第117話 【第1従者決定】
「レイ様、何してるんですか驚いて隠れてしまいましたよ」
「す、すまんちょっと猫耳が付いていて少し興奮してしまった…」
「もしかして、レイ様は獣人族が好きな方なんですか?」
「う~ん、獣人族というより猫人族が好きかな?」
まあ、二次元だけにしかいないと思っていた種族がこうして目の前に現れたから素で驚いたがやはり猫耳は最高だと思う。
「あっ、っとこんな事より謝るのが先だな、驚かせてすまなかった」
俺は、テーブルの下に隠れた獣人族の女の子に対しそう謝った。女の子は、ラニアが「大丈夫ですから、出て来て下さい」と言ってテーブルの下から出て来て俺の前に立った。身長は、俺と変わりないくらいだった。
「あ~、んとまずは自己紹介だな俺の名前はレイディア・マグラットだ。よろしく」
「は、はい!わ、私はクリティ・クリットです。あの、えっと…」
「まずは一旦落ち着こうか、ほら美味しいお菓子でも食べて落ち着いて」
俺はアイテムバッグからチョコクッキーを乗せた皿をテーブルの上に置きクリティに食べるように言った。クリティは一口チョコクッキーを食べると口に合ったのか「美味しい」と言って持っていたクッキーをパクパクと食べて行った。
その後、一先ずこの子が落ち着くのを待つことにして俺とラニアもチョコクッキーを食べて待つことにした。
「どう?落ち着いた?」
「は、はいご迷惑をお掛けしました。何から何まで、貴族の方にこんな事をさせてしまい申し訳ありません」
「いいよ、いいよ。好きでやった事だし、それでクリティはさっきラニアから聞いたけどスラム街の子なんだよね?」
「はい、商業区の裏にある第2区スラム街と私達が呼んでいる場所で住んで居ました」
「へぇ、スラムにも地区なんてあるんだな」
「はい、地区事に別れスラムに住む同士争いをしないようにと決められていたのですが最近他の街から来た者が我が物顔でスラムの地区を荒らしまわっていまして」
「ふむふむ、それでそいつが暴れてクリティの家が壊れてしまって住むところが無くなったと」
「はい…父も母も私が幼い時に亡くなってしまい。一人で街でお仕事を時々させて貰い生活してました」
「えっ?!両親が居ないの」
俺は自分の前世も父も母も俺が幼少時に亡くなって居ない経験をしてるせいでクリティの言葉に驚いた。
「はい、あっでも父も母も誰かに殺されたとかではなく、流行り病で私に移さないためと言って自分達で小さな小屋を建てその中で2人仲良く亡くなりました」
「な、仲よくって…」
流石に俺はこんな悲しい事を言われ勝手に自分の中で「悲しい」と感じてしまった。
「両親が無くなった後は、クリティは1人で生活して来たのか?」
「はい、でも完全孤立で生活はしてませんでしたよ。スラム街に長年住んで居たので知り合いのお婆さんの所で一緒に住んだりと転々と移動して一時期は生活してました。この間交戦があった場所で数年前から住むようになったのです」
「なるほどな…クリティはこれからどうするんだ?」
「えっと、ラニア様とレイディア様のおかげで空腹は無くなりましたのでお店の雑用でもしてお金を稼いで板を購入して新しい家を建てます」
「…と言う事はスラム街に戻るって事だよな?」
「はい、私には公の場で生きて行けるほど人脈も知識もありませんので…」
う~む、ここで助けたら後々出てくるスラムの人も助けてしまいそうになるが…う~ん…よしッ!今回は、俺の独断と偏見のルール【猫耳が付いてる者は助ける】というのを作りクリティを助けよう。
「クリティ、行くとこ無いならうちで働くか?」
「えっ?!」
「レイ様?!」
俺が提案するとクリティと横で未だに話に参加せずにチョコクッキーを食べていたラニアが驚いてクッキーを落とした。
「まあ、まだ父さんの許可とか取ってないが俺の従者にすれば住み込みで働くことも可能だ…と思う」
「ほ、本当ですか?!」
「レ、レイ様そんな簡単に決めて良いんですか?」
「煩いぞラニア、元はお前がクリティの事を持ってきたんだろうが!それにな、目の前で困ってる女の子助けられないとか男としてクズだ。丁度俺も貴族になったから従者でも必要かなと思ってた所だしな、クリティは俺の従者になるか?」
「は、はい!」
俺は「よし、これで後は父さんだけど」と言い、後は早く父さんに話を付けに行こうとラニアとクリティを連れて部屋を出て父さんの居る書斎へと向かった。




