第126話A2 【願いの為にダンジョンへ】
レイ達がアメルダの店で仕立てを頼んでいる頃、1人の少年と1人の執事があるダンジョンを攻略していた。
★☆★
「タブ様、回復薬要りますか?」
「んっ?そうだな、貰おう。バズこそ大丈夫か?」
「この位なら全然平気ですよ。それにここのダンジョンにはセーフポイントが10階層に1か所ありますので残り2層降りればそこにたどり着きます。今回はそこで休息を取りましょう」
「バズはやっぱり、このダンジョンには来た事あるのか?」
「はい、昔まだ兵士として国に仕えていた頃にダンジョンに潜ってみようと興味本位で10日間くらいこのダンジョンに籠っていました」
「そう言えば、バズは昔の国に対してどう思っているんだ?」
タブは、ふとバズが居た国の事を思い出しバズに聞いた。バズは少し考える風な顔をして少し笑みを浮かべながら話しだした。
「そうですね。確かに国に仕えて居た身としては愛着心なんかもありました。あの国で育ちあの国に仕え居ましたので戦争が起こった時はそれはもう周りから恐れられるくらい暴れました」
「その話は聞いた事が有る。あの片腕もその時負傷したと聞いたしな」
「ええ、当時を振り返ってみればよく片腕だけであの魔法を打ち消せたなと私自身不思議です。片腕無くしてでもあの国を勝利に導きたかったのでしょうね当時の私は」
「と言うと、今は何も思っていないのか?」
「はい、今は何故あのような邪神を信仰する国に命を捧げていたのかすら疑問を湧く程です。…おっと、タブ様休憩しすぎたようです魔物が近くに来てます」
「分かった。話の続きは今日の寝る時にでも話してくれ」
バズが先に察知した魔物の方へ魔法の詠唱を完了させ向かった。顔を出した魔物をタブは一撃で倒した。倒れた魔物はバズが持っているアイテムバッグの中へ入れダンジョンを進んで行った。
「ふぅ…しかし、まあ本当にこんなダンジョンにあのアイテムがあるのか?」
「はい、このダンジョンの攻略者が私の知人に居るのですが、その人曰く攻略と同時にその部屋に居る者に貰えたと聞きました」
「成程な、そいつの情報が正しければここで貰えると…バズ、あとどのくらい降りるんだ?」
「そうですね。今ここが第40層付近ですので残り60層くらいですね」
「100階もあるのか…まあ、報酬を考えると妥当だな」
そう話していると奥から新たな魔物が現れて出て来た。タブが魔法の詠唱を開始すると同時に魔物がタブ達の方へ襲い掛かって来た。
「グァッ!」
「ふふふ、惜しいですね。もう少し力が有れば私の剣、弾けましたよ」
「バズ、詠唱完了だ退け!」
「はい、タブ様」
タブが指示を出すとバズは魔物の攻撃をサッと避け俺の下へと戻って来た。戻って来た事を確認しタブは詠唱を終わらせておいた【ファイアーランス】を魔物へ数発撃ちこんだ。
「グギャャ!」
「流石、タブ様火系の魔法は流石お得意なだけありますね」
「まあな…だが、こんなのじゃ彼奴には全くと言っていい程追いつくことは出来ないだろう。邪竜と戦っていた時の奴の魔法は俺の数十倍凄かったからな」
奴、レイディア・マグラットは俺の魔法の数十倍に匹敵する魔法を駆使し邪悪なる竜を倒していた。俺はあの現場に居て周りに居る魔物を倒すのがあの時の俺の実力だった。
「まあ、いつかは奴の実力と肩を並べるくらいにはやってやるさその為に今回このダンジョンに来ているんだからな」
「そうですね。それでじゃ、先程の魔物の死骸を回収し早くセーフポイントの所まで向かいましょうか」
「ああ、そうだな」
タブはバズと倒した魔物の死骸をアイテムバッグに入れセーフポイントのある階層を目指した。