあげることにした。
「すっげ~、これがあのリッドさんの作品か俺もいつか頼みたいな~」
「一応出来るか分からんがリッドに少し頼んでおくよ。もし、俺の友達が来たら安くして上げてって」
「お~、ありがとうレイ、でもまだまだ俺の実力じゃ持つ事すら相応しくないからもっと強くなって頼むよ」
俺はクリスのその言葉に「分かったよ。それじゃ、クリスの特訓には俺も付き合うよ」と言うとディー達も「仲間外れは駄目だぞ」と言って皆で今度ダンジョンに行く事が決まった。




