第123話 【ディッズさんの怪我】
父さん達に話をして数日が経った日、俺は学園の帰りに父さんとギルドで待ち合わせをしていた。俺がギルドに着き中に入ると父さんは休憩スペースの所にディッズさんと話をして待って居た。
「んっ?早かったな、レイ」
「急いできたからね。それで、1つ聞きたいんだけどディッズさんのその恰好どうしたの?怪我したって聞いてたけど、そんなに酷かったの?」
俺は包帯でグルグル巻きになっているディッズさんを見てそう言った。ディッズさんは俺から言われた言葉に「ちょっと、ドジッちまってな…」と苦笑いを浮かべてそう言った。
「レイ、こいつな索敵をするのを止めてる時に行き成り魔物が現れてそれに驚いて崖から落ちてこのありさまなんだぜ」
「ちょっ、おいそれは言うなって言ったじゃねぇかッ!」
「…索敵はちゃんとしておかないと、それでもB級なの?」
俺は自分と同じランクのディッズさんに対し、自分よりずっと冒険者を続けているのに索敵を怠るなんてと呆れてしまった。
「はぁ、まあいいよ今度からちゃんと索敵するって約束してくれるなら治療するよ」
「ああ、今度から索敵は怠らないように気を付けるよ…」
ディッズさんはそう約束してくれたので俺は受付の人に「1部屋貸してもらえますか?」とギルドの一室を借りることにした。借りた部屋に俺、父さん、ディッズさんと入り最初にディッズさんの包帯を俺と父さんで剥いで言った。
「うわぁ~、結構痛々しいね。こう見ると」
「そうなんだよ、これのせいで風呂にも入れねえからレイなんとかしてくれ…」
「頑張りはするけど保証はしないよ」
俺はそう言って、最初にまず水魔法で傷口を傷めないように洗って行った一番酷い右肩から順に光魔法の回復を掛けて行った。
「…ふぅ、なんとか傷口は見えなくなったけど、痛い所はない?」
「んっ、よっ、おぉッ!完全に治った感じだ。ありがとな、レイ」
「まだ、完全に治ったか分かんないから3、4日は安静に過ごすようにしてね」
「おう、分かった。あっ、そう言えばこの間の探索で1つ良い物がゲットできたからレイにやるよ今回の礼賃だと思ってくれると助かる。今金欠だから…」
ディッズさんは少し遠い目をしながらアイテムバッグから何やら1枚の紙切れを出した。
「それって、何ですか?」
「ん?レイは【スキル書】知らないのか?」
「ええっ?それが、スキル書なんですか?」
スキル書自体は知っていたがどんな形をしているのか全く知らなかった。俺が思っていたのは普通の本みたいなのを読んだらスキルが与えられる的な感じだと思っていた。
「一応、使い方説明するとこのスキル書を教会でステータス更新の時に自分のステータスに付与する感じだ」
「あっ、そんな簡単にできるんですか?」
「んてで、使い方分からなくなったらレイの父ちゃんにでも聞けばいいさゼンも何回もスキル書使った事あるだろ?」
「まあな、ほとんどが身体強化魔法のスキル上げの為にだがな」
「それで、今回レイに渡すスキル書は【指示≪1≫】って言ってな、自分の配下、レイからしたら従魔達に命令する時これがあれば従魔にも命令が行きやすくなるって物だよ。まあ、レイの従魔達の場合頭良い奴ばかりだから必要性があまりないかもしれんが受け取ってくれ」
「ありがと、ディッズさん、それに普通にうれしいよ。これからも従魔は多分増えて行くからこういうのがあれば助かるしね」
「そう言ってもらえると俺も助かる。」
その後、俺達は借りていた部屋から退出し受付の人に部屋の鍵を返しギルドから出た。ギルドから出た俺達はディッズさんは仲間が待って居る宿に帰ると言って別れ俺と父さんは一緒に家へと帰ることにした。