第14話 【ギルド試験】
ギルドの中に入ると、そこにはいろんな人が居た。剣士みたいな人、魔法使いみたいな人、魔法使いに似ているけど持っている杖が違う僧侶みたいな人、剣士より筋肉が凄く身軽な恰好な武闘家みたいな人、ありとあらゆる職業の男女の集団が中には居た。
「うぉ~、すげ~」
「はは、レイ君この位で驚いてたら夜来た時はもっとビックリするよ。今はクエストに出かけてる冒険者のが多いからこれ以上に多くなるからね」
(すげ~、まだこれ以上の人が居んのか、ってかさっきからチラチラ見えてるんだが、ここの人達結構種族がバラバラだな、掲示板の方にはエルフの魔法使いの人がいるし、あっちの椅子で仲間と喋ってるのは獣人族の人、最初来るって決めた時に種族で規制は掛けてないって言ってたけど、やっぱり人族のが多いな…)
俺は、そんな事を思いながら前を歩くグランさんの後ろをついて行った。そして、受付の順番を待つこと数分後俺達の番になった。
「あっ、領主様今日はどの様な要件でしょうか?」
「今日は、この子の冒険者加入の手続きに来たんだ、頼めるかい?」
「はい、分かりました。領主様」
「それじゃ、レイ君ちょっと私はここのギルドマスターと話をしてくるから、その間に加入手続きをしててくれ」
「はい、グランさん分かりました」
グランさんはそう言うと受付の横にある階段を上って行った。グランさんの姿が見えなくなり、俺は受付のお姉さんの方を向き直った。
「はい、それでは今回冒険者加入の件ですが、まずは冒険者ギルドについての説明を始めます」
「はい、よろしくお願いします。」
その1、冒険者にはランク付が有り、加入当初はEランクから始まる。ランクを上げるにはクエストを成功してギルドポイントを上げる事、そしてランク毎にある試験に合格する事でランクを上げることが出来る。
その2、依頼を放棄・失敗をした場合、失敗の場合は内容によりギルドポイントが下がる。放棄は、違反金+のギルドポイントが下がる。
その3、従魔・奴隷の主人はその従魔と奴隷がクエストを成功すればギルドポイントがもらえる。が試験には従魔・奴隷は使うことは禁止している。
その4、他ギルドへ加入する場合、Cランク以上でなければいけない
その5、冒険者ギルドの税はランク毎で支払う金が変わり、税金は1年に既定の金額を支払わないといけない
その6、ユニオンというのがあり、ユニオンを作るにはリーダーがBランク以上であれば結成でき、ユニオンはパーティーとは違い、一個の集団組織でもある。
その7、ユニオンは冒険者、商人、魔法、工房の4つのギルドの加入員であればだれでも入れる。
とまぁ、ざっとこんなもんだった。それと、ギルドに加入する時銅貨が5枚必要だったので、この間盗賊討伐で手に入れていたお金で支払った。
「なるほど、全部理解しました」
「はい、それでは次にギルドへ入る為の手続きに移ります。まず、こちらの紙に名前や年齢などを書いてください、必要事項の欄以外は偽っても構いません」
「分かりました」
(受付の人が偽ってもいいって言うのかよ。まぁ、関係ないか)
俺は、紙を受け取り名前は今日分かった自分の本当の名前【レイディア・マグラット】と書いた。年齢は8歳と書いて行った。今まで文字を見たことが無かったが、普通に理解しているのは異世界言語のおかげか?でも、あれは言語だけだと書いていたような…まぁ、いいか気にするような事でもないな、その後、スキルも書く欄があって何を書くか迷ったが【火・水】の2属性の魔法と剣術と書いておいた。
俺の用紙を受け取った受付の人は一瞬ビックリしたようだったが、すぐに顔を戻し話し始めた。
(まあ、驚いたのは俺の名前に【マグラット】と書いてあったからだよな、まあグランさんが連れて来てくれたことでマグラット家の親戚と思われて驚いた顔を戻したんだろうな…)
「はい、レイディア様ですね。それでは、次に加入試験へと移ります」
「加入試験?」
「そうです。これから、冒険者となるレイディア様はどの程度の腕が有るのか試験をします。試験の内容は、冒険者の人と1対1の試合をしていただきます。そして、戦闘方法や試合結果をこちら側で判断し、レイディア様を冒険者にするかしないかを決めさせていただきます」
(試験か、この中の人達と戦うのかな?)
