第103話 【皆でダンジョンへ・3】
ダンジョンに入って、数十分が経った。入って直ぐの頃は、俺も前線で戦っていたがそれじゃクリスとディーが全然戦えないと言われたので俺はシズクとシフォンを真ん中の中央を任せ俺は後ろから来る魔物担当になった。
「【ブリザード】!」
「【ウィンドドリル】!」
ディーとクリスは、自分達が鍛え上げたい魔法を使用し前方から迫って来ていたゴブリンパーティー(ゴブリンリーダー+ゴブリン戦士(剣持ちや弓持ち)で出来た集団)を一瞬にしてドロップ品へと変えた。
「ディーの魔法久しぶりに見たが、また腕を上げたな」
「レイに負けない様、魔法の腕は確実に上げたいと思ってさ毎日魔法の練習と魔法の勉強を家に帰ってやってるのさ」
俺は後ろからそう言うと、ディーは俺の方を振り向き笑った。俺は茶化すように「優等生だね~」と言うとディーから「優等生じゃないさ、ただ凡人なりに頑張ってるんだよ」と言われた。本当にディーは、普通の子供なのか最近疑問に思ってきている。
「まっ俺も負けないように頑張るけどなッ!」
俺と喋る事に気が行ってしまいゴブリン戦士(剣持ち)が1匹、魔法の反動で体勢を持ち直していなかったクリスに剣を振るおうとしたので風魔法の貫通力がある【ウィンドスピア】を使いゴブリンの頭をつぶした。
「すまん、クリス」
ディーは、直ぐに倒れたクリスに向かい謝罪をした。クリスは、「大丈夫だよ。レイ君のおかげで何とも無いよ」と言ったが「いや、僕がレイと喋る事に…」とディーその後の言葉を言おうとしたがクリスがそれを制した。
「いや、直ぐに体勢を戻せなかった僕のせいだよ。ディー君が悪いわけじゃないよ」
クリスがそう言うと、ディーは「そうじゃないんだ…」と言った。
「戦闘が終わったと思い気を抜かしてしまった事に対して謝っているんだ。僕とクリスは二人で前線を任せられている仲間だからどちらかが気を抜けば大惨事になると言う事は分かっていたんだ。今回は、レイが直ぐに気が付いてくれたおかげで何ともなかったがそうじゃなかったら…」
(…これ、前にグランさんから聞いていた症状だ)
ディーは、いつもは少し大人びているような様子をしているが結構メンタル面が弱いらしく自分のせいで誰かが傷ついたりしたら一週間はずっと落ち込んでいるらしい。
「ディー君、余り落ち込まないでそれにここはダンジョンで危険な場所だから反省するならかえってしよ。」
「シズクちゃん…そうだね。ごありがとう。クリス次は無いように僕頑張るね」
「うん、俺も反動で体勢が崩れないように踏ん張るよ」
(おお、シズクのおかげで落ち込んでいたディーが復活した。これは、良かったディーとはこの中で一番長い付き合いだがあんなディーを見たこと無かったから俺自身少し手間取ってしまった。後で、シズクにありがととでも言っておこう。)
俺はそんな事を思いながら一旦クリスを中央にシズクを後ろに下げ俺がディーと一緒に前線をやる様にした。
「んっ?あれは…」
俺が前線に変わってダンジョンを進んでいると前の方から数人学生が戦っているのが見えた。このダンジョンでは、他の者が戦闘している魔物は横取り禁止と言うのがルールなので俺達は道を変えて進もうとした所ディーが「ちょっと待って、レイ」と言ったので俺はディーの方を見た。
「あれ、ちょっとヤバくない?」
俺達が立ち止まって前を見ていたのでクリスが中央から俺達の所へと来て前の学生たちの方を見た。
「うわっあの学生が戦ってる魔物この階層での外れ魔物『ブラッドゴブリンパーティー』だよ」
そう言ったクリスに俺は「ブラッドゴブリンパーティー?」と疑問符を上げたのでクリスは自分のメモ帳を出しブラッドゴブリンパーティーについて説明を始めた。
『ブラッドゴブリンパーティー』とは、先程俺達が戦った。『ゴブリンパーティー』とゴブリンの種類や使用武器などは一緒で魔法は使えないゴブリン集団なのだが、このブラッドが付く方は1つ厄介な事が有り『ブラッドゴブリンパーティー』の倒し方は【10秒以内にパーティーゴブリンを全滅】か【光魔法の一種である「聖魔法」での攻撃】なのだが、【10秒以内にパーティーゴブリンを全滅】は、まずほぼ学生では不可能に近い、剣持ちゴブリンは倒せれるが弓持ちゴブリンが放っている状態異常が付与された矢を受ければ【痺れ・目眩・下痢・毒】等に侵されてしまう。
なので近くに寄れば矢に当たる危険性があるので中々近づけないかと言って遠方から攻撃しようとするとブラッドゴブリンリーダーが使用する。【血の盾】により聖魔法以外の魔法の威力を減少させてしまう。そして、10秒過ぎると生き残っているブラッドゴブリンパーティーが他のブラッドゴブリンパーティーを生き返らせるから学生にはなんとも厄介な魔物集団なのである。(Sクラス位の魔力があれば【血の盾】を受けた魔法でも攻撃可能だが10秒を以内と言ったら少し難しいらしい)byクリス
「説明有難うクリス、それでどうする?」
「う~ん、あの学生のパーティー6人位で来てるみたいだけどうち4人は既に毒に当たって倒れてるね。残り2人は、なんとか持っている状態」
確認したクリスは、
「…助けるか、後で文句言われたらドロップ品渡して黙らせよう」
「「「「了解」」」」
俺の提案にディー、クリス、シズク、シフォンは了承してくれたので俺達は急いで学生が戦っている場所へと走って行った。