第101話 【皆でダンジョンへ・1】
次の日、2日ぶりの学校の用意をしている時クレナは俺について来ようとしたが流石に従魔を学園に連れてはいけないので家で大人しく留守番させた。一応、母さんがクレナと一緒に居てくれると言ってくれたので安心して学園に向かった。
「おはよう、レイ」
家を出て少ししてディーと合った。俺は、「おはよ~」と言って一緒に学園に向かった。そしてその後、数分後にシズクとも合流していつもの様に喋りながら歩いた。
「そう言えば、レイ君御爺様に武道ならうの?」
「ああ、ちょっと最近運動不足だったし武道を習いたいとも思ってたからシズクの爺ちゃんに稽古してくださいって頼んだんだよ」
俺は流石に邪信教と戦う為とは言えないので嘘をついてシズクに言った。シズクはそれを聞いて驚いた顔をした。
「そうなんだ、御爺様直ぐに引き受けてくれたの?」
「んっ?普通に頼んだら、やってくれるって言ってくれたよ?」
俺の言葉を聞いたシズクは「う~ん」と不思議そうな顔をしながら唸っていた。ディーは、俺が武道を学ぶと聞いて「レイは、超人でも目指しているのか?」と聞かれた。超人は目指してないが邪信教と戦えれる戦闘力は欲しいと言ったら驚かれると思うから「普通に運動不足解消の為だよ」と言っておいた。
「う~ん、レイ君お願いだから死なないようにね」
「へっ?」
「御爺様、私は女の子だから余り武道関係の指導はして貰えなかっけど御爺様が現役で道場の先生をしてた時お弟子さんが何人も血まみれになってたから」
「…ああ、頑張る」
流石に血まみれは無いだろうと思ったがシズクの目がマジだったので俺はちょっと怖気づいてしまった。まあ、怪我したら回復魔法で治せばいいかと自分に言い聞かせて違う話題を振って学園に向かった。正門付近でクリスと会い一緒に教室まで行った。
「そう言えば、レイ君は学園大会出場するんだよね?」
「そのつもりだよ。クリスも参加するのか?」
「一応ね。この間魔法も教えて貰ったし大会出場しようとは思ってるけど、レイ君と当たったら勝てないからどうしようか迷い中」
「そんな、最初から負けるなんて決めつけるなよ。俺だって、魔法が少し得意なだけで普通の学生だぞ」
俺がそう言うと、クリスは「レイ君が普通とかありえないよ。普通の学生が邪竜を倒せるわけないよ」と苦笑いしながら言われた。俺は、そのクリスの既に諦めきった感じに少しイラっと来た。
「まあ、確かに普通ってのは取り消すがクリスだって強くはなれるぞこの間、魔法を教えた時も呑み込みが早かったし実戦を積めばもっと強くなれるぞ、俺の場合3年近く実戦をしながら自分の戦い方を考えて来たんだからさ」
「そうだったんだ。ごめん、レイ君…よし、僕もレイ君に負けない様ダンジョンで実戦経験学ぶよ!」
「おう、その意気だ。まあ、楽に勝たせるわけにもいかないから俺も俺で特訓するがな」
俺達は、そこで互いの手を掴み笑いあった。すると、後ろからディーがトントンと肩を叩いてきたので振り向くとディーとシズクは困ったような顔をし周りを見てみるとSクラスの他の生徒とAクラスの人やBクラスの人が俺達の方を見ていて、口は隠していたが笑っていた。
「レイ、クリスそう意気込むのは良いが教室の外でそう大声出すと僕とシズクが恥ずかしいんだが…」
「す、すまん…」
「ごめん、ディー君シズクちゃん…」
俺とクリスは、2人に謝ってサッと教室に入り自分達の椅子に座った。
「おはよう、レイ君さっきの見ていたよ」
「シフォン見てたのかよ…そうだ。どうだ、魔法練習の方は?」
「順調、最近ファイアーボールを2つ同時に出せる様になったよ!」
そう言ったシフォンは、嬉しそうに言った。まあ、潜在能力的に一応転生者の血を引き継いでいるから魔法の基礎さえできるようになれば自然と魔法も上手くなっていくとは思っていたがこうも早く同時展開できるようになるとは思いもしなかった。
普通、ファイアーボールなんかを同時に出す場合、魔力と操作レベルが高くないといけないんだが…この休み期間中もずっと練習していたんだな、と俺は感心した。
「頑張っているんだな」
「うん!魔法って今迄出来なかったから悔しかったけど、使えるようになってからはそんな気持ち忘れて楽しさで朝から晩までずっと練習ばっかりしてるの!」
「シフォンは、魔法好きなんだな、そうだシフォンは学園大会に出るのか?」
「うん、出るよ。やっと魔法も使えるようになったから自分の腕を確かめてみたいの」
「そうか…なら、今度皆ダンジョンに行かないか?実践も兼ねてさ、クリス達は良いよな?」
俺がそう言ってクリス達に聞くと、3人共「いいよ」と言ってくれた。シフォンは、「ダンジョン…行った事ないから楽しみ~」と嬉しそうに言った。
その後、先生が教室に入って来たのでシフォンは自分の席へ帰り俺達も綺麗に椅子に座り直した。