「はい、分かりました。試験に武器は持ち込みありなんすか?」
「いえ、こちら側で用意しますので武器はこちら側で預からせていただきます」
「そうですか、分かりました」
「はい、それでは移動しますので、着いて来て下さい」
受付の人はそう言って受付に出入りできる扉から出て来た。俺は、受付の人の後を追うように着いて行き階段を下って行った。
下った先には、広い闘技場みたいな所がありそこに行く、階段を下りて行き準備室でアイテムバックと腰に差していた剣を取り、用意されていた木剣を腰に差し闘技場への扉を開き中に入って行った。
「いやぁ、上から見た時よりやっぱ中に入ると広く感じるな」
俺がそんな、感想を言ってるともう片方の扉から1人の男性が入って来た。
「よっ、坊主が今回の加入試験を受けた子か?」
「レイっす、よろしくおねがいしまーす」
「ああ、よろしく俺の名前はリッドだ、それじゃもう始めるが準備はいいか?」
「はい、大丈夫です」
「それじゃあ、始めるな」
男がそう言うと、腰に差していた木剣を抜いたので俺も腰に差していた剣を抜いた。
「それじゃ、行くぜ坊主ッ!」
「ッ!」
リッドとの距離は結構離れていたのに、いつの間にか目の前に来ていた。俺は剣を当たる寸前で構えた。
「ほう、反射能力は中々良いな、それじゃ次は剣術の腕を見てやる」
「くっ」
リッドは、そう言うと一旦離れたと思ったら剣を構え突進してきた。俺は、リッドの剣術に押されながらなんとか耐えていた。
(くそ、俺のが能力値的には上なはずなのに、こうも押されるとはッ、やっぱり経験の差ってやつかッ!)
試合を始める前、俺はリッドのステータスを見るため、鑑定・全で鑑定していた。ほとんどの能力は見えなかったがレベルだけ見え、そこには250と書かれていた。
「どうした。坊主押されてばっかじゃ、試験に合格できないぜ」
「こんの、クソッ!!」
俺は、力任せに木剣でリッドの剣術を弾き返し後ろへと飛んだ、そして、水魔法をリッドへと向かって放った。
「おお、その年で無詠唱が出来るのか、それに俺を押し返す力もあるとは、凄いな」
「チッ、そんな分析ばっかしてんじゃねえよ。オラ、行くぞ」
「おっと、さっきまでの雰囲気の変わったなさっきのは偽でこちが真の性格かな?」
「るっせッ!」
俺は、力任せに振ったせいで折れた木剣を捨てて拳を握りリッドへと向かって突っ込んだ。リッドもさっき、俺が剣を吹っ飛ばした事で俺の拳を男は手で受け止めようとした。
「こんちくしょうッ!!」
「う、うぉぉぉ~」
俺の拳を受け止めようとしたリッドは俺の拳が当たり数秒間は耐えたが、俺の筋力+敏捷の力により壁へと吹っ飛んで行った。
その後、鐘のような物が鳴り受付の人が闘技場内へと入って来た。
「レイディア様、おめでとうございます。文句無しの合格でございます」
「それは、良かったんですけどあの人、大丈夫ですかね?」
「はい、大丈夫ですよ。だって、レイディア様が相手をしたのは今現在このギルドに居る方で一番お強いBランク冒険者のリッドさんですもの試験程度で怪我もしませんよ」
受付の人は、笑顔でそう言ってたが俺の目には壁に打ち付けられた時に頭を撃ったのか血を少し垂らしながらクラクラしているんだが…
「リッドさん、大丈夫ですか?」
「んっ、ああレイか、いや、ちょっとクラクラしてレイが5人見えるが、だ、大丈夫だ」
「無理すんなって、ほら【ヒール】」
俺は、リッドに回復魔法をかけてやった。
「んっ、おお、ちゃんと見えるようになった。レイ、あんな剣術や魔法が使えるのに回復魔法も使えるのか、本当にすごいやつだな、流石リゼの息子だよ」
「ッ!」
(その名前は、俺の母親のッ!何でリッドが知ってんだ!?)
「なんで?って顔してんな、そりゃ俺がリゼの兄貴だからに決まってるだろ、まぁレイから見ると叔父にあたる感じだ」
「ッ!」
俺は、この日2度目の衝撃に驚きながら、目の前に居るリッドを見た。たしかに、何処となく母さんに似ている部分もある。髪色も母さんや俺と同じ銀髪だ
「でも、何で俺が、母さんの息子だって分かったんだ?」
既に俺の本性を知っているリッドには下手な敬語は使わず、普通に話しかけた。
「ああ、それはグランに聞いたからだよ。ここに来る前にな」
「なるほど…」
(たしかに、今この街で俺の両親を知っているのはグランさんだけだったもんな、しかし、今日は色々と衝撃続きなんだが…)
そんなことを思いながら、俺はギルド加入の手続きの続きをするために受付の人と共に闘技場を出て荷物を持って、上に上がって行った。
そして、俺のギルドカード、【Eランク冒険者:レイ】と書かれたカードを受け取った。