第156話 【珍客】
その後の試合も順調に進んだが第3部へ通過できたのは、俺とクリスとシズクだけだった。シフォンは対戦相手の方が強く防戦一方の中対戦相手の決め手の魔法で負けてしまった。1枠試合はシフォンの魔法である程度生徒を削れたのだがその中に俺みたいな接近タイプの魔法使いが居てそいつに後ろからやられてシフォンとディーは2部で敗退した。
「接近戦は苦手だから負けちゃった…」
「まあ、シフォンは普通の魔法使いタイプだからな接近戦相手には辛いよな、でもまだ魔法使い始めた段階だからこれからだよ」
「シフォンちゃん、レイ君やクリス君の接近してくるタイプの人とは相性悪いもんね。で、でもほらシフォンちゃんはまだ魔法使い始めたばっかりだからこれからだよ。私も最近魔法が使えるようになった仲間だから一緒に頑張ろう」
「ありがとう、レイ君シズクちゃん」
落ち込んでるシフォンに対し俺とシズクは慰めるようにそう言った。俺とシズクの言葉を聞いて少し元気を取り戻したシフォンは「レイ君達は第3部頑張ってね」と応援してくれた。
「それにしても第2部の試合だけでも結構盛り上がったな、こんなに盛り上がるなら最初の俺の魔法とかいらなかったんじゃないか?」
「そう言えばレイは最初の魔法は試合で使わないのか?」
「あ~、あれ見世物用だから戦闘じゃ使わないよ?」
俺がそう言うとディー達が「えっ、見せる為だけに魔法作ったのか?!」と驚かれた。
「えっ? そうだけど、だってカッコいい魔法とか憧れるじゃん」
「いや、あのね。レイ君や普通〝カッコいい魔法に憧れる〟って言って数日で魔法何て作れるものじゃないんだよ? 何日も研究し魔力の質や量を考えてやっとできる代物なんだよ」
「そうなの?」
俺は普通に思いついたら直ぐに出来るんだけどと言いそうになったが考えてみたら、前世じゃオタクでアニメ・マンガ・ライトノベルは3度の飯より好きでオールするのは当たり前で何年も魔法や主人公が使う技に憧れて「俺だったら、こんな風な」とか妄想しまくってたからこんな風に今ポンポンと魔法出来てるんじゃ…そう言えば異世界物とかで良く〝魔法はイメージ〟って言ってたな…
その後、色々とディー達に言われたが俺が最終的に出した答えは「楽しくて、つい色々と」と濁すような感じで終わらせた。
「まあ、レイの実力は僕達じゃ分からないし今更そんな魔法をポンポン作れるって言われても慌てるほどではないけどね。だって、それ以上に邪竜を身1つで倒した経歴持ってる時点で」
「そうだよな、レイはトコトン俺達とは格が違うって思わせられるよ」
ディーとクリスからそう言われ、やっぱり自重必要かなと考えていると心を読まれたのかディーから「レイは自重出来ないよ」と言われてしまった。
その後、色々と話をしているとさっきの試合中に会場の結界が傷が入ったらしく数十分の休憩になり俺達はその場で雑談を続けた。俺がディー達と話をしていると突然後ろからバッと持ち上げられた。
「ちょっ、誰だよ!」
「よっ、レイ久しぶりだな」
俺を持ち上げた誰かを見る為後ろを振り向くとそこにはマグラット領で色々とお世話になった。リッド伯父さんが居た。
「うわっ、久しぶりリッド!」
「少しは大きくなったと思ってたが全然背伸びて無いな」
「はぁ?! 最後に会ってから1.5㎝伸びたし!」
「全然じゃねえか、ディーを見てみろ同い年なのにお前より大きいじゃねえか」
久々に会ったリッドは俺の背の事を馬鹿にしながら俺を席に戻した。
「お久しぶりですね。リッドさん」
「おう、久しぶりだなディー坊ちゃん、それにマール嬢ちゃんも」
「久しぶり~リッドさん」
俺の様に馬鹿にせず普通に挨拶をディーとマールにしたリッドは他のメンバーにも「俺はレイの伯父のリッドって言う者だ。一応鍛冶師をしているよろしくな!」と言って自己紹介をして俺の席の後ろにドカッと座った。




