第106話 【仲間外れは嫌です】
転送装置でダンジョンを出る。とみんなで決めて乗った時「俺は、最後で良いよ」と言って先にディー達を帰らせたのだが俺は先程感じた嫌な予感にダンジョン入口に戻るのではなくダンジョン入口から一個前の第5階層に転移した。
「何か嫌な予感がするんだよな、邪信教絡みなら直ぐに神様が知らせてくれるって言ってたから大丈夫だと思うんだが…」
俺はそんなことを考えながら、ダンジョンを登って行った。途中で何人かの生徒が怪我をしていたのを見かけては回復魔法を掛けてやりながら戻って行った。
「ッ!」
ダンジョン入口前に着いた俺は、さぁ帰ろうと思い一歩踏み出した瞬間、右頬に何かか掠れて行き血がタラーっと流れた。俺は、一瞬何が起きたのか分からず回復魔法で直ぐに頬の傷を治した。
(お、俺に傷が付くって事は殺気が無い者からの攻撃…嫌な予感が的中したのかッ!)
「なッ!」
俺は、逃げようと言おうとした瞬間俺の足元が氷漬けにされ俺の背中には帰ったはずのクリスが俺を羽交い絞めした。
「ちょ、クリス止め!」
「レイ君、ごめん…」
「ちょっ!それにこの足の氷、ディーのだろ。ディー止めてくれ!」
俺は、必死に足元の氷を溶かそうと火魔法で解凍しようとするが、解凍したところから直ぐに氷漬けにされていった。流石に本気で溶かそうとすると俺を羽交い絞めしているクリスをやけどしてしまうため抑えて解凍しようとしているが足が氷から出すことが出来ない。
「レーイくんっ、私を置いて~ダンジョンに行って来て、楽しかった~?」
「マっ、マール!」
俺は、ダンジョンの入口からダンジョン内に入って来て足が氷漬けにされている俺は、良く見えなかったが扉の間からディーが正座をしているのが見えた。
「ねえ、何で私だけおいて行くの~?この前もクリスさんと行ったんだってね~楽しかった~?」
「ク、クリス喋ったのか!」
「…口止めされてない」
クリスは、震えながらそう言った。俺が「クリス~!」と叫ぶとマールは光魔法で作られたと思う光の剣を俺の鼻先に向けた。
「うわぁ、マール新しい魔法覚えたんだ凄いな!」
「うん、レイ君やお兄ちゃんたちから仲間外れにされて1人で魔法練習している時に出来た技だよ~」
とにこやかに言ったマールは「なんで、誘ってくれなかったの?」と俺に聞いてきた。
「その、あ~…すまんッマール!完ッ全にダンジョンに行くのが楽しみ過ぎてマールの事を忘れていた!」
俺は素直にマールの存在を忘れていた事を謝った。。マールは「酷いな~レイ君」と笑った。その時の笑顔は口は笑っているが目が笑っていなかった。
「次は無いよ?私も今度から誘ってね?」
「はい、分かりました。」
マールはクリスに「ありがとうございます。クリスさん」と言って俺の拘束を解いてくれた。クリスから「ごめん、マールちゃんの目が本気だったから…」と謝って来た。俺は「うん、俺もそうすると思うから良いよ」と言ってクリスを許した。
「はい、これでレイ君とクリスさんは終わりです。シフォンさんとシズクちゃんも疲れているので連れて帰って上げて下さい」
「あの、ディーは…」
「お兄ちゃんは、これからが説教のお時間ですので今日は、レイ君達と帰れません」
「あっ、はい分かりました。それでは、俺達は帰ります。」
そう言って、俺が帰ろうと足に未だに付いている氷を取ろうとすると今迄以上の威力で足元を氷漬けにされていった。
「レイ、こうなる事分かってたんだよな…」
「さあ!帰ろうかクリスッ!」
俺はそう言って、クリスに「少し離れてくれ」と言って全力で足元の氷を溶かして全速力でシズク達を連れて帰った。後ろから「レイの人でなし~!」とディーの叫びが聞こえたが、聞こえなかったことにして学園から出て行った。
次の日、学校に行く途中ディーを見かけると顔以外の腕と足に魔法の傷跡があり、あの後何があったか聞くにも聞けない状況だったので俺はソッと今もてる回復魔法のすべてを使い傷跡を綺麗にすることにした。そして、今日はマールを入れたメンバーでもう一度ダンジョンに行く事になっているとディーから聞き教室に着いたらクリス達にお願いしてダンジョンに行って貰う事にした。