第13話 【手掛かり】
「ん~、良く寝た。こっちの世界に来て、2回目のベットだったけどやっぱりベットは良いな、今まで木をくり抜いてその中に毛布を入れて寝てたから気持ちよさなんて無かったからな」
一番最初、洞窟拠点に来た時に木をくり抜いて作った型寝床は、あれから3年間使い続けた。
俺が、起きて数分後部屋の扉をノックされ返事をするとメイドが入って来た。
「レイ様、おはようございます」
「おはようです」
俺は、入って来たメイドさんに挨拶をし、その後朝ごはんが出来ているから移動をしてください、と言われたのでメイドさんと昨日夕飯を食べた部屋へと向かった。
部屋の中に入ると、グランさんとディーとマールが居た。
「おはよ、レイ君」
「おはよ~、レイ君」
「おはよう、レイ」
「皆、おはよう」
俺が入るとグランさん、マール、ディーと順番に俺に挨拶をしたので俺も挨拶を返した。そして、昨日と同じくディーの横の席に着いた。
「レイ君、どうだった。よく眠れたかい?」
「はい、気持ちよすぎて昨日はベットに入った瞬間眠りに付けました」
「そうかい、それは良かった。」
「ねぇ、レイ君は何歳なの?」
グランさんに、質問されそれに答えると、俺とは反対のディーの席に着いていたマールがこっちを向いて話しかけた。
「今は8歳で、あともう少しで9歳だよ」
「8歳って事は、ディーと一緒だね。私は今7歳だよ~」
「えっ、ディーって俺と同い年なのか?!」
昨日、ディーを見た時から身長も140㎝近くあるから10歳位かと思っていた。この世界の今の俺の身長は135ちょっとしか、まだ成長していない…まだ、これから伸びる…と思う。
「その様子だと、私がもう少し上だと思ってたようだね。レイ」
「いや、そうだよ。だって、自分の事「私」とか言ってるし、身長も高いから10歳位かと思ってた」
「身長に関しては、父が大きいからそれのせいである。それと、「私」と呼んでいるのは貴族の子供は5歳の時より礼儀作法を教えられ、その時に「私」と呼ぶようになっただけだ」
「とか、言ってるけど実際父様の真似がしたいだけだよ。ディーは」
「こらっ、マール!」
「だって、本当の事だも~ん、レイ君が来る前は「僕~」とか言ってたんだよ。今は気を付けて「私」って言いきってるだけだよ」
「へぇ~、そうだったのかディー」
「な、ちッ、違うんだ、僕はッ」
「あっ、ほらまた僕って言ってる~」
「―――ッ」
ディーはマールに指摘され、顔を赤くし下を向いた。
「ディー、別に僕でもいいじゃんか、俺だって自分の事「俺」って呼んでるんだしさ、それに貴族でもまだ8歳なら家族内だけでも気を許してないと将来禿げるぞ」
「うっ、レイまで…分かったよ。今度から、僕って言うよ。それに、僕は禿げたりしない」
「それは、どうか分からないぞ、グランさんはフサフサだけど、ディーの爺ちゃん、あれカツラだったろ?」
「えっ?爺様禿げてるの?!」
ディーはビックリして、一番知って居るであろう。グランさんの方を向いた。
「ディー、その話はまた今度しような、それと、レイ君そう言うのは言っちゃいけないんだよ。」
「は、はい…」
グランさんは、口元は笑っているのに目が笑って無い顔で俺に言い聞かせた。俺は、それに素直に答えこのことについては今後一切触れないでおこうと誓った。
その後、リザーラさんとグラッドさん、ノーマさんが部屋に来て、昨日同じ料理人の人が料理をカートに乗せて運んできて俺は自分に運ばれてきた料理を食べ始めた。
ご飯を食べ終わった後、俺はグランさんに呼ばれ外に停めてあった馬車に、俺、グランさん、ラル、ライと乗って、昨日言っていた冒険者ギルドへと向かった。
「そう言えば、レイ君のその首に掛けてある。ペンダントはどうしたんだい?」
「ああ、これは昔から首に掛けてて赤ん坊のころに親に掛けられた物だと思います。」
「なるほど、昔から…って、それ鑑定したら、レイ君の両親の手掛かりが分かるんじゃないかッ!」
グランさんはも荷台にラルを撫でながら乗っていた俺の方をグルんっと回って大声でそう言った。たしかに、そうだなと俺は思い1回だけ中身を見たことが有るペンダントの蓋を開け、中に入っている紙を取り出した。
「これ、たしか誰かの名前が書いてあるだけだったんですけど、見ますか?」
「そうだね。何か、手掛かりになるかもしれないし、見てみようか」
グランさんは、馬車を道の端に停め荷台の方へと入って来た。俺は、折りたたまれていた紙を広げ中の文字を見た。
【レイディア・マグラット】
「やっぱり、昔一回だけ見た時と、一緒だ」
少し、俺の名前に似ているけど、俺は【レイ】でこっちに書かれているのは【レイディア】と書かれてる。それに家名の所にグランさんと同じの物が書かれていて、今見ると不思議だ、俺がそう思い首をかしげ、グランさんの方を見るとグランさんは泣いていた。
「ど、どうしたんですか、グランさん」
「レイ君、いや、レイディア君、私はね君と会ってずっと胸に何かが引っかかるような思いをしてたんだ、けど今分かったよ。この名は、この数年間で何度も聞いた事が有る」
「えっ?」
グランさんは、そう言うと突然俺を抱きしめた。
「良かった。兄さん、やっと見つけれたよ…」
「ちょ、ちょっと、どうしたんですか、グランさん?!」
いきなり、グランさんに抱き着かれ俺は意味が分からずそう叫んだ。グランさんは俺を抱き締めた後、ギルドに行くのを止めると言って来た道を戻った。そして、俺達は家に戻ってきて1室の部屋へと入った。
「レイ君、さっきは取り乱してすまなかった」
「あっ、いえ大丈夫ですけど、どうしたんですか?さっきの紙で何か分かったんですか?」
俺は、先程から感じていた疑問をグランさんに聞いた。すると、グランさんは本棚から一冊の本を出し、中を見せてきた。そこには、写真が載ってあり2人の男性が載って居た。1人は、多分グランさんだと思う。今より若くした感じだ、それでもう1人の男性は…
「ここに、写っているのは私と、もう1人の男は1人の女性の為に貴族界を抜け平民となった。私の兄だ、そしてこの男は君の、レイ君の父親だ」
グランさんは、そう言った後俺はもう1度じっくりと写真を見た。たしかに、この写真に写っている男性は俺が1度見たことが有る父親にそっくりだった。
「レイ君、兄たちは今冒険者となって君を探していたはずだ、1年前にこの街を出て行ったばかりだが、レイ君が有名になればすぐに駆け付けに来るだろう。」
「そうですか、分かりました。良かったです、自分の家族が誰なのか分かって、本当に良かったです…」
(実際、俺も半分諦めていた。だって、この世界は広いそんな中俺の家族を探すの何て、手掛かりが1つも無い状態だと会える確立何て無いも等しかった。でも、今回ペンダントの中にあった紙切れのお蔭、俺は家族を探すことが出来る。)
俺は、その思いが強くなり一刻も早く冒険者になって知名度を上げ、有名にならなければと思った。その後、俺とグランさんはもう1度馬車に乗り、今度こそ冒険者ギルドが有る場所へと着いた。




