第118話 【簡単には決めれません】
俺とラニアとクリティは移動してきて父さんの書斎部屋の前に着いた。俺は部屋の扉を「コンッコンッ」とノックし中から父さんの返事が返って来るのを待った。父さんは直ぐに「レイか?入って良いぞ」と言ったので俺達3人は部屋の中へ入った。
「どうしたんだ?ラニアとそれにその女の子は誰なんだ?」
「うん、訳ありでね。説明するから中に入って良いかな?」
「ああ、ちょっと待ってろ。資料を片付ける」
父さんは直ぐに椅子から立ち上がりテーブルの上に散乱していた紙や本を棚に片付けて行った。5分くらいして「よし、良いぞ」と父さんが言ったので俺達は部屋にあるソファに座った。
「それで、どうしたんだ?」
「うん、まずはラニアの話を聞いてあげて」
俺はここに来る前に決めていた手順通り、最初は俺に話した内容をラニアが父さんに話をした。
「…ふむ、成程なそれでその子がその家を壊された子か、名前は?」
「は、はいクリティ・クリットです。」
「クリティちゃんかよくスラム街でこんな小さな子が生きてこれたね。家族も居ないんだろ?」
「はい、でも知り合いの人やスラム人にも優しい町の人などの助けがあったおかげです」
父さんはそんなクリティの様子を見て「ふむ、中々良い子だね」と言った。
「それで、レイはこの話を聞いてどうする事にしたんだ?」
「うん、丁度自分の従者も決めようかなと思ってたからクリティを俺の従者にしようかなと決めたんだよ」
「レイのか?ああ、まあ確かにレイも貴族になったし従者は必要になって来るよな…ふむ、まあいいんじゃないか?」
「いいの?」
「んっ?いや、レイのじゃなくて俺の従者にして貰えないか?と聞いてきたら考えたがレイ自身の事なら既に自分自身の事は自分でやる階級の持ち主だしな俺がどうのこうの言う必要はない」
父さんはそう言い切った。俺とラニアはそれを聞いてホッと一息ついた瞬間父さんが「だが、」と続きを話した。
「クリティちゃんを従者にするのであれば、ちゃんとした手続きを踏み給金も渡さないといけなくなるぞ?」
「手続きの事は知らなかったけど、給金はちゃんと俺がダンジョンで稼いだりクエストで稼いできちんと払うつもりだよ」
「なら良いが、住むところはどうするんだ?クリティちゃんは俺の従者じゃなくレイの従者だからちゃんとした住むところの確保はレイがしないといけないぞ?」
「…そこまで、考えて無かった。」
俺は父さんから色々と言われ自分が〝クリティは俺が助ける〟と思い上がり頭が回っていなかった。
「…まあ、レイなら住むところなんて直ぐに確保できるがな」
「えっ?」
「んっ?なに驚いているんだ。レイはこの間正式にナロウディ王国の貴族に成っただろ。それも、俺より階級が上のな、って事はレイも王都に家を貰えてるはずだぞ?」
「そんな、話し聞いて無いよ?俺が貰った土地って言えば山の領地だけだよ?」
俺がそう言うと父さんは「可笑しいな、俺の場合は特別にこの家を貰ったから話は違うがレイと同等の爵位になった貴族は大体王都に家を貰えてたはずだぞ?」と言った。俺は、そんな事聞いても無いしそんな規約があた事すら知らなかった。
「ん~、取りあえず従者関係の話は一旦置いておいて父さんクリティを暫くこの家に住ませてもいいかな?」
「ああ、構わないぞ部屋なら余ってるくらいだしな」
今日の話し合いはここで終わり、取りあえずクリティの部屋を決めた後母さんにクリティを風呂に連れて行ってもらい俺は明日シフォンに家の事を聞いてみようと考えながらラニアと夕食の準備をして風呂から上がって来たクリティが「こんな美味しそうな匂いを嗅いだのは初めてです!」と驚いていた。